2021年10月29日 カテゴリ:眠り

急に起きて動いたり、はっきりと寝言を言ったりするのはなぜ?小児科医に聞く睡眠中の子どもの行動

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急に起きて動いたり、はっきりと寝言を言ったりするのはなぜ?小児科医に聞く睡眠中の子どもの行動
眠っているはずなのにしゃべり出したり、目は閉じているのに起き上がって移動したり…。子どもの寝ている時の様子は、大人と違う部分がたくさんあり、思わず「大丈夫?」と不安になることもありますよね。

今回はそんな睡眠中の子どもの行動について、子どもの睡眠の悩みに答えるサイト『すいみんトラブルどっとこむ』を運営する昭和大学藤が丘病院小児科長の池田裕一先生に教えてもらいました。

 

年齢とともに成熟していく眠りのシステム

寝ている子どもによく見られる「寝言」や「体動」。目は閉じているにもかかわらず、急におしゃべりを始めたり、むくっと起き上がり移動したり…。わが子の突然の言動にびっくりさせられたというお父さん、お母さんも多いはず。

そもそも子どもと大人の睡眠には大きな違いがあり、脳波の状態や睡眠の深さにも差があると池田先生は話します。

「新生児期は昼夜の区別がついていない状態。生後0〜3カ月のうちは、多相性睡眠という短時間での眠りと覚醒を繰り返しています。その後、夜の睡眠時間が徐々に長くなり、1歳以降では、日中に眠るのは午後1回の昼寝だけに。3〜4歳くらいになると昼寝も必要なくなり、これまで断続的だった睡眠がだんだんと夜間にまとまるようになってきます」(池田先生)

この眠りと覚醒の特徴が、大人と同じように「昼は活動し、夜は眠る」というパターンになってくると、睡眠脳波も安定し夜間の寝言や体動も減ってくるようです。

「大人は脊髄から筋肉へ『寝ている間は身体を動かさない』という指示が出ていて、夢と連動して身体が動かないように制御されています。ところが子どもの場合、睡眠時の身体の抑制が未成熟なため、夢と連動してしゃべったり、身体を動かしたりしてしまうんです」(池田先生)

目を閉じて寝ていたとしても、脳波を見てみると覚醒の状態だったりするんだとか。頻繁な寝言や体動は、脳波や睡眠時の抑制機能の発達とともに徐々に安定し、大人と同じように眠れるようになるそうです。

「子どもが急に動きだしたことに驚いて、部屋の電気をつけたり、話しかけてしまったりすると本格的に覚醒してしまい、睡眠の質の低下に繋がってしまいます。ですからそのような行動が見られた場合は、声をかけたりせず静かに見守ってあげてください。そうすれば数分で、再び眠りに入ります」(池田先生)

また、睡眠の質について、池田先生から「日中の活動から判断しましょう」とアドバイスをもらいました。

日中眠くなってしまったり、普段よりも昼寝をたくさんしてしまったりするようであれば、夜間ぐっすりと眠れていない証拠。その場合は夜中の睡眠の質を改善してあげる必要がありますが、昼間の活動が活発で問題なければ、夜中体動や寝言が多くても気にしすぎる必要はないそうです。

 

夕方以降は興奮させず、穏やかに過ごすと入眠しやすくなる

絵本を読む親子
睡眠時のメカニズムが未発達なのと同じように、「寝付きの良さ」も成長とともに安定してくるそうです。

人は「深部体温」と呼ばれる身体の内部温度が、2℃程度下がったタイミングで眠りに入っていきます。しかし子どもの頃は熱の放散がうまくできないため、ひんやりとした場所を探して布団の上をゴロゴロしたり、手足をバタバタさせて体温を下げようとしたりするんだとか。これも子どもの寝相が激しい理由のひとつです。

「子どもが眠くなってきた時、手足が温かくなってくるのは、身体の末端から熱を放散しようとしているからです。個人差はありますが、3〜5歳で睡眠が安定してくれば、うまく身体の熱が放散できるようになり、身体を動かさなくても眠れるようになってくるはずです」(池田先生)

お風呂から上がって、すぐに布団に入るよう促しても、身体がポカポカの状態ではうまく寝付けず、入眠に時間がかかります。入浴後は1時間程度穏やかに過ごし、体温が緩やかに下がってくるタイミングを見て布団に促すのが良いそうです。また、体温が下がり入眠しかけていても、室温が高いと再び覚醒してしまうことも。暖かすぎるよりも、若干涼しい室温設定の方が、スムーズに眠りを誘うようです。

「早く寝て欲しくて『おばけが来るよ!』と、寝室へ連れて行こうとする親御さんもいますが、あれも実は逆効果。寝る前に恐怖を感じると、そのことが気になってうまく寝付けなかったり、夢に出てきたりと、ぐっすり眠ることが難しくなります。ですから、『早くお布団に行けば夢で妖精さんと楽しく遊べるよ』とポジティブな声をかけてあげてください」(池田先生)

また、自然な睡眠を促す睡眠ホルモンの「メラトニン」による影響も、寝付きの良さにかかわってくるため、午前中は身体をしっかり動かして太陽の光を浴び、メラトニンの原料となるホルモン「セロトニン」を作ることも大切と話す池田先生。

「小さい頃から室内でゲームばかりやっていると、メラトニンの生成が安定せず、睡眠システムが成熟しません。そのまま成長すると5〜6歳になっても眠りが安定せず、昼夜逆転の生活が定着してしまい、場合によっては小学校入学以降に不登校に繋がることもあるため気をつけましょう」(池田先生)

 

生活に影響を及ぼす場合は受診を

睡眠中の子どもの行動は自然と落ち着いてくるので「これも今だけの行動なんだ」と見守ることが大切です。しかし場合として、叫び続けたり激しく泣いたりする『夜驚症(やきょうしょう)』という症状であることも。この症状も成長とともに穏やかになっていきますが、本人の日中の生活や、家族の睡眠に影響を与えるようでしたら、一度小児科に相談してみてください。

疑問の多い睡眠時の子どもの言動。大人とは睡眠のメカニズムは違うということを理解し、日中の活動の様子も意識しておけば、安心して見守ることができそうです。

 

医師。昭和大学医学部小児科教授

池田裕一 先生

昭和大学藤が丘病院小児科でおねしょ・おもらし外来を担当。小児科HP上におねしょ・おもらし相談室を開設し、おねしょやおもらしで悩む多くの保護者からの質問に回答する。日本小児泌尿器科学会理事、日本夜尿症学会理事、第29回日本夜尿症学会大会長。 すいみんトラブルどっとこむ おしっこトラブルどっとこむ

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