2020年03月26日 カテゴリ:眠り

寝不足と下痢って関係ありますか?お医者さんに聞きました!

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寝不足と下痢って関係ありますか?お医者さんに聞きました!
試験会場へ向かう電車の中や、大事な会議の途中でお腹がゴロゴロ…。私たちを突然襲う“下痢”は、本当に厄介ですよね。下痢に悩まされているあなた、ちゃんと眠れていますか?実は睡眠不足が下痢を引き起こしている可能性もあるのです。

睡眠不足と下痢の関係について、東急病院心療内科の伊藤克人先生にお話をうかがいました。伊藤先生は長年ストレス性の病気を診療してきた実績がある心療内科医。過敏性腸症候群などストレスが影響するお腹の病気のスペシャリストでもあります。
 

なんで下痢が起こるの?

――そもそも、下痢はどんな原因によって起こるのですか?

伊藤先生:下痢は大便の中の水分が多過ぎる状態。通常水分の90%は大腸で吸収されるのですが、大きく4つの原因により本来吸収されるべき水分がそのまま大便と一緒に出てしまいます。

<下痢の主な原因4つ>
①    摂取した水分や分泌される水分が吸収されない状態。
食べ過ぎや飲み過ぎ、腸で消化されにくい人工甘味料や乳製品などを口にしたときに起こります。また過敏性腸症候群では、ストレスなどにより大腸のぜん動運動が激しくなり水分の吸収時間が短くなって下痢が起こります。

②小腸で分泌される腸液の分泌が亢進(こうしん)している状態。
O-157やノロウィルス、コレラ菌、サルモネラ菌などのウィルスや細菌に感染すると、腸液の分泌が必要以上に多くなり、そのまま大便と一緒に出ることで下痢になります。場合によっては、腸の粘膜を痛めて浸出液が出ることがあります。

③腸の粘膜で炎症が起きて浸出液が出ている状態。
潰瘍性大腸炎やクローン病で起こります。この場合は慢性的な下痢です。

④水分の吸収不良による状態。
膵炎などで脂肪分解吸収酵素が出にくくなると、慢性的な下痢になります。

――下痢の原因にはいろんなものがあるんですね!

伊藤先生:③④の場合は、下痢以外に時には血便など他の症状が出ます。進行性の病気の場合もあるので、きちんと病院で受診をしてください。②は感染力が強いですし、脱水症状を伴う場合もあるので、早めの治療が必要です。大きな疾患を患っていないのに、突然下痢に襲われる方は①の原因がほとんどです。

――大事な日に限って下痢に襲われることがあるのですが…。

伊藤先生:それは①でも触れている過敏性腸症候群が原因です。

――そういう場合、カラダの中でどんなことが起きているのですか?

伊藤先生:腸の運動は自律神経系がコントロールし司っています。過度なストレスを感じると自律神経系のバランスが崩れ、腹痛や下痢が起こるのです。

 

お腹がゴロゴロ…最近ちゃんと眠れている?

――自律神経系と腸の運動についてもう少し詳しく教えてください。

伊藤先生:腸の動きは自律神経系によってバランスを保っています。私たちが活動しているときは交感神経が働き腸の働動きが弱まります。一方、休息しているときは副交感神経が働き、大腸の働動きを強めます。睡眠中は副交感神経が働き大腸で水分が吸収されながら便が動いて、起床後に排便が起こるのです。ところが、大きなストレスを認識すると“情動”の中枢である大脳辺縁系に不安や緊張といった情動が発生し、自律神経系の中枢である視床下部に信号が送られます。ストレスが大きければ大きいほど、その信号が過剰に伝わり視床下部がオーバーワーク状態になってしまいます。そうなると自律神経系のバランスが崩れてしまい、大腸の動きもバランスを崩し下痢を起こしてしまうのです。

――腸の動きは自律神経系と関係していたんですね。睡眠不足も下痢に影響しますか?

伊藤先生:その通りです。過度な睡眠不足は自律神経系のバランスを崩してしまうので、下痢になりやすくなります。ちなみに下痢ではなく、便秘になる方もいます。実際、不規則な生活サイクルを送る看護師さんなどで、夜勤明けに下痢になったり便秘になったり、お腹の調子に悩まされている方が少なくありません。
 

「今すぐ止めたい!」下痢になったときの対処法と予防法

――では下痢になってしまったらどうすれば良いのでしょうか?

伊藤先生:下痢の原因によって大きく異なります。食べ過ぎや飲み過ぎは、市販の下痢止めで対処できます。人工甘味料や乳製品がカラダに合わない人はできるだけ摂らないようにしましょう。潰瘍性大腸炎など胃潰瘍が原因の場合は強い腹痛や血便なども見られるのですぐに医療機関を受診。O-157やノロウィルスなどの感染症は、嘔吐やひどい下痢が続くことが多いので医療機関を受診してください。特に脱水症状を起こしている場合は至急の治療が必要です。

――過敏性腸症候群の場合はどうすれば良いでしょうか?

伊藤先生:自律神経系のバランスを整えることが最も大切。起床、就寝といった基本的な生活リズムを崩さないこと。睡眠を十分に摂れば、自律神経系の中枢である視床下部のバランスが保てます。寝る前に甘いものや炭水化物を摂り過ぎると胃腸に負担がかかりますし、睡眠の質も低下するのでNG。また、寝る前1時間は、スマートフォンやパソコンから離れてリラックスしてください。そうすることで副交感神経の働きが促されて、腸も正常に働きます。十分な睡眠時間は個人によって異なるので、起床したときの満足感で判断すると良いでしょう。また、“メリハリ”も大切です。活動するときは元気に活動する、休息するときはゆったりとリラックスする。日常生活のなかでメリハリをつけると自律神経系のバランスが整い、下痢にもなりにくくなるでしょう。

――下痢予防のためにも“良い睡眠”は大切なんですね。

伊藤先生:私たちの日常生活で重要な働きをする自律神経系のバランスを整えるためにも、睡眠の質を高めることは非常に重要です。自律神経系の働きは意識的に制御することができません。ですが、活動と休息のメリハリをつけ、そして睡眠時間をしっかり確保することで自律神経系のバランスを保つことができます。下痢に悩んでいる方は、ぜひ質の良い睡眠をとるように心掛けてください。
 

下痢に困ったら、睡眠サイクルを見直そう!

東急電鉄(株)の産業医も務める伊藤先生。不規則な勤務時間で睡眠に悩む駅員さん、運転士さんも仮眠の質をアップさせたことで、健やかに勤務できるようになったんだそうです。慢性的に睡眠不足の方は、夜の睡眠だけでなくお昼寝を取り入れるのも効果的ですよ。睡眠不足を解消して、お腹のゴロゴロも解決しましょう!
   

心療内科医/東急病院心療内科医長

伊藤克人先生

1980年筑波大学卒業。東京大学医学部附属病院分院心療内科入局。1986年東急病院、東急健康管理センター着任。長年、ストレスによる過敏性腸症候群やめまいなど様々な症状を治療。また労働衛生コンサルタントとして、労働環境の改善や産業医の育成にも携わっている。『最新版 過敏性腸症候群の治し方がわかる本』(主婦と生活社)等、著書多数。

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