カテゴリ:眠り
海外旅行前にできる時差ボケ対策は?原因や症状についても解説
いよいよ、海外旅行への兆しが見えはじめた昨今。お正月休みや来年のGWに久しぶりに海外へ行くという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、時差ボケを防ぐためにできることを「太田睡眠科学センター」の竹内暢先生に伺いました。時差ボケ予防には日頃からの睡眠習慣が鍵になるのだとか。海外旅行に出かける前にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
日本から見て東に行く場合は要注意!時差ボケのメカニズム
時差ボケとは、日本から4〜5時間以上の時差がある地域に飛行機で急速に移動することによって起こる、倦怠感や不眠などの症状のこと。せっかく旅行に来たのに寝つきが悪く体力が1日持たなかったり、帰国した際に生活リズムが戻らず起床に苦労したり...。
日本から見てアジアやヨーロッパなど西に向かって飛行する場合よりも、ハワイや北米など東に向かって飛行する場合のほうが、強く時差ボケの症状が出ると言われています。なぜ東に向かうほうが重症化してしまうのでしょうか?
「普段よりも早く寝ることと夜更かしすること、そのどちらが容易かを考えてみると、夜更かしするほうが簡単だと感じる人が多いかと思います。経度15度で1時間の時差が生じるため、西に行くと日本の時刻より-1時間、東に行くと+1時間となります。東に行った場合、日本の時間よりも1時間早く進むため、23時に寝たい場合は日本時間の22時(現地では23時)、つまり普段よりも1時間早く寝る必要が出てくるわけです。夜更かしより早く寝るほうが難しいですから、寝たい時間に寝つけず苦労する場合が多いというわけですね」
私たちの体内時計と地球のリズムには、そもそもズレがあるのだとか。24時間で一回転する地球に対して、体内時計は約25時間と少し長いため、若干のズレを調整しながら日々を過ごしていると言います。
「そもそも地球のリズムと体内時計にはズレがあるところを、僕らは光や時計の存在によって調整しながら過ごしています。患者さんにもよくお伝えするのですが、生活してるだけで偉いわけですよ。それに加えて時差のある場所に行くわけだから、そりゃあ体も大変です(笑)そのズレがひどいと不眠や倦怠感、めまいや吐き気といった身体症状に現れるようになります」
出発する1週間ほど前から就寝時間を早めに
東に向かう場合の時差ボケ予防でできることは、旅行の1週間ほど前から普段よりも早く寝るようにしておくこと。もともと夜更かし傾向のある人は、以前紹介した「社会的時差ボケ」がある上に、時差によるズレが起き、症状が重たくなることが多いようです。
「僕としては2〜3日の短い旅行の場合、そこまで無理に現地時刻に合わせる必要はないと思っています。ただ、普段から夜更かし傾向のある人はかなり大変なので、せめて1週間前くらいから早く寝るようにしておくといいかと。睡眠の専門家としては、旅行を思いっきり楽しみたいのであれば、やっぱり日頃から睡眠を整えておきましょうと伝えたいですね」
時差ボケを治すポイントは「光・食事・動機づけ」の3つ!
時差ボケはだいたい1週間くらいで改善することが多いそうですが、もっと早めの改善を期待する場合にポイントとなるのが「光・食事・動機づけ」の3つ。これらは、「同調因子」と呼ばれ、体のリズムを整えたいときに活躍してくれる存在です。
「時差ボケに限らず、睡眠のリズムを整えたい人にお伝えしているのは、『光・食事・動機づけ』の3つです。その中でも光が一番の同調因子。曇りでも体内時計をリセットできる十分な光量があるため、朝は外に出て光を浴びて朝食をしっかり摂ることをおすすめします。他にも重要なのは『動機づけ』ですね。旅行先では観光ツアー、帰国後は学校や会社などの予定が入っていれば、無理にでも起きるモチベーションになります。これらの3つを旅行前から意識して過ごすといいでしょう」
また、飛行機に乗っている時間が日本の深夜の場合、過度な食事やアルコールは控えたほうがいいとのこと。夜間の食事やアルコールは体のリズムが乱れる原因になるため、ほどほどにしておきましょう。
時差ボケ症状が重い方は睡眠クリニックへ
過去の海外旅行で時差ボケがひどく出た経験がある人は、事前に睡眠クリニックに相談することも可能なのだそう。
「海外出張の頻度が高い人や、過去に時差ボケで苦労したという人に対しては、数時間だけ効く睡眠薬をお渡しする場合があります。先ほどの3つの同調因子でできることはやりつつ、睡眠薬を適度に取り入れることもできますので、あまりに症状がひどい場合はお医者さんにぜひ相談してみてください」
***
もともと私たちの体と地球のリズムがずれている上に、夜更かし傾向のある人が東に移動すると、何重にもリズムがずれてしまうことになります。旅行を思いっきり楽しむためには、日頃からの睡眠リズムを整えておくことに加え、1週間ほど前から30分〜1時間だけでも早めに寝ることを心がけてみましょう。
思い出に残る楽しい旅行になることをお祈りしています!
太田睡眠科学センター
竹内 暢 先生
久留米大学医学博士課程卒業。睡眠障害の診断・治療に従事し、2022年7月より「太田睡眠科学センター」に勤務。医学だけでなく、心理・社会的背景も視野に入れた診療を行い、耳鼻科・呼吸器内科・精神科といった他科との連携を図りながら、あらゆる睡眠障害の治療に当たる。
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