カテゴリ:眠り
きちんと寝ているのに眠くて仕方ない——「嗜眠」の原因と予防を解説
きちんと寝ているはずなのに、眠くて眠くて仕方がない——。
我慢できないほどの眠気に襲われ、気づくとうたた寝をしているような場合、それは「嗜眠(しみん)」の症状かもしれません。
聞き慣れない言葉ではありますが、強い眠気に加え、生活習慣に自信のない人は要注意!
今回は、漢方コンサルタントとしてSNSでも積極的に情報を発信し、18万以上のフォロワーを誇る櫻井大典先生に、嗜眠の具体的な症状から原因、さらには予防策まで、詳しく教えていただきました。
西洋医学と中医学では考え方が異なり、西洋医学では「意識障害の程度の1つ」として捉えられているといいます。
放っておくと眠り続け、強い刺激を与えると覚醒に向かうものの、刺激を止めるとまたすぐに眠ってしまう状態が、西洋医学における嗜眠です。
「一方、私が専門とする中医学では、昼夜を問わず眠りたがり、揺り起こしてもすぐに寝てしまう状態を指します。中医学では嗜眠は『多寐(たび)』とも呼ばれ、これは単なる寝不足ではなく、病的な状態として捉えられています」
寝不足が続けば、強い眠気に襲われるのは当然のこと。十分な睡眠をとり、寝不足の状態が解消されれば、強い眠気もおのずと生じなくなるはずです。
しかし、嗜眠の場合は異なり、“寝ても寝ても眠くて仕方ない”といった状態です。
「では、嗜眠の状態をどう考えるのか。中医学のベースには、『陰陽』の考え方と木・火・土・金・水から成る『五行説』の考え方があります。
陽は火として捉えられ、火が燃え盛るイメージどおりに“活動するためのエネルギー”を意味します。
そして、陰は水として捉えられ、水が火を消すように、陽のエネルギーを“制御し、鎮静させる”といった役割を意味しています。
この考え方に基づくと、嗜眠とは、活動のエネルギーを制御・鎮静させる陰(水)が強くなり、陽(火)が足りていない、つまりはエネルギー不足に陥った状態と言えるのです」
櫻井先生は嗜眠の主な原因として「不適切な飲食・七情の損傷・加齢や慢性的な持病」の3つを挙げます。
▶ 不適切な飲食
甘いものや脂っこいものを摂取しすぎると、体内に余分なドロドロが溜まってしまいます。このドロドロは活動エネルギーを制御・鎮静させる“水”に近いものとして捉えられ、エネルギーを生産するための“陽”の働きを邪魔してしまいます。
活動のためのエネルギーを生産するには消化吸収が必要となり、消化吸収の働きを担うのは胃腸です。体内にドロドロが蓄積することは、胃腸の働きが鈍ることとイコールです。
また、冷たいものの過剰摂取も不適切な飲食に含まれます。冷たいものは“陽”のエネルギーを冷やし、その働きを低下させてしまいます。冷房の効いた部屋で冷たいものばかり飲食していると体がダルくなるのも、“陽”の働きが低下しているからです。
▶ 七情の損傷
「七情」とは、中医学における喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の7つ感情のこと。「七情の損傷」とは、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の感情が過度になった状態です。
これらの精神的なストレスが肝・心・脾・肺・腎から成る五臓に影響し、その影響から胃腸の働きを低下させると同時に、水分代謝の機能を低下させます。
水分代謝の機能が低下すると「不適切な飲食」と同様に体内にドロドロが蓄積し、陰が増え、陽の働きが邪魔された結果、眠れなくなってしまうのです。
また、怒りが強かったり、鬱々と考える時間が長かったりする場合にも嗜眠の症状が現れることがあります。悶々と同じことばかり考え、怒りの感情が強まると、その精神状態が血流障害を招いてしまうからです。
栄養も血液も、活動のためのエネルギーは血行によって運ばれます。しかし、血行が悪化すると栄養の巡りが悪くなり、エネルギー不足の状態に。このエネルギー不足の状態が、異様な眠気を引き起こしてしまうのです。
▶ 加齢や慢性的な持病
年齢を重ねると、次第に脾胃胃腸や腎臓の働きが低下します。
中医学の世界では、胃腸を担う脾胃(ひい)はエネルギーを生産するための消化吸収を担い、五臓の腎は生産されたエネルギーを貯蔵する役割を担うと考えますが、その両方の働きが低下することは、エネルギー生産効率の低下を意味します。
脾胃の働きが低下すると消化吸収がうまくいかず、食が細くなります。必要量を食べられないことからエネルギーが生産できず、腎の働きも低下していることからエネルギーを溜めておくこともできない。これは慢性的な持病を患っている場合も同様です。
高齢者の方がよく眠るのも、加齢によって脾胃や腎の働きが低下しているから。エネルギー不足によって活動が困難になり、寝ても寝ても眠いという、嗜眠の状態を招くのです。
「食生活を見直す。難しそうに思えますが、そんなことはありません。難しく考えず、甘いものや脂っこいものは控え、“ご飯とお味噌汁が基本の食生活”を続ければいいのです。
お味噌汁だけでなく、ご飯も水分をいっぱいに含んでいます。ご飯は体の組織をつくるタンパク質もエネルギーの源となる炭水化物も豊富に含み、お味噌汁からは塩分も摂取できます。朝昼晩の3食にご飯とお味噌汁をいただけば、変にのどが渇くこともないはずです。
「野菜たっぷりのお味噌汁にすれば、水溶性の食物繊維も十分。+αのおかずを付けても構いませんが、飲みすぎや食べすぎを原因に嗜眠の状態に陥っている場合、まずはご飯とお味噌汁の食生活を続けてみてください。
そして、嗜眠が回復に向かい、きちんと眠れ、きちんと起きられるようになったなら、ご飯とお味噌汁を基本に、適度に動物性タンパク質なども摂取するようにしましょう」
また、すでに櫻井先生が指摘したとおり、冷たいものの過剰摂取にも要注意。当然のことながら、お酒の飲みすぎも良くありません。お酒を飲みすぎた翌日は下痢をしやすくなりますが、これは消化吸収の機能がうまく働いていないことの表れです。
「やけ酒、やけ食い」という言葉があるように、七情の損傷が不適切な飲食につながることもあります。特にイライラが募ると、甘いものに走ったり、お酒に走ったり、暴飲暴食をしてしまいがちです。嗜眠を予防するには、心穏やかに暮らすことも大切です」
ちなみに漢方のカウンセリングでは、体調を見るために舌をチェックすることが多いそう。舌の状態から、嗜眠のシグナルを知ることができるといいます。
「不適切な飲食が嗜眠を引き起こすのは、脾胃の働きが低下するから。本来、舌は適度な赤みがあり、その全面をうっすらと白いコケが覆っています。これが健康な状態です。
しかし、脾胃の働きが低下すると、本来は薄いはずの舌ゴケが分厚くなり、その厚さから舌が白や黄色く見えるようになります。この舌ゴケを除去しようと必死に舌を磨く人がいますが、舌の汚れを取っても意味がなく、内側から健康になる必要があるのです」
脾胃の働きが低下すると消化吸収がうまくいかず、血液や骨に皮膚といった体のあらゆるパーツの原料となる栄養が得にくくなります。その結果、めまいや頭痛、倦怠感に疲労感、肌の乾燥や肌荒れといった症状まで招いてしまうといいます。
「嗜眠はもちろん、あらゆる不調を起こさないためには、食生活の見直しに加え、適切な睡眠をとることも非常に重要です。異常な眠さを引き起こす嗜眠ですが、日常的に適切に眠ることが嗜眠の予防につながるのです」
櫻井先生が指摘する適切な睡眠とは、5分でも10分でも早く寝ること。7〜8時間ほどの睡眠を確保することも大切ですが、中医学の世界では“寝る時間”が重要だというのです。
「これは中医学の『子午流注(しごるちゅう)』という考え方に基づいています。子午流注とは、どの時間帯に、体のどの器官の働きが活発になるかを説いたものです」
子午流注の考え方に基づくと、睡眠のゴールデンタイムは深夜1〜3時。この時間帯には五臓の肝の働きが活発になるといいます。五臓の肝は血液を溜め、浄化する器官。深夜1〜3時にぐっすり眠れていると、きちんと血液が浄化され、翌日にはきれいな血液が体を巡ります。
また、その前の時間帯である23〜1時には、六腑の胆の働きが活発に。六腑の胆は消化器に分類されますが、深夜1〜3時に活発になる肝の働きを促すには、食べたものをきちんと消化吸収し、血液を浄化するために必要な栄養を取り込む必要があります。
つまり、血液を浄化させるには深夜1〜3時に熟睡している必要があり、血液の浄化に必要な消化吸収を活発にするには、23〜1時には寝ている必要がある、ということです。
「そして、23〜1時に活発になる五臓の胆の働きを促すには、21時からリラックス状態にあることが大切です。しかし、何かと忙しい現代人にとって、21時に就寝するのは困難。
それでも、できる限りは早く寝る。5分、10分でも早く寝ることが、消化吸収や血液の浄化を促し、嗜眠の防止はもちろん、健康的な体づくりにつながるのです」
***
「多くの病院が21時消灯ですよね。これにはいろいろな理由があると思いますが、21時に床に就くことが、もっとも体の回復に適しているからではないでしょうか?」と櫻井先生。
また、中医学といえば、漢方薬を思い浮かべる人が多いはず。
しかし、漢方薬の処方には、きめ細やかなカウンセリングが必要です。詳細なカウンセリングにより、個々の症状や生活習慣に合わせた処方がされるのが漢方薬です。
「そのため、嗜眠にはこの薬、と決めきることはできません。嗜眠に悩まされ、漢方薬を必要とされる方は、まずは漢方のカウンセラーや専門医のもとを尋ねてみてください」
我慢できないほどの眠気に襲われ、気づくとうたた寝をしているような場合、それは「嗜眠(しみん)」の症状かもしれません。
聞き慣れない言葉ではありますが、強い眠気に加え、生活習慣に自信のない人は要注意!
今回は、漢方コンサルタントとしてSNSでも積極的に情報を発信し、18万以上のフォロワーを誇る櫻井大典先生に、嗜眠の具体的な症状から原因、さらには予防策まで、詳しく教えていただきました。
嗜眠(しみん)とは?
日常生活では、あまり耳にする機会のない「嗜眠(しみん)」という言葉。西洋医学と中医学では考え方が異なり、西洋医学では「意識障害の程度の1つ」として捉えられているといいます。
放っておくと眠り続け、強い刺激を与えると覚醒に向かうものの、刺激を止めるとまたすぐに眠ってしまう状態が、西洋医学における嗜眠です。
「一方、私が専門とする中医学では、昼夜を問わず眠りたがり、揺り起こしてもすぐに寝てしまう状態を指します。中医学では嗜眠は『多寐(たび)』とも呼ばれ、これは単なる寝不足ではなく、病的な状態として捉えられています」
寝不足が続けば、強い眠気に襲われるのは当然のこと。十分な睡眠をとり、寝不足の状態が解消されれば、強い眠気もおのずと生じなくなるはずです。
しかし、嗜眠の場合は異なり、“寝ても寝ても眠くて仕方ない”といった状態です。
「では、嗜眠の状態をどう考えるのか。中医学のベースには、『陰陽』の考え方と木・火・土・金・水から成る『五行説』の考え方があります。
陽は火として捉えられ、火が燃え盛るイメージどおりに“活動するためのエネルギー”を意味します。
そして、陰は水として捉えられ、水が火を消すように、陽のエネルギーを“制御し、鎮静させる”といった役割を意味しています。
この考え方に基づくと、嗜眠とは、活動のエネルギーを制御・鎮静させる陰(水)が強くなり、陽(火)が足りていない、つまりはエネルギー不足に陥った状態と言えるのです」
嗜眠の主な原因は?
活動のためのエネルギーが不足しているために、寝ても寝ても眠い。櫻井先生は嗜眠の主な原因として「不適切な飲食・七情の損傷・加齢や慢性的な持病」の3つを挙げます。
▶ 不適切な飲食
甘いものや脂っこいものを摂取しすぎると、体内に余分なドロドロが溜まってしまいます。このドロドロは活動エネルギーを制御・鎮静させる“水”に近いものとして捉えられ、エネルギーを生産するための“陽”の働きを邪魔してしまいます。
活動のためのエネルギーを生産するには消化吸収が必要となり、消化吸収の働きを担うのは胃腸です。体内にドロドロが蓄積することは、胃腸の働きが鈍ることとイコールです。
また、冷たいものの過剰摂取も不適切な飲食に含まれます。冷たいものは“陽”のエネルギーを冷やし、その働きを低下させてしまいます。冷房の効いた部屋で冷たいものばかり飲食していると体がダルくなるのも、“陽”の働きが低下しているからです。
▶ 七情の損傷
「七情」とは、中医学における喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の7つ感情のこと。「七情の損傷」とは、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の感情が過度になった状態です。
これらの精神的なストレスが肝・心・脾・肺・腎から成る五臓に影響し、その影響から胃腸の働きを低下させると同時に、水分代謝の機能を低下させます。
水分代謝の機能が低下すると「不適切な飲食」と同様に体内にドロドロが蓄積し、陰が増え、陽の働きが邪魔された結果、眠れなくなってしまうのです。
また、怒りが強かったり、鬱々と考える時間が長かったりする場合にも嗜眠の症状が現れることがあります。悶々と同じことばかり考え、怒りの感情が強まると、その精神状態が血流障害を招いてしまうからです。
栄養も血液も、活動のためのエネルギーは血行によって運ばれます。しかし、血行が悪化すると栄養の巡りが悪くなり、エネルギー不足の状態に。このエネルギー不足の状態が、異様な眠気を引き起こしてしまうのです。
▶ 加齢や慢性的な持病
年齢を重ねると、次第に脾胃胃腸や腎臓の働きが低下します。
中医学の世界では、胃腸を担う脾胃(ひい)はエネルギーを生産するための消化吸収を担い、五臓の腎は生産されたエネルギーを貯蔵する役割を担うと考えますが、その両方の働きが低下することは、エネルギー生産効率の低下を意味します。
脾胃の働きが低下すると消化吸収がうまくいかず、食が細くなります。必要量を食べられないことからエネルギーが生産できず、腎の働きも低下していることからエネルギーを溜めておくこともできない。これは慢性的な持病を患っている場合も同様です。
高齢者の方がよく眠るのも、加齢によって脾胃や腎の働きが低下しているから。エネルギー不足によって活動が困難になり、寝ても寝ても眠いという、嗜眠の状態を招くのです。
嗜眠を予防するには“ご飯とお味噌汁”の食生活を基本に
嗜眠の主な原因のうち、櫻井先生は「特に多く見られるのが不適切な飲食です」と指摘。そうである以上、嗜眠を予防するには、食生活を見直す必要があります。「食生活を見直す。難しそうに思えますが、そんなことはありません。難しく考えず、甘いものや脂っこいものは控え、“ご飯とお味噌汁が基本の食生活”を続ければいいのです。
お味噌汁だけでなく、ご飯も水分をいっぱいに含んでいます。ご飯は体の組織をつくるタンパク質もエネルギーの源となる炭水化物も豊富に含み、お味噌汁からは塩分も摂取できます。朝昼晩の3食にご飯とお味噌汁をいただけば、変にのどが渇くこともないはずです。
「野菜たっぷりのお味噌汁にすれば、水溶性の食物繊維も十分。+αのおかずを付けても構いませんが、飲みすぎや食べすぎを原因に嗜眠の状態に陥っている場合、まずはご飯とお味噌汁の食生活を続けてみてください。
そして、嗜眠が回復に向かい、きちんと眠れ、きちんと起きられるようになったなら、ご飯とお味噌汁を基本に、適度に動物性タンパク質なども摂取するようにしましょう」
また、すでに櫻井先生が指摘したとおり、冷たいものの過剰摂取にも要注意。当然のことながら、お酒の飲みすぎも良くありません。お酒を飲みすぎた翌日は下痢をしやすくなりますが、これは消化吸収の機能がうまく働いていないことの表れです。
「やけ酒、やけ食い」という言葉があるように、七情の損傷が不適切な飲食につながることもあります。特にイライラが募ると、甘いものに走ったり、お酒に走ったり、暴飲暴食をしてしまいがちです。嗜眠を予防するには、心穏やかに暮らすことも大切です」
ちなみに漢方のカウンセリングでは、体調を見るために舌をチェックすることが多いそう。舌の状態から、嗜眠のシグナルを知ることができるといいます。
「不適切な飲食が嗜眠を引き起こすのは、脾胃の働きが低下するから。本来、舌は適度な赤みがあり、その全面をうっすらと白いコケが覆っています。これが健康な状態です。
しかし、脾胃の働きが低下すると、本来は薄いはずの舌ゴケが分厚くなり、その厚さから舌が白や黄色く見えるようになります。この舌ゴケを除去しようと必死に舌を磨く人がいますが、舌の汚れを取っても意味がなく、内側から健康になる必要があるのです」
あらゆる不調を未然に防ぐ、中医学に伝わる「子午流注」
嗜眠を引き起こす以前に舌ゴケの分厚さに表れる、脾胃の働きの低下。脾胃の働きが低下すると消化吸収がうまくいかず、血液や骨に皮膚といった体のあらゆるパーツの原料となる栄養が得にくくなります。その結果、めまいや頭痛、倦怠感に疲労感、肌の乾燥や肌荒れといった症状まで招いてしまうといいます。
「嗜眠はもちろん、あらゆる不調を起こさないためには、食生活の見直しに加え、適切な睡眠をとることも非常に重要です。異常な眠さを引き起こす嗜眠ですが、日常的に適切に眠ることが嗜眠の予防につながるのです」
櫻井先生が指摘する適切な睡眠とは、5分でも10分でも早く寝ること。7〜8時間ほどの睡眠を確保することも大切ですが、中医学の世界では“寝る時間”が重要だというのです。
「これは中医学の『子午流注(しごるちゅう)』という考え方に基づいています。子午流注とは、どの時間帯に、体のどの器官の働きが活発になるかを説いたものです」
子午流注の考え方に基づくと、睡眠のゴールデンタイムは深夜1〜3時。この時間帯には五臓の肝の働きが活発になるといいます。五臓の肝は血液を溜め、浄化する器官。深夜1〜3時にぐっすり眠れていると、きちんと血液が浄化され、翌日にはきれいな血液が体を巡ります。
また、その前の時間帯である23〜1時には、六腑の胆の働きが活発に。六腑の胆は消化器に分類されますが、深夜1〜3時に活発になる肝の働きを促すには、食べたものをきちんと消化吸収し、血液を浄化するために必要な栄養を取り込む必要があります。
つまり、血液を浄化させるには深夜1〜3時に熟睡している必要があり、血液の浄化に必要な消化吸収を活発にするには、23〜1時には寝ている必要がある、ということです。
「そして、23〜1時に活発になる五臓の胆の働きを促すには、21時からリラックス状態にあることが大切です。しかし、何かと忙しい現代人にとって、21時に就寝するのは困難。
それでも、できる限りは早く寝る。5分、10分でも早く寝ることが、消化吸収や血液の浄化を促し、嗜眠の防止はもちろん、健康的な体づくりにつながるのです」
***
「多くの病院が21時消灯ですよね。これにはいろいろな理由があると思いますが、21時に床に就くことが、もっとも体の回復に適しているからではないでしょうか?」と櫻井先生。
また、中医学といえば、漢方薬を思い浮かべる人が多いはず。
しかし、漢方薬の処方には、きめ細やかなカウンセリングが必要です。詳細なカウンセリングにより、個々の症状や生活習慣に合わせた処方がされるのが漢方薬です。
「そのため、嗜眠にはこの薬、と決めきることはできません。嗜眠に悩まされ、漢方薬を必要とされる方は、まずは漢方のカウンセラーや専門医のもとを尋ねてみてください」
漢方コンサルタント
櫻井大典先生
国際中医相談員/日本中医薬研究会会員。米・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を学び、帰国後、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国・首都医科大学附属北京中医医院や雲南省中医医院での研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。日本中医薬研究会に所属し、同志と共に定期的に漢方セミナーを開催。年間5000件以上の相談に応えながら中医学の振興に努める。近著は『胃腸をあたためると心の不調が消える』(Gakken)。
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