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睡眠とパン作りで叶える親子のコミュニケーション。『日々のパン』と対談

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睡眠とパン作りで叶える親子のコミュニケーション。『日々のパン』と対談
子育てと寝不足——。

この問題に悩まされている人は少なくないはず。

その1人がnishikawaの社員であり、スリープマスターの資格を持つ田中大地です。

田中はパパになったばかりで、初めての育児に奮闘する毎日。

そこでお招きしたのが、全国各地の幼稚園や保育園を中心に出張パン教室を開催し、パン作りを通じた親子のコミュニケーションを目指し、時短かつ簡単な道具と材料で作れるパンのレシピを伝える『日々のパン』の代表講師吉永麻衣子さん。

新米パパの田中にとって、吉永さんは3児を育てる先輩ママ!

育児のお悩みから睡眠のお悩み、さらにはパンを手作りしたくなるお話まで、二人のトークセッションをお届けします。

   

育児もパン作りも、思いどおりにいかないおもしろさ



—— 『日々のパン』を主宰されている吉永さん。パン作りに魅了されたのは、ご出産前のことだったそうですね。

吉永さん:結婚前、母から「行ってみたら?」とパン作り体験のチラシを渡されたことがきっかけです。

ただ、原体験はもっと前。私の母もパンを手作りする人なんです。だから私も子どものころから、パン作りを手伝っていました。

—— 田中さんは、パン作りのご経験は?

田中:いや、まったくないですね(笑)。パン作りって、どうしてもハードルが高いというか、難しそうなイメージです。

吉永さん:そうですよね。でも、だからこそ、パン作りは楽しいんです。

「本当に焼けた!」という喜びは格別。私が最初に手作りしたのは、くるみパン。こんがりと焼けて小さくて、愛おしい気持ちで食べた記憶は一生物です。

—— “まるで自分みたい”というお言葉。『日々のパン』のサイトにはパン教室を体験されたママの感想として、「パン作りは子育てに似ている」ともつづられていますね。

吉永さん:真っ黒に焦げてしまったり、過発酵になってしまったり。“こうすればこうなる”という絶対的な成功のセオリーがないことが、パン作りのおもしろさです。

なぜなら、パン作りに必要なイーストは酵母菌。つまりは生き物です。生き物であるからこそ、確固たるセオリーが存在せず、思ったようにいかないのは育児も一緒ですよね。

田中:私は父親になったばかりで、先日育休から復帰しました。娘はもうすぐ2カ月になりますが、思いどおりにいかない育児の大変さも楽しさも、まさに痛感しています。

吉永さん:2カ月ですか!かわいい盛りですね。

ただ、新生児の時期って、怖くもあると思うんです。ふわふわで、今にも壊れそうで、常に不安に襲われて。私が長男を産んだ直後なんて、「お腹にいたほうが気分的には楽だったじゃない!」と思ったくらい(笑)。

田中:おっしゃるとおり、少しでも泣くと放っておけません。落ち着く時間がなかなか取れず、スリープマスターを名乗っておきながら、最近は寝不足気味です(苦笑)。

吉永さん:子どもが泣くと、起きざるを得ないですからね。昼も夜も、常に気を張りっぱなし。

特に第1子の子育ては、神経質になりがちです。私自身、食に関してもこれは何歳まではだめ、あれは何歳までは控える、など厳しく決めていました。

それが少しずつ、手を抜いても大丈夫な加減が見えてきます。その結果、2人目、3人目に関しては、両親から「長男のときは、あんなにうるさかったのに」と呆れられるくらいにゆるゆる(笑)。経験がモノを言うところも、パン作りと育児は似ています。

 

ぐっすり添い寝するには“掛け寝具は1人に1セット”


 
—— 3児のママだからこその、心強いお言葉!一方、睡眠についてはいかがでしょう?

吉永さん:添い寝問題ですね。家族一緒に川の字で寝ているものの、子どもって、体温が高いじゃないですか。暑がっているのか、掛けふとんを蹴飛ばしては目を覚ましちゃうんです。でも、おふとんを掛けないままでは寒いだろうし、どうすれば良いでしょうか?

田中:親子ともに深い眠りを得られやすいのは別室で寝ることなんです。それが難しい場合には、同じ寝室であってもベッドやふとんは分けること。

とはいえ、日本を含むアジア圏には添い寝の文化があるため、なかなか難しいですよね。そうした文化的な側面を踏まえると、上に掛ける寝具を分けるだけでも違います。

吉永さん:なるほど!同じベッドに寝ていても、掛けふとんやタオルケットは1人ずつにすると良いんですね!それなら実践できそうです。

ちなみに田中さんのお宅では、娘さんとは別々に?

田中:はい。事前にベビーベッドを準備して、別々に寝るようにしています。ただ、娘が泣き始めるとダメですね。すぐに抱き上げて、結局は添い寝をしてしまうことがあります。

吉永さん:そうなりますよね(笑)。でも、添い寝ができるのも今のうちだけ。うちなんて、春から中学生の長男が「自分の部屋が欲しい」と言い出したので、その準備もしなくちゃいけなくて。子どものための寝室づくり、どうしたらいいのでしょう?

田中:注意したいのが、遮光カーテンです。外の街灯がまぶしい場合には、とても有効です。

ただ、朝は太陽の光で自然に目を覚ますのが理想的です。夜の光が気にならない環境であれば、遮光タイプではないカーテンをおすすめします。

あと照明は、白い明るい光とオレンジの優しい光を切り替えられるタイプを選ぶようにしてください。

集中力を高めるには白い明るい光が効果的な一方、交感神経を高ぶらせてしまうため、眠りには悪影響。就寝の少し前からオレンジの優しい光に切り替えると、寝つきが良くなります。
 

スリープマスターが実践する“バトン制”の夜泣き対策



—— 田中さんは新米パパ。「最近は寝不足気味」だそうですが、どんな改善策がありますか?

田中:眠れないながらも睡眠のリズムを整えるため、工夫を始めたところです。妻は比較的夜型、私は朝型なので、朝4時を区切りに夜泣きの対応をバトンタッチするようしています。

吉永さん:娘さんが夜泣きをしても、田中さんは朝4時までは寝ることに専念。反対に朝4時以降は奥さまが寝ることに専念する、ということですか?

田中:はい。娘の泣き声を聞くと目が覚めますし、抱き上げたくもなるんです。

でも、朝4時までは妻に任せて、抱っこするのはぐっと我慢(笑)。横になって目をつぶっているだけでも、多少は疲れが取れます。これを始めて1カ月、少しずつ慣れて、自分なりの睡眠のリズムが整ってきましたね。

吉永さん:すばらしい、さすがはスリープマスターですね!

私が長男を産んだときなんて、本当にボロボロの状態。なにもかもが初めてだけに頑張りどころがわからず、全力投球しては疲弊してました。特に長男が1歳になるまでは、時間が過ぎるのもすごく遅く感じてましたね。

田中:わかります。「やっと1日が終わった…!」という感覚になりますよね。

吉永さん:ですよね。常に気を張っているのに忙しいわけでもないから、「今日もなにもできずに終わった」という徒労感に苛まされて、すると今度は、社会に置き去りにされるような孤独感に襲われて。なおかつ、夜泣きもあるから常に寝不足でしたね。

周りの先輩ママには「子どものお昼寝と一緒に寝ちゃえばいいのよ!」と言われていたんですけど、私にはそれができない。

なぜなら子どもがお昼寝をしている間は、貴重なパン作りの時間(笑)。ヘロヘロでしたが、パンを作らずにはいられませんでした。

 

パン作りは社会への自己表現であり、子どもへの愛情表現



—— ヘロヘロでもパンを作らずにはいられない。その理由は何だったのでしょう?

吉永さん:パン作りがストレス発散の行為でもありましたし、パン作りが社会に対する自己表現でもあったからです。パン教室が増えた今でも、“パンはお店で買うもの”というイメージが根強いですよね。でも、作れる。作れる自分を褒めてあげられる行為なんです。

それに自分で作れば、子どもに安心な材料だけを選んであげられます。つまりは、パン作りは子どもへの愛情表現でもあるんです。うちの子どもたちは、離乳食も手作りの「パンがゆ」。それにスティック状に焼いたベーグルが歯固めがわりでしたから(笑)。

田中:パン作りは子どもへの愛情表現。がぜん、挑戦したくなってきました(笑)。

吉永さん:ぜひ!本当におすすめです。

ただ、パン作りは確かに手間がかかります。特に2人目が生まれてからは長男と次男が同じタイミングにお昼寝をするとも限らず、第1子のとき以上にバタバタ。パン作りをする時間も取れず、ストレスが溜まる一方でしたね。

そのころに考案した「基本の切りっぱなしパン」は、育児の合間にはもちろん、初めてパンを作る方にも一押しです。オーブンを使わずにトーストで焼き上げるので、すごく楽ちん。見た目はちょっと無骨でも、こんがり付いた焼き目がおいしいんですよ。

▼「基本の切りっぱなしパン」のレシピはこちら!

https://hibinopan.jp/recipe/04kihon/


田中:トースターでもパンが焼けるとは…!一気にハードルが下がりますね。

吉永さん:トースターでもおいしくパンが焼けるのか、私自身、ダメ元の挑戦でした。あまりにも時間がないものだから、「ものは試し!」だと思って(笑)。それが想像していた何倍もおいしく焼けて、そのときに感じました、私は意地悪だったな、って。

田中:意地悪、とはどういう意味ですか?

吉永さん:子どもが生まれる前からパン教室を開いていましたが、通常のパン作りはやっぱり手間。もちろん、だからこそのやり甲斐も、おいしさもあります。

その当時は「簡単」といいつつ、オーブンを使用した、いわゆる“映える”パンを生徒さんに教えていました。

でも今考えると、子育ての合間に作るには、ちょっと現実的じゃない。2人目を産んで、究極にしんどい時期を過ごしたことで、そんなレシピばかりお伝えしてきたことを反省したんです。

田中:吉永さんのお話、とても共感します。

私自身、自分が育児をする立場になって初めて、「こんなにも眠れないのか!」と衝撃を受けました。日本人の睡眠時間は世界的にも短く、OECD加盟国のなかではワースト1位。特に女性は眠れていません。

そうした状況を改善すべくnishikawaでは睡眠に関するセミナーを行い、私も眠りのご相談にお答えしてはいましたが、そのお悩みに本当に寄り添えていたのかどうか…。眠ろうにも眠れないつらさを知り、ハッとしました。

   

子どもの笑顔のためにも、よく楽しみよく眠る毎日を!



—— 吉永さんも田中さんも、それぞれが育児の経験を通じ、ご自身のプロフェッショナルに磨きをかける。素敵なお話の終わりに、今日のご感想を聞かせてください。

吉永さん:田中さんも私もそうだったように、育児は気づきの連続だな、と改めて思いましたね。その気づきが積み重なって、上手に手抜きができるようになります(笑)。

逆に私は子ども達に対する眠りの知識もいただいたので、すぐに実践したいと思います!

田中:ありがとうございます。私はなにより、心が軽くなりました。あまり心配しすぎず、ドンと構えることも大事なんですね。実際、ほんの2カ月ではあるものの、育児を経験して、ちょっと語弊はありますが、ゲームにも似た楽しさを感じつつあるんです。

今日はミルクをこんなに飲んでくれた、今日は吐き戻しをしなかった、今日はこんなに寝てくれた!毎日のように1つずつ問題をクリアするたびに、ものすごく達成感があります。

吉永さん:ご自身の成長も娘さんの成長もゲーム感覚、良いと思います(笑)。

そうした達成感の1つに、パン作りも加えてみてください。娘さんがもうちょっと大きくなったら、一緒に手作りするのも楽しいですよ。

焼く工程を除けば、パン作りは危なくありません。

田中:確かに“混ぜて、こねて”というイメージがありますね。

吉永さん:そう。混ぜるくらいなら1歳、2歳でもできますし、うちでは子どもたちが“こねる担当”として活躍しています(笑)。ただし、全工程を一緒にやろうとしないこと。パン生地を寝かせる段階で、いったん、今日はおしまいにすることがポイントです。

すべての工程を子どもと一緒にやろうとすると、ママもパパもかえって大変。1つの工程だけなら親御さんの負担も少なく、子どもたちは達成感を味わえます。「あのパン、形はヘンテコだったけど、おいしかったね!」なんて、思い出にもなりますよ。

田中:ついつい想像してしまいますね、娘と一緒にパンを作って、一緒に食べている様子(笑)。そして、自分の時間も眠りの時間も、やはり大切にしなければ、と改めて感じました。

親の元気がなくなると、子どもにも影響してしまうはずです。家族みんなが笑顔でいるためにも、よく楽しんでよく眠る。今日の気づきをパワーに、育児に向き合おうと思います。

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