2022年07月29日 カテゴリ:眠り

ぎっくり首とは?眠れないほど痛い寝違えの原因と対策を解説

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ぎっくり首とは?眠れないほど痛い寝違えの原因と対策を解説

布団から起き上がろうとした瞬間、首に激痛…!寝違えやぎっくり首に悩まされた経験のある人は少なくないはずです。発症すると首を動かそうとするたびに痛みが走り、寝るのもままならないほど。

そこで今回は、寝違えやぎっくり首をはじめとする首の痛みの原因から予防策について、「松浦整形外科内科」の院長・井上留美子先生に教えていただきました。

 

睡眠中だけじゃない!日中のストレスが原因のことも

これといった前触れもなく、突如として起こる寝違えやぎっくり首。どちらも朝の目覚めと同時に痛みを感じることが多く、その原因は睡眠中にあるように思えますが、井上先生は「一概には断定できません」と指摘します。

「寝違えにしてもぎっくり首にしても、痛みの原因として考えられるのが、急性の筋膜炎です。何らかの原因で筋膜に傷が付いたりすることで生じますが、引き金となる要因はさまざま。寝姿勢が原因のこともあれば、日中のストレスが原因のこともあるため、特定するのは困難です」

睡眠中の姿勢のほか、日中の体の冷えや過度な緊張、睡眠中に限定すれば、激しい歯ぎしりや一時的な無呼吸も原因として考えられるそうです。

「寝姿勢にも日中の冷えにも共通するキーワードが、“不良姿勢と血行不良”です。不良姿勢やき局所の冷えが一定時間継続すると、筋膜炎を起こしやすくなります。また、睡眠時の歯ぎしりや無呼吸は首回りの筋肉に過度な負担を与えるため、やはり炎症が起きやすくなるのです」

 

準備不足のリモートワーク環境がもたらす首への負担

寝違えやぎっくり首に代表される急性の症状に限らず、最近では、首の痛みを訴える働き盛りの年代の方が増えているそう。その理由はどうやら、コロナ禍をきっかけに浸透し始めたリモートワークにあるようです。

「最近は特に首の痛みを訴える患者さんには、環境が整っていない状態でリモートワークをされている方が少なくありません。デスクワークは、ただでさえ姿勢が悪くなりがちです。それなのに低いテーブルをデスクがわりに仕事をしていては、姿勢が悪化する一方。そして、姿勢の悪さは筋肉の負担や血行不良を招きます」

さらに井上先生は「リモートワークによる運動不足」も指摘。積極的に運動をしない人でも、以前は日常の通勤が体を動かす機会になっていたはずです。体を動かすことが減ると、結果的に血流が滞ってしまうのです。

 

座ったまま簡単!痛みの予防には30分に一度のストレッチ

姿勢の悪さにしても運動不足にしても、血行不良や筋肉の過度の緊張が筋膜炎を誘発し、首の痛みにつながります。これを予防するには正しい姿勢を心掛け、こまめに体を動かすことが大切。井上先生は「30分に一度は体を動かすこと」を推奨します。

「首の痛みの予防に効果的なのが、僧帽筋(そうぼうきん)のストレッチ。僧帽筋は首から肩、背中にかけて広がる筋肉です。デスクワークに集中していると猫背になりがちですが、そうすると僧帽筋が凝り固まり、首の痛みを引き起こしかねません」

凝り固まった僧帽筋を意図的に収縮させ、血行を促進させるには、10秒間にわたってぎゅーっと肩をすくめ、ストンと落とす動作がおすすめ。これを10回程度繰り返しましょう。

もう一つ、僧帽筋のストレッチと合わせ、肩甲骨を引き寄せるのも効果的。顔の前で手を合わせたら、両手をピンと伸ばすようにバンザイ。バンザイした両手を外に開きながら下ろし、左右の肩甲骨を引き寄せましょう。

「常に頭の重さを支える首の筋肉をほぐすため、首を前後左右にゆっくり曲げるだけでも効果的。こうしたストレッチは仕事の合間はもちろん、入浴中にもおすすめです。お風呂の温熱効果によって血行が促され、ストレッチの効果を得やすくなります」

 

最新の研究から明らかに!痛みと睡眠の深い関係

首の痛みを引き起こさないための予防策をご紹介しましたが、大事なのは姿勢や運動だけではありません。井上先生は「睡眠の重要性」についても指摘します。

なぜなら、きちんと睡眠がとれていない状態では、体の痛みを感じやすくなるからです。

「首の痛みに限らず、私たちが感じる痛みと深く関係しているのが、扁桃体(へんとうたい)という脳の器官です。扁桃体は快不快を判断し、不快なときに活性化します。扁桃体は睡眠不足の状態でも活性化しやすいことが分かっていますが、昨今の研究により、扁桃体の活性化が全身の痛みと大きく関係していることもわかっています」

つまりは睡眠不足によって扁桃体が活性化しうやすい状態になり、その結果、体の痛みを感じやすくなるということ。健康な毎日を送るためには質の高い睡眠をとることが欠かせませんが、体の痛みに関しても同様のことが言えます。

そして、質の高い睡眠をとるためには、睡眠環境の見直しが大切です。睡眠不足が痛みを感じやすくするだけでなく、正しい寝姿勢をとれていないことが、血行不良を引き起こす原因になるからです。

「寝ている間の筋肉の緊張や血行不良を避けるためには、きちんと寝返りを打てる睡眠環境が重要です。また、腰やお尻といった特定の部位が沈み込み、筋肉が圧迫されることがないよう、上手に体圧分散をしてくれる寝具を選ぶようにしましょう」

体圧分散をしっかりしてくれるおすすめの寝具



[エアーSI]マットレス/REGULAR
 
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今回は首の痛みにフォーカスし、その原因や予防策についてお届けしましたが、「寝違えもぎっくり首も、生じてしまった痛みに対しては、痛み止めを服用することがおすすめです。闇雲に我慢していると、急性の痛みが慢性化してしまう恐れもあります」と井上先生。発症から1週間が経過しても痛みが癒えない場合、医療機関を受診することも大切だと言います。

さらに井上先生は「痛みを引き起こすトリガーは体的なストレスだけでなく、心的なストレスであることも」と指摘。心のこわばりは体のこわばりに直結するため、ご自身の心を労ることも忘れずに、痛みのない健康的な毎日を目指しましょう。

▶︎お風呂で簡単にできるヨガ・ストレッチをご紹介!

 

松浦整形外科内科 院長

井上 留美子 先生

医療法人社団成東会松浦整形外科内科院長。整形外科ヨガ事務局代表。東京都杉並区に「松浦整形外科内科」を開業した父の跡を継ぎ、同院の院長に。対話を重視した診療・治療を続ける傍ら、予防医学としてのヨガに着目。ヨガインストラクターへの整形外科理論に基づいた運動器の指導を開始し、2017年に「整形外科ヨガ事務局」を設立、代表を務める。

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