2022年02月28日 カテゴリ:眠り

寒さによる眠りづらさにも、メンタル不安による不眠にも!簡単「お風呂ヨガ」で快眠を

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寒さによる眠りづらさにも、メンタル不安による不眠にも!簡単「お風呂ヨガ」で快眠を
暦のうえでは立春をすぎ、春の訪れはもうすぐそこ!とはいえ、まだまだ寒い日が続いています。冬の寒さや、季節の変わり目に起こるメンタルの不調で、眠りづらさを感じる人は少なくありません。

そこで今回は眠りにまつわる悩みを解消し、ぐっすり快眠するための「お風呂ヨガ」をレクチャー!教えてくれるのは、眠りとお風呂の専門家として活動する小林麻利子先生。公認心理師の資格も持ち、その2つの知見から“マインド風呂ネス”や、深部体温をコントロールし、睡眠や心と体の健康を整える『風呂活』を提唱されています。
 

冬が過ぎても要注意!寒さと不安は眠りの天敵

とある調査によれば、冬の睡眠に満足していない人の割合は6割以上。温かいお布団にくるまっているはずが、なかなか寝付けなかったり、途中で起きてしまったりと、睡眠に悩みを持っている人は少なくありません。その原因はいったい、どこにあるのでしょう?

「主な原因は、寒さと自律神経の関係にあります。自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、睡眠を司るのは副交感神経。その一方、自分にとって不快な状況下で優位に働くのが交感神経です。冬は気温の低さによって交感神経が刺激されるため、どうしても眠りづらくなるのです」(小林先生)

そして春に多いのがメンタル不調による眠りづらさです。気温は徐々に上昇、うららかな気候の日が増えますが、春には新生活がスタート。入学や入社、転勤や部署異動といった環境の変化により、不安を抱えやすい傾向にあります。

新生活への不安もまた、小林先生が指摘する「不快な状況」のひとつ。不安感や緊張感が交感神経を刺激し、睡眠を司る副交感神経の働きが低下。すると眠りづらさを感じたり、眠りが浅くなったり、睡眠の質が低下してしまいます。

 

深部体温と副交感神経がカギ!お風呂と睡眠は1セット

冬の寒さだったり、新生活への不安だったり。交感神経が刺激されがちな状況下でもぐっすり快眠に導いてくれるのが、毎日のバスタイム!小林先生は「お風呂と睡眠は1セット。この2つは切っても切り離せません」と指摘します。

その理由は、これまでにも『眠りのレシピ』でお伝えしている「深部体温」にあります。深部体温とは読んで字のごとく、体の深部の温度。皮膚から感じられる体の表面ではなく、内臓や脳といった内部の温度です。私たち人間は深部体温が低下するにつれ、眠くなる性質を持ちます。

「深部体温を低下させるには、まず上げること。そのために欠かせないのが入浴です。40℃以下の温めのお湯に15分ほど浸かることで、体の深部までしっかり温める。するとお風呂上がりには上昇した深部体温が低下を始め、自然と眠くなるメカニズムです」(小林先生)

さらにお風呂によって体を温めることは、副交感神経を優位に働かせることにも直結。なぜなら、不快な状況下で優位に働く交感神経とは反対に、副交感神経はリラックスした状況のときに優位に働くからです。

入浴によって心も体もリラックスする感覚は、誰もが知っているはず。この感覚をもたらしているのは体がポカポカと温まる気持ち良さだけでなく、実は「浮力」にも理由があるそう。水中では浮力によって体重が軽くなり、その分だけ、筋肉や関節への負荷が軽減。ふわーっと脱力することにより、体の芯からリラックスできるといいます。

また、入浴のリラックス効果によって副交感神経が優位になると、血管が拡張し、筋肉が弛緩します。すると体のコリがほぐれ、血流が改善。もし仕事や人間関係などのストレスで、交感神経が刺激されていたならば、入浴によって、闘争モードのホルモンであるノルアドレナリンやアドレナリンなどの分泌量が抑制され、イライラや憂鬱な気持ちも収まってくるといいます。

「こうした入浴効果によって快眠できると、翌朝には、前日に感じていた不安を忘れることができます。『嫌なことも寝れば忘れる』という人がいますが、それは人間に備わった正常な機能。深い眠りを指すノンレム睡眠をきちんと経れば、嫌な気持ちをリセットできるのです」(小林先生)

 

お風呂とヨガの相乗効果!快眠へ導く「お風呂ヨガ」

お風呂がもたらす睡眠への効果がご理解いただけたところで、いよいよ、今回のテーマであるお風呂ヨガをご紹介!ヨガの基本である「鼻から吸って吐く」という呼吸法に、ヨガの姿勢、さらには入浴効果を掛け合わせ、よりぐっすり眠ることができます。

もちろん、面倒な準備は不用。必要なのはお風呂とご自身の体だけ。さらにはマインドフルネスにも通じるヨガの効果により、不安や後悔にストレスといった負の感情から解き放たれ、快眠ばかりか、心の安定まで得られるとか!

【お風呂ヨガ:1】ヨガの呼吸法でマインドフルネス! 



1.浴槽のフチに頭を預けたら全身の力を抜き、口から息を吐きながら、体を湯船に沈める。
2.息を吐ききったら浴槽のフチに頭を預けたまま、今度は鼻から息を吸う。胸を開き、胸やお腹にまで空気を入れるようなイメージで息を吸い、両手は浮かせるのがポイント。
3.1と2の動作を1分間繰り返す。

しっかり脱力するため、浴槽のフチの高さや角度が自分にフィットしない場合には、お風呂用の枕を用いるほか、タオルを畳んで、枕代わりにするのもおすすめ!脱力状態で行う深い呼吸がリラックス効果を高めるため、以下にご紹介する2、3のヨガの前後にも取り入れてみて。


【お風呂ヨガ:2】お尻のシェイプにも効果的! 



1.体育座りをしたら、片足をもう一方の太ももの上にのせる。足はその姿勢のまま、お尻の筋肉を伸ばすことを意識しながら背筋を伸ばす。
2.背筋を伸ばしたまま鼻から息を吸い、吸い終わったら上体を前屈させながら口から息を吐く。
3.1と2の動作を左右それぞれ1分間ずつ繰り返す。

背筋をピンと伸ばし、同時にお尻の筋肉にもアプローチ!ポイントは太ももにのせる足のひざ下が自分の肩と並行になるよう意識すること、息を吸うときも吐くときも常に姿勢を伸ばした状態をキープすること。ちなみに上体を前屈させるときは無理をせず、気持ち良い範囲でOK。


【お風呂ヨガ:3】ひねりの運動で腰痛の緩和にも! 



1.体育座りをしたら体の後方に両手をつき、お尻を浮かせる。
2.お尻を浮かせたまま両ひざをヨコに倒し、顔をひざとは反対方向に向けて体をひねる。
3.2の状態を1分間キープし、反対側も同様の動作を行う。

深く呼吸をしながら腰をひねることで、コリがちなウエストの筋肉をほぐします。そのため大切なのは、あくまでも腰を基点に体をひねること。また、無理な姿勢をとっては上手に脱力できないため、浴槽が狭い場合はひざを倒しきらなくてもOK。ひざよりも腰のひねりを意識してください。


 

効果を実感するには湯量や温度、タイミングも重要!

小林先生が提唱するこの3つのヨガを、お風呂で行う理由も「浮力」にあります。ヨガの深い呼吸によって体内に空気を取り込むと浮力が増し、ふわーっと体が浮くようなリラックス感がアップ!また、体が軽くなる浮力の一方、水圧が適度な外的刺激となり、むくみの解消も期待できるとか。

ただし、お風呂の湯量や温度、入浴時間やタイミングには要注意!まず、全身を温めるのと同時に浮力をしっかり得るため、湯量は浴槽からあふれ出ない程度にたっぷりと。水道代が気になるところですが、シャワーを13分間出しっ放しにするのと浴槽いっぱいにお湯を張るのとでは、意外にもほぼ同じ水量なのだそう。

お湯の温度は40℃を基本に、暑い時期には39℃以下でもOK。反対に42℃以上のお湯では交感神経が刺激されてしまい、体は温まっても、副交感神経が優位に働く効果が得づらくなるといいます。また、年齢にもよりますが、20分以上の入浴では血圧が上昇するというデータがありますし、長く入れば肌の乾燥もしやすくなるため、理想的な入浴時間は15分間。

「さらに『深部体温を上げて、下げる』というメカニズムを十分に活用するため、お風呂の前に食事はもちろん、翌日の準備も済ませ、後は寝るだけの状態を作りましょう。そして、お風呂ヨガを行うタイミングは洗髪を済ませた後が理想的。体がポカポカの状態のまま、お風呂から上がることができます」(小林先生)
 
***

入浴による温熱と浮力、それにヨガの呼吸法や姿勢を掛け合わせ、快眠にも心の安定にも効果的なお風呂ヨガ。今回は3つの方法をお届けしましたが、「基本となるのは【お風呂ヨガ:1】の方法。入浴にあまり時間が割けない日でも、これだけは習慣化してください。眠りの質が変わります」と小林先生。

そして、お風呂ヨガによって質の高い睡眠やマインドフルネスを得られる状態が続くと、自然治癒力のアップやメンタルの強化まで期待できるそう。まさに良いことずくめのお風呂ヨガ。今夜からでもトライし、その効果を実感してみてくださいね!

 

眠りとお風呂の専門家/睡眠改善インストラクター/公認心理師/SleepLIVE株式会社代表取締役社長

小林 麻利子 先生

最新のデータや研究のみならず、自身の経験に基づいた生活習慣の見直しにより、自律神経の改善をサポートする「生活習慣改善サロンFlura」を主催。睡眠と入浴を中心とした無理のない指導が人気を呼び、2000人以上のお悩みを解決。雑誌やテレビ番組をはじめとする数々のメディアに登場し、近著は『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)。

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