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寝不足が引き起こすリスクとは?どう対処すればいい?

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寝不足が引き起こすリスクとは?どう対処すればいい?

寝不足はどんな方でも経験する、ありふれたこと。しかし、睡眠不足が慢性化すると身体に大きな不調をきたす恐れがあります。今回は、寝不足が招くリスクと、よく眠るための習慣をご紹介します。
 

日本人の睡眠不足は、現代の社会問題

日本の平均睡眠時間は7.3時間(2021年)。一見、十分眠っているようにも思われますが、実はOECD加盟国30カ国中最下位の短さです。

●他国の平均睡眠時間
フランス:8.5時間
中国:9時間
アメリカ:8.8時間

男女別で見てみると圧倒的に女性の睡眠時間が少ない現状。しかも50代>40代>30代の順で短くなっていきます。これは50歳前後に起こる更年期障害の影響も否めませんが、家事、育児、介護を担当する割合が、女性のほうが高い傾向があることが大きな原因だと考えられます。

社会は変わりつつありますが、実際、OECDの調査によると日本の男女で比較した際、女性は男性の4.8倍家事をしているという結果が出ています。

また、女性に限らず長い通勤時間や長時間労働、“がんばること”が美徳とされる文化において、日本人は睡眠時間が削られやすいと考えられます。働く女性が増えたいま、女性も40代に入ると重要なポジションになり「家事も仕事も...」とますます睡眠時間が削られてしまうことも。

日本の睡眠時間の少なさは、深刻な社会問題の一つなのです。

▼詳しくはこちら
日本人の平均睡眠時間は?世界の睡眠事情を詳しく解説!
 

病気や肥満。睡眠不足によって起こる4つのこと



慢性的な睡眠不足によって私たちの心身に起こることとは、どんなことなのでしょうか?代表的な4つの事例を紹介します。

①高血圧症や糖尿病、がん。さまざまな病気の懸念

睡眠不足がつづくと、自律神経の乱れにつながり内臓機能が低下します。それが原因で血管が収縮し、血液循環やホルモンバランスが崩れる自体に。結果、高血圧症糖尿病を悪化させたり、がんにかかりやすくなる可能性も十分に考えられるなど、健康を損なうリスクをはらんでいます。

▼詳しくはこちら
睡眠不足はあの病気の引き金に!?

②自律神経のバランスが乱れ、腹痛や下痢に

睡眠不足により自律神経のバランスが乱れていると、にも影響を及ぼします。眠っているときは、副交感神経が働き大腸の動きが活発になり、大腸の中で水分が吸収されながら便が動き、起床後に排便が起こります。

ところが、不安や緊張といったストレスを脳が認識すると、自律神経系の中枢である視床下部に信号が送られます。ストレスが大きければ大きいほど、その信号が脳に過剰に伝わり視床下部がオーバーワーク状態に。そうなると自律神経系のバランスが崩れて、大腸の動きがバランスを崩し、下痢や便秘が起きてしまうのです。

▼詳しくはこちら
朝の腹痛や下痢の原因は寝不足と関係ある?お医者さんに聞きました!

③肥満になりやすくなる

アメリカのコロンビア大学が2005年に発表した報告によると、睡眠時間が短い人は7時間睡眠をとっている人と比べて、肥満になる確率が60%以上高くなることがわかっています。

また、2004年のシカゴ大学の調査によれば、睡眠不足の人はポテトチップスやケーキなど炭水化物を多く含むものを食べたがる傾向があるそうです。

本来、人間には「基礎代謝」という普通に生活しているだけでも消費されるカロリーがあります。一説によると、寝ている間は約300キロカロリーも消費するそうですが、眠れていないとせっかくの「基礎代謝」の力を生かせていないことになります。

肥満によって、高血圧や糖尿病のリスクが高まるため注意が必要です。

▼詳しくはこちら
ダイエットや筋トレには睡眠の質が大切!「睡眠ダイエット」について芸人・ストレッチトレーナーの山田BODYさんが解説!

④だるさや倦怠感。日中のパフォーマンスが低下

睡眠時間の確保も大切ですが、よく眠れているのか「睡眠の質」も同様にチェックが必要です。

睡眠は本来、1日の溜まった疲労を回復するためのもの。しかし、疾患がないにもかかわらず朝から疲れを感じる場合は、睡眠の質が下がることによって疲労回復の機能が十分に働かず、翌朝に疲れを持ち越している可能性があります。

また、「社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)」といって、平日と休日の睡眠時間のズレにより、海外旅行時の時差ボケと同じような不調を来す方も多くいます。その場合、ダルさや倦怠感が見られ、日中のパフォーマンスの低下につながります。

▼詳しくはこちら
朝起きてすぐに感じる疲れ…「朝バテ」は侮ってはいけない不調のシグナル
不規則な眠りが原因?身体の不調やメンタルにも影響を及ぼす「社会的時差ボケ」を徹底解説


睡眠不足から身を守ろう!今日からできること6つの習慣



さまざまなリスクをもたらす睡眠不足。では、これらの睡眠不足から身を守るために今日からできる習慣を6つ紹介します。

①睡眠時間を中心にスケジュールを組み立てる

仕事や趣味、家事、育児など「やりたいこと・やらなくちゃいけないこと」を優先すると、ついつい睡眠時間は削られてしまうものです。そこでおすすめなのが、就寝前の夜を1日のスタートにする習慣を身につけること。起きた時間からその日のスケジュールを組もうとすると、タスクを詰め込み過ぎてしまい、十分な睡眠時間が確保できないということになりかねません。

ささやかな気持ちの持ちように思われるかもしれませんが、ちょっとした心がけをつづけることが生活リズムを整えるうえでは大切なんです。

また、自身のカレンダーに睡眠時間だけでなく、寝る前のリラックスタイムも事前に入れておくなど「睡眠時間」を中心としたスケジュール調整がおすすめです。

▼詳しくはこちら
睡眠が不足しがちな社会人のあなたへ。今日から取り入れたい睡眠習慣5選

②就寝前の「デジタルデトックス」



仕事や家事、育児などがひと段落する寝る直前のひととき。目的はなくてもついスマホを手に取ってしまいますよね。しかし、疲れが溜まっている夜間のメンタル面は、日中よりも敏感な状態。些細なニュースや、仕事相手からの連絡が不眠の原因に繋がることもあります。

また、スマホやタブレット端末などのデジタル機器は至近距離でブルーライトを浴びてしまうため、“睡眠ホルモン”と呼ばれる「メラトニン」の分泌が抑制され、スムーズな入眠を阻害する可能性もあるそうです。

「入浴後はデバイスを触らない」「22時以降は通知オフ」など、就寝前はスマホなどのデジタル機器をオフにして、しっかりと心身を休ませる“デジタルデトックス習慣”を身につけましょう。

▼詳しくはこちら
日中のだるさは睡眠の質に関係あり?就寝前の「デジタルデトックス」で質の高い睡眠をゲット!

③朝に太陽の光を浴びて体内時計を整えよう

人の身体には「サーカディアンリズム」があり、それを決めるのが体内時計です。しかし、就寝時間や起床時間が一定でない生活を続けていると、この体内時計にズレが生じます。このズレをリセットするためには、太陽の光を浴びることが大切です。

また、太陽の光を浴びることで別名「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。朝起きてから分泌され始めるセロトニンは、陽が沈むと昼間作られたセロトニンを材料に、ぐっすり眠るためのホルモン「メラトニン」を分泌し始めます。つまり、快眠のためには、セロトニンを日中たくさん作っておくことが大切です。

そのためにも、朝は窓の近くや外に出て10〜30分ほど、しっかりと太陽の光を浴びましょう。

▼詳しくはこちら
睡眠の質も上がる?「幸せホルモン」の正体とは?
寝ても寝ても眠い!眠気の原因は睡眠不足?過眠の場合も!

④アルコールとの付き合い方を見直そう

“寝酒”という言葉があるように、早く寝つくためにお酒を飲むという方もいるかもしれません。しかし、飲酒後の眠りは浅くなることが報告されています。

飲酒直後はアルコールの麻酔効果によって脳の活動が低下し、ストレスを感じにくくなり眠れる場合もありますが、一方アルコールが代謝される過程で逆に脳が活性化してしまい、睡眠リズムが乱れる可能性も考えられます。

一方で、生活の中で少量の飲酒やおしゃべりを上手く取り入れて「緊張感」を下げていくことはリラックスに繋がります。深酒や過度に酔うことは避け、食事やおしゃべりのお供に少量嗜む程度が良いでしょう。

▼詳しくはこちら
【医師監修】アルコールと睡眠の関係は?お酒を飲むと眠れる?眠れない?

⑤就寝前に心を落ち着かせる呼吸法を取り入れよう

「眠いのに寝れない」「眠りが浅い」と感じている人は、呼吸法を見直してみると快眠につながるかもしれません。

特にパソコンやスマホの画面をずっと見続けている人は、気づかないうちに呼吸が浅くなりがち。呼吸が浅くなると、酸素が脳まで届きにくくなり、酸欠状態になってしまいます。眠る前には、脳をしっかり休められるよう、呼吸を意識してニュートラルな状態にしましょう。

▼詳しい呼吸法はこちら
心を落ち着かせる「丹田呼吸法」&「大の字呼吸法」のやり方やコツは?

⑥眠気を誘うツボ押し



忙しい毎日を送り、夜にはぐったり。早々にベッドに潜り込んだはずが、なぜか眠れない…。そんな入眠に関するお悩みを抱える方の味方になってくれるのが、「眠気を誘うツボ」です。疲れやなんとなくの不調を感じたときにも効果的です。

神経の流れが停滞していては、身体が訴える不調のシグナルが脳に届きづらくなります。その流れを改善し、脳が不調を察知しやすく、修復の指令を出しやすくする。これがツボ押しの目的です。

そもそも神経とは、人体の司令塔である脳と各器官をつなぐ情報伝達の役割を担います。この情報伝達の機能をしっかり働かせ、脳とのキャッチボールを瞬時に行うことが、疲れや不調をスピーディーに修復するための近道。睡眠も心身を回復させる行為のため、神経の流れをスムーズにすることが眠気の誘発につながる、というわけです。

▼詳しいツボ押しの方法はこちら
眠れないときはここを押す!眠気を誘う8つのツボとおすすめアロマ
 

慢性的な睡眠不足がつづく場合は「睡眠クリニック」へ

睡眠状態を自分で把握するのはなかなか難しいもの。自覚症状はない方であっても、睡眠クリニックに相談することができます。

睡眠クリニックには、「夜きちんと眠れているのか不安」という睡眠の質についてご相談される方もいれば、日常生活に支障が出てしまい治療のために来院される方も。

職場や学校でうとうと居眠りをしてしまって仕事や勉強がままならない。車の運転中に睡魔が襲ってきて事故を起こす危険性がある。そういった場合は、症状に合わせて本格的に治療を進めていくことになります。

睡眠状態を自分で把握するのはなかなか難しいですから、少しでも気になることがあれば、睡眠クリニックへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

▼詳しくはこちら
睡眠にお悩みがある方へ。睡眠クリニックに訪れるタイミングや相談できること
 
***

私たちの心身の健康に大きな影響をもたらす睡眠不足。

「今日くらい夜更かししてもいいよね...」と思ってしまいがちですが、その積み重ねが重大な病気のもとになってしまうかもしれません。

今日からできる“よく眠るための習慣”を取り入れつつ、慢性的な症状がつづく場合はご家族や会社と相談しスケジュールを調整したり、時には専門家に頼ることも大切です。
 

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