カテゴリ:眠り
寝言をはっきり喋る、怒る、叫ぶ?原因と対策を睡眠の専門医が解説
夜中、同じ部屋で寝ている家族の寝言で起こされてしまったり、反対に「寝言を言っていたよ」と起こされたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。時には突然、叫んだり、怒鳴り声をあげたり、家族に心配されるケースもあるようです。
そもそも「寝言」はなぜ起きるのでしょうか。睡眠の側面から心身をサポートする『青山・表参道 睡眠ストレスクリニック』の院長、中村真樹先生に寝言のメカニズムと対策について伺いました。
「通常、夢を見るとされるレム睡眠中は脳から全身の筋肉に『動くな』という指示が出ています。そのため、夢の中で話したり体をうごかしても実際には言葉を発することもなく、身体も動かない状態が維持されるのです。しかし何らかの原因でこの機能が崩れると、夢に合わせて寝言を言ったり体を動かすようになります。この代表的な病気が『レム睡眠行動障害』です。ただし、レム睡眠行動障害は年齢や神経系の病気の影響があるので、50歳以降の男性に多い傾向があります。」(中村先生)
子どもの頃は、睡眠をコントロールする脳のシステムが未発達のため、寝言をよく発する子も多いそうですが、成長とともに眠りをコントロールする脳のシステムも発達し、だいたい25歳までには、寝言・寝ぼけは自然になくなっていくようです。
「しかし、年齢に関係なく、生活習慣の乱れや強いストレス、寝る間際のアルコールやカフェインの摂取が原因で眠りが不安定になると、寝言が出ることがあります。また、テレビなどで見たセンセーショナルな内容が記憶に刻まれ、夢内容として追体験されることで夜中にうなされたり、寝言を発することもあります」(中村先生)
中村先生に「寝言」の悩みを相談しに来る人の中には、寝ている時に大声で叫んだり、怒鳴ったというケースもあるそうです。
日中穏やかな父親が、「眠っているときの夜中に聞いたこともないような暴言を吐いて怒り出した」と、心配した家族に連れられて相談にくる人もいるそうですが、当の本人は翌朝にそのことを指摘されても「怒鳴っていた記憶もないし、どんな夢を見ていたのを覚えていない」と不思議そうにしているとか。
「人は夢を見るとされるレム睡眠から深い眠りのノンレム睡眠に移行すると、直前のレム睡眠時に見ていた夢を忘れてしまう傾向にあります。そのため、朝起きた時に『寝言を言っていたよ』と言われても、覚えていません。また、眠っている時は理性が働かないため、日中我慢していることが夢で出てしまったときに、意外な一面性が寝言に現れることもあります。
大抵の寝言は数分でおさまるので、そこまで気にする必要はないですが、あまりにもうなされて苦しそうにしているようならば、起こしてあげて夢をリセットしてあげてもいいでしょう」(中村先生)
原因については、未解明の部分も多い寝言ですが、夢は日常の記憶に紐づいているため、日中に心の中に溜めていた怒りや不安が出てきやすいとのこと。リラックス効果のある薬や漢方薬を処方してもらう場合もあるようですが、まずは心配事や不安を減らすことと、寝る前は気分転換してリラックスすること、そして、規則正しい生活することが寝言対策に効果的とのことでした。
「PTSDの場合、不安・恐怖に慄(おのの)くような、助けを求めるような寝言が多く認められます。他には、てんかんの発作や睡眠時無呼吸症候群などの場合、唸るような声をあげることも。脳機能障害がある方や、70歳以上の高齢者には『せん妄』という意識障害の症状として寝ぼけ・寝言が認められることもあります。寝言がどのような状況で起きているのか、寝言と併せて異常な行動がないか、合併症の可能性がないかなど、場合によっては、精密に調べた方が良いケースもあります」(中村先生)
20〜30代で、数分程度ぶつぶつと寝言を言ったり、身体がちょっと動く程度であれば病気の可能性は低いですが、寝言・寝ぼけに前後して身体が痙攣していたり、毎日のように悪夢にうなされる場合は、何らかの病気が隠れているかもしれないので、睡眠障害を専門にする医師(日本睡眠学会専門医)に相談すると良いでしょう。
コロナ禍の今、大人だけでなく子どももストレスを抱えがちです。リラックスできる時間を持ち、穏やかな気持ちで眠りにつけるように意識してみてはいかがでしょうか。
そもそも「寝言」はなぜ起きるのでしょうか。睡眠の側面から心身をサポートする『青山・表参道 睡眠ストレスクリニック』の院長、中村真樹先生に寝言のメカニズムと対策について伺いました。
寝苦しさなどの外的要因や、レム睡眠時に見る夢が影響しているケースも
寝言とは、睡眠中の発語や発声のことで、日本人の約66%の人が1度は経験しているそう。その原因はさまざまで、室温が高く寝苦しいなどの外的要因もあれば、眠りの浅いレム睡眠時に見る夢が影響していることも多いと中村先生は話します。「通常、夢を見るとされるレム睡眠中は脳から全身の筋肉に『動くな』という指示が出ています。そのため、夢の中で話したり体をうごかしても実際には言葉を発することもなく、身体も動かない状態が維持されるのです。しかし何らかの原因でこの機能が崩れると、夢に合わせて寝言を言ったり体を動かすようになります。この代表的な病気が『レム睡眠行動障害』です。ただし、レム睡眠行動障害は年齢や神経系の病気の影響があるので、50歳以降の男性に多い傾向があります。」(中村先生)
子どもの頃は、睡眠をコントロールする脳のシステムが未発達のため、寝言をよく発する子も多いそうですが、成長とともに眠りをコントロールする脳のシステムも発達し、だいたい25歳までには、寝言・寝ぼけは自然になくなっていくようです。
「しかし、年齢に関係なく、生活習慣の乱れや強いストレス、寝る間際のアルコールやカフェインの摂取が原因で眠りが不安定になると、寝言が出ることがあります。また、テレビなどで見たセンセーショナルな内容が記憶に刻まれ、夢内容として追体験されることで夜中にうなされたり、寝言を発することもあります」(中村先生)
ストレス緩和と規則正しい生活が寝言改善のポイント
中村先生に「寝言」の悩みを相談しに来る人の中には、寝ている時に大声で叫んだり、怒鳴ったというケースもあるそうです。
日中穏やかな父親が、「眠っているときの夜中に聞いたこともないような暴言を吐いて怒り出した」と、心配した家族に連れられて相談にくる人もいるそうですが、当の本人は翌朝にそのことを指摘されても「怒鳴っていた記憶もないし、どんな夢を見ていたのを覚えていない」と不思議そうにしているとか。
「人は夢を見るとされるレム睡眠から深い眠りのノンレム睡眠に移行すると、直前のレム睡眠時に見ていた夢を忘れてしまう傾向にあります。そのため、朝起きた時に『寝言を言っていたよ』と言われても、覚えていません。また、眠っている時は理性が働かないため、日中我慢していることが夢で出てしまったときに、意外な一面性が寝言に現れることもあります。
大抵の寝言は数分でおさまるので、そこまで気にする必要はないですが、あまりにもうなされて苦しそうにしているようならば、起こしてあげて夢をリセットしてあげてもいいでしょう」(中村先生)
原因については、未解明の部分も多い寝言ですが、夢は日常の記憶に紐づいているため、日中に心の中に溜めていた怒りや不安が出てきやすいとのこと。リラックス効果のある薬や漢方薬を処方してもらう場合もあるようですが、まずは心配事や不安を減らすことと、寝る前は気分転換してリラックスすること、そして、規則正しい生活することが寝言対策に効果的とのことでした。
PTSDやてんかん発作が原因となることも…?寝言に見る病気の可能性
なかには、心的外傷後ストレス障害(PTSD)・不安障害など、過去の強烈なストレス体験がもとになって毎晩悪夢にうなされるという人もいるそうです。「PTSDの場合、不安・恐怖に慄(おのの)くような、助けを求めるような寝言が多く認められます。他には、てんかんの発作や睡眠時無呼吸症候群などの場合、唸るような声をあげることも。脳機能障害がある方や、70歳以上の高齢者には『せん妄』という意識障害の症状として寝ぼけ・寝言が認められることもあります。寝言がどのような状況で起きているのか、寝言と併せて異常な行動がないか、合併症の可能性がないかなど、場合によっては、精密に調べた方が良いケースもあります」(中村先生)
20〜30代で、数分程度ぶつぶつと寝言を言ったり、身体がちょっと動く程度であれば病気の可能性は低いですが、寝言・寝ぼけに前後して身体が痙攣していたり、毎日のように悪夢にうなされる場合は、何らかの病気が隠れているかもしれないので、睡眠障害を専門にする医師(日本睡眠学会専門医)に相談すると良いでしょう。
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コロナ禍の今、大人だけでなく子どももストレスを抱えがちです。リラックスできる時間を持ち、穏やかな気持ちで眠りにつけるように意識してみてはいかがでしょうか。
青山・表参道 睡眠ストレスクリニック院長
中村真樹先生
日本睡眠学会専門医。東北大学医学部卒業、東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。その後、睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」を開院。臨床と研究、両面の実績があり、睡眠に悩む多くの患者さんの治療にあたっている。ビジネスパーソン向けの書籍『仕事が冴える眠活法』(三笠書房)も話題に。
https://omotesando-sleep.com/
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