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【専門家監修】睡眠障害とは?症状からセルフチェックの方法、治し方まで紹介

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【専門家監修】睡眠障害とは?症状からセルフチェックの方法、治し方まで紹介
ひと口に「睡眠障害」といっても、その種類は驚くほどにさまざま。ご自身の睡眠に不安を覚えつつも障害や病気ではないと自己判断し、適切な処置がとれないということも…。

そこで、睡眠障害の具体的な症例はもちろん、簡単にできるセルフチェックと症状に合わせた予防・改善策もご紹介!教えてくれたのは、睡眠の面から心身の健康をサポートする『青山・表参道 睡眠ストレスクリニック』の院長、中村真樹先生です。

 

「睡眠障害」とは?その種類と具体例をピックアップ

そもそも、睡眠障害とはどのような状態を指すのでしょうか?

「睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態のことです。なかなか寝付けなかったり、日中に強い眠気を感じたり、睡眠中に異常行動が出たりなど、睡眠障害にはさまざまな種類があり、大きく分類すると7種類、細かく分類すると約70もの疾患があります」

では、睡眠障害にはどのような種類があるのか、大きな7分類をご紹介しましょう。

不眠障害(不眠症)
主な症状に、なかなか寝付けない「入眠障害」、入眠後に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、通常の起床時刻よりも2時間以上前に目覚め、再入眠ができない「早朝覚醒」などがあり、これらの症状によって日中の活動に影響を来している状態。

睡眠関連呼吸障害群
睡眠中に呼吸が浅くなったり、止まったりする状態。そのために睡眠の質が低下し、寝起きの悪さや日中の眠気、疲労感を引き起こす。よく知られた疾患に「睡眠時無呼吸症候群」があり、主な症状はいびき。ほかに中途覚醒時や起床時に口の渇きを覚えることも。

中枢性過眠症群
覚醒を維持する中枢神経系(脳)の異常が原因で日中に強い眠気に襲われる状態。、主な疾患に「ナルコレプシー」「特発性過眠症」「クライネ・レビン症候群」があるほか、医学的に必要とされる睡眠時間を満たしていないことで日中に強い眠気を来す「睡眠不足症候群」も同群に含まれる。

概日リズム睡眠・覚醒障害群
夜更かしや徹夜、交代勤務を続けたことで体内時計が乱れてしまい、望ましい時間に眠れない、起きられない状態。主な疾患に「睡眠・覚醒相後退障害」があり、大人だけでなく、夏休みや冬休みといった長期休暇に夜更かしを続けた学生に発症するケースも。

睡眠時随伴症群
いわゆる「寝ぼけ」など睡眠中に起こる異常な行動や体験を特徴とする疾患。レム睡眠時に見る夢に合わせて寝言や行動を起こしてしまう「レム睡眠行動障害」や、起床時に周囲の状況がすぐに飲み込めず、精神的に混乱してしまう「錯乱性覚醒」などがあるほか、歯ぎしりや夜尿も同群に含まれる。

睡眠関連運動障害群
睡眠中に生じる単純かつ同じ動きを繰り返すような運動のため、睡眠が妨げられる状態。主な疾患に脚などに生じる不快感によって寝つきが悪くなる「むずむず脚症候群」や、睡眠中に手足が周期的かつ小刻みにピクピクと動いてしまう「周期性四肢運動障害」などがある。

身体疾患及び神経疾患に関連する睡眠障害
頭痛や胃の内容物の逆流、てんかんをはじめとする特定の病気を原因として、睡眠が妨げられる状態のこと。プリオン病の一種である遺伝性の疾患「致死性家族性不眠症」も同群に含まれる。

その他の睡眠障害
国際的に解明されている睡眠障害に当てはまらないものは「その他」に分類される。

 

軽視は禁物!睡眠障害の陰に潜んだ病気とは?

ご紹介したとおり、睡眠障害の種類は実にさまざま。なかにはいびきを主症状とする睡眠時無呼吸症候群や眠っているときの手足のピクつきを主症状とする周期性四肢運動障害のように、自覚するのが難しいケースもあります。

「しかし、睡眠障害を軽視してはいけません。心身の健康に良質な睡眠が不可欠なのはもちろんのこと、睡眠障害の陰に、また別の病気が隠れていることもあるからです。睡眠とメンタルは深く関わり、うつ病の患者さんに不眠の症状が見られることは広く知られていますが、身体の病気が不眠を引き起こしていることもあるのです」

睡眠障害の原因として考えられる代表的な病気
不眠症状:甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血
過眠症状:睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害、アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血
睡眠時無呼吸症候群:甲状腺機能低下症、更年期障害などの内分泌疾患
むずむず脚症候群:鉄欠乏性貧血、腎臓病(透析を受けるほどに重症化した場合)
レム睡眠行動障害:パーキンソン病、レビー小体型認知症

「なかでも私のクリニックを受診される方に、甲状腺疾患や鉄欠乏性貧血によって、睡眠の質が低下しているケースもあります。鉄欠乏や甲状腺機能低下症では過眠症状を認めることが多く、逆に甲状腺機能亢進症で甲状腺ホルモンが異常に分泌されると興奮状態が長く続くことから、眠りづらくなってしまうのです」

甲状腺疾患や鉄欠乏性貧血は女性に多い疾患ですが、女性よりも男性の発病率が高いとされているのが睡眠時無呼吸症候群。しかし、女性ホルモンが減少すると女性の発症率が高まるため、更年期を迎えた女性も要注意だそう。

「また、レビー小体型認知症も、加齢によって発症率が上がる疾患のひとつです。この疾患は三大認知症のひとつに数えられ、レム睡眠行動障害を伴うことが特徴。パーキンソン病の症状を併発し、睡眠中の大きな叫び声といった異常行動が認められた場合には注意が必要です」

 

どこからが病気?セルフチェック項目をご紹介!

睡眠障害の陰に潜んだ病気を知り、不安になった人も少なくないはず。その反面、睡眠はちょっとした心の動きや身体の疲れに左右され、さらには気象状況にも影響を受けます。

すると、自分の睡眠状態は病気によるものなのかどうか、判断するのは難しいところ。気になる人は、中村先生監修のチェックリストを試してみてください。

1.入眠困難、中途覚醒、早期覚醒といった不眠の症状が週に3日以上あり、それに伴ってイライラや抑うつ的な気分などの影響が認められる、もしくは不眠の症状それ自体にストレスを感じている。

2.夜、寝付くのが遅く、朝、起きられない。

3.朝、望ましい時間に起きることが難しく、守るべき時間に遅刻してしまったり、日中の眠気のために学業や仕事に影響が出たりしている。また、そのことに対し、周囲から指摘を受けるようになった。

4.急に強い眠気を感じることが1〜4週ほど続き、その間は毎日のように寝て過ごしてしまう。また、強い眠気を感じる時期には過食をはじめとする異常行動が認められ、その期間を過ぎるとふつうに寝起きできる。

5.連日7時間以上の規則正しい夜間の睡眠がとれているのに、日中の居眠りが多い。

6.大きないびきに続いて急に静かになる無呼吸の状態を、寝室を共にする人に指摘された。

7.体重が増えたのをきっかけに中途覚醒が増えた、熟睡できているという実感が減った、日中の眠気が強まった。

8.寝言に加え、手を振り回したり足蹴りをしたり、睡眠中の粗大な動作が認められる。

9.寝る前に脚をバタつかせている、むずむず感を覚える。

10.寝ようとすると脚(時に腕や腰などの別の場所)などに妙な不快感が生じ、そのために寝付けないでいる。

11.夜中に寝ぼけている、寝ながら急に叫び声を上げる。

12.睡眠中に急に全身に力が入る、もしくは痙攣する。その後、ひどい寝ぼけの症状が出ることがある。

13.何かを食べないと寝付けない。または、寝ぼけながら何かを食べている。

上記のどれかひとつでも当てはまった人は、要注意!睡眠障害の疑いがあり、当てはまった項目ごとに疑われる疾患は下記のとおりです。

1:不眠障害、2:睡眠・覚醒相後退障害、3:睡眠・覚醒相後退障害、4:反復性過眠症、5:ナルコレプシー、特発性過眠症、6:睡眠時無呼吸症候群、7:睡眠時無呼吸症候群、8:レム睡眠行動障害、9:むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、10:むずむず脚症候群、11:幼少期の場合は錯乱性覚醒、睡眠時遊行症、夜驚症、50歳以上の場合はレム睡眠行動障害、12:睡眠てんかん、13:夜間摂食障害、睡眠関連摂食障害

 

すぐに始められる改善策に、改善をサポートする寝具も!

suiminshougai_01セルフチェックの結果は、いかがでしたでしょうか?

とは言え、睡眠に対する認識は主観的なもの。セルフチェックに問題がなくとも、ちょっとした不安が拭えない人もいるのではないでしょうか?

少しでも不安があるなら、改善策をとるのがベスト!ここでは代表的な疾患別に、睡眠障害を予防・改善するための方法をご紹介します。

不眠障害
ストレスの発散を心掛け、就寝の90分ほど前に湯船に浸かる。また、就寝前にヨガやストレッチといった身体をほぐす行為をする。ただし、激しい運動は興奮状態を招いてしまうため、睡眠には逆効果。

概日リズム睡眠・覚醒障害群や睡眠不足症候群
医学的に必要とされる十分な睡眠時間を規則正しく確保する(成人の場合は7時間前後)。

睡眠時無呼吸症候群
肥満や飲酒がリスク要因となるため、日常的な運動習慣を身につけ、節酒を心掛ける。

むずむず脚症候群
寝不足、過労、飲酒、喫煙、カフェインが悪化の原因となるため、これらを避ける。また、遺伝的な側面もあるため、家族に同じ疾患のある人は特に注意が必要。

レム睡眠行動障害
ストレスによって悪夢が誘発され、悪夢が行動障害の一因となるため、ストレス発散を心掛ける。また、飲酒によって睡眠が不安定になることもリスク要因のため、節酒をする。

「いくつかの代表的な疾患に対する予防・改善策をお伝えしましたが、どの睡眠障害においても大切なのは、睡眠の質を向上させること。そのためには就寝・起床時間を含めた規則正しい生活を送るとともに、質の高い睡眠を維持するための寝具を使うことも重要です」

そこで、中村先生が重視するのが“理想的な寝返りを打てる寝具”を選ぶこと!寝返りは多すぎても少なすぎても良くなく、理想的な寝返りの回数はひと晩に20回ほどです。

「寝返りは血行を促進したり、こもった熱を放出したりするほか、体圧を分散させる役割も担います。寝返りを打たなくては体の1カ所に圧力が集中し、不快感が生じやすくなります。適度な寝返りを打つには、軟らかすぎず、硬すぎない寝具を選ぶこと。最近は身体にかかる圧力を分散できるマットレスも販売されているので、そちらを選ぶことも有効です」

おすすめの寝具
[エアーSI]マットレス
クッション性に優れたウレタン素材の凸凹構造がなめらかに身体にフィットし、自然と体圧を分散。さらにはベース部がしっかりと身体を受け止め、寝返りもスムーズに。

本格的な夏を迎えるこの時期、中村先生は“気候に合った寝具”を選ぶことも大事、と指摘。寝苦しさは眠りの浅さを招くため、暑い時期には身体にまとわりつきにくいサラッとした素材を選び、マットレスの上に冷感素材のパットを敷くのもおすすめです。

おすすめの寝具

クールタッチ シリーズ
夏の心地よい睡眠のために、快適機能をプラス。ひんやりとした接触冷感機能のクール面には、素早く熱を拡散する冷感素材[ツヌーガ®]を採用。寝返りのたびに、ひんやり感を体感いただけます。クール面とパイル地のリバーシブル仕様のものは年間を通じてご使用いただけます。

 

それでも改善されないときは医師に相談を!

お伝えしたとおり、睡眠障害を侮ってはいけません。質の高い睡眠を維持することは、健康な毎日への第一歩。それだけでなく、睡眠障害の陰に別の病気が隠れているとしたら、早期治療が大切です。

「ご紹介した対策を実践しても症状が治らない場合はもちろん、ちょっとした不安が拭えない場合、日本睡眠学会専門医が在籍する医療機関への受診をおすすめします。内科的な治療を必要とする疾患だけでなく、体内時計の乱れによって発症する概日リズム睡眠・覚醒障害群のような疾患を例にしても、実はご自身の力だけで治すのは難しいからです」

概日リズム睡眠・覚醒障害群の症状を改善するには、何よりも規則正しい生活を送ることが大事。しかし、中村先生は、社会全体が夜型の傾向にある今、自力だけで矯正するのは困難、と指摘。日本睡眠学会専門医が在籍する医療機関を受診すれば、専門医による適切な薬の処方・治療が受けられます。
***

眠りは毎日の生活に欠かせないこと。あまりに当たり前の行為だけに、かえって医療機関を受診することに抵抗がある人もいるかもしれません。

でも、不安を抱えたままでは改善されず、睡眠に関する不安がさらなる眠りづらさを招いてしまうこともあります。そうした悪循環に陥らないためにも、適切な処置が大切です。
 

青山・表参道 睡眠ストレスクリニック院長

中村真樹先生

日本睡眠学会専門医。東北大学医学部卒業、東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。その後、睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」を開院。臨床と研究、両面の実績があり、睡眠に悩む多くの患者さんの治療にあたっている。ビジネスパーソン向けの書籍『仕事が冴える眠活法』(三笠書房)も話題に。
https://omotesando-sleep.com/

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