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眠くなる薬の成分って?花粉症、乗り物酔い、風邪などの症状におすすめする「薬の選び方」を薬剤師が解説します

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眠くなる薬の成分って?花粉症、乗り物酔い、風邪などの症状におすすめする「薬の選び方」を薬剤師が解説します

「重要な会議なのに花粉症でくしゃみと鼻水が止まらない」
「大切なプレゼンや試験の前にお腹が痛くなってしまう」
「楽しみにしていた旅行の移動中に乗り物酔いしてしまう」

大事な用事があるときの困った体調不良時に、市販薬は心強い味方になってくれます。ところが、選び方によっては薬による眠気でかえって困ったことになるケースも。 今回は、身近なシーン別に薬の選び方のコツや注意点などを薬剤師ライターの私、高垣からお伝えします。
   

花粉症の薬が眠くなるのはなぜ?


毎年訪れる花粉シーズン。仕事や勉強に集中できず、困っている方も多いのではないでしょうか。

東京商工リサーチが花粉症に関するアンケートを企業に対して行ったところ、業務に関して「花粉症が悪影響を与えている」と回答した企業は計25.2%と、およそ4分の1にのぼり、そのうちの92.7%が「従業員の作業効率の低下」を訴えました。

少しでも症状を和らげるため、市販薬を飲みながら働いている人も多いかと思いますが、ここでさらに頭を悩ませるのが薬の副作用による眠気です。

花粉症の薬を飲むと、なぜ眠くなってしまうのでしょうか。

それは「ヒスタミン」という物質が関係しています。花粉症による鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどのつらい症状は、花粉が体内に入ってくると放出される「ヒスタミン」などの物質によって起こります。

花粉症対策に用いる鼻炎用薬では、このヒスタミンなどの化学物質が鼻の粘膜などで作用するのをブロックして鼻水などのつらい症状を和らげてくれます。

それだけなら良いのですが、抗ヒスタミン薬は鼻の粘膜だけではなく、脳で作用すると眠気や自分では気づかない集中力の低下などを招くのです。
 

眠くなっては困る!花粉症の薬の選び方


では、薬のせいで仕事や勉強のパフォーマンスが下がると困るという人は、どのような薬を選べば良いのかというと、「車の運転や機械操作を不可」とする記載のない「フェキソフェナジン」や「ロラタジン」などの成分が入った市販薬が良い選択肢となります。

また、飲み薬という薬の形にこだわらなければ、「フルチカゾンプロピオン酸エステル」などのステロイド点鼻薬という選択肢もあります。

言わずもがなではありますが、特に車を運転する人は薬選びに注意しましょう。

眠くなる成分:抗ヒスタミン
眠くなりにくい成分:フェキソフェナジン、ロラタジン

   

乗り物酔い、下痢止め、風邪薬。選んだ薬に眠くなる成分が入っていないかチェックしよう!



抗アレルギー薬のほかにも、飲むと眠くなることがある薬はいくつかあります。たとえば、乗りもの酔い薬に入っている「クロルフェニラミンマレイン酸塩」や、下痢止め薬の「ロペラミド」などの成分です。副作用で眠くなることがある薬を飲むと、どのような「困った」があるのでしょうか。

3つのケースと、薬を選ぶときのポイントをみてみましょう。
 

①旅行が楽しみだけど「乗り物酔い」が悩みのAちゃんのケース

ゴールデンウィークを利用しての海外旅行。長時間のフライトを経て現地に着くと、次の日からはチャーターバスでの観光名所めぐりです。

乗り物に酔いやすいAちゃんが、旅行を最大限に楽しめるようにしたいと、お母さんが「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分が入った乗り物酔い薬を薬局のレジに持っていきました。

【薬を選ぶときのポイント】
「クロルフェニラミンマレイン酸塩」は眠くなりやすいため、移動中に睡眠をとり、しっかり休んでおきたい場合には良い選択肢となります。しかし、チャーターバスでの観光名所めぐりのときに使うと「眠くて観光を楽しめなかった」ということになりかねません。

乗り物酔い薬を選ぶときのポイントは、移動時間や目的にあわせて選ぶことです。たとえば、飛行機での長時間の移動中は1日1回服用タイプなどの長く効く製品を選ぶと快適に移動時間を過ごせそうです。

一方、バスでの観光名所めぐりなどの移動時間が短い場合には、移動にあわせて服用できる1日3回タイプなどの作用する時間が短いものを選ぶと良いでしょう。

眠くなりやすい成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩
選び方:服用頻度で調整。

 

②運転中のトイレが心配な「下痢気味」のBさんのケース

仕事で運転をするBさん。前日の会食で暴飲暴食をしたためか、朝から下痢気味です。運転中に急にトイレに行きたくなるのは困るので、「ロペラミド」という成分が入った市販の下痢止めを買おうと薬局のレジに持っていきました。

【薬を選ぶときのポイント】
ロペラミドを飲むと眠気が起こることがあります。添付文書を見てみると「してはいけないこと」に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」との記載があります。

下痢止めには運転に支障なく服用できる「木クレオソート」などの成分を含む製品もあります。Bさんのように運転する方は、こうした眠くならない成分の止瀉薬を選ぶと良いでしょう。

眠くなりやすい成分:ロペラミド
運転に支障なく服用できる成分:木クレオソート

 

③試験追い込み前なのに風邪で「熱っぽい」Cさんのケース

大事な試験が1週間後に控えていて勉強しないとならないのに、風邪をひいたのか微熱があるというCさん。熱以外の症状はなく、病院に行く時間も惜しいので、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」という成分が入った解熱鎮痛薬を薬局のレジに持っていきました。

【薬を選ぶときのポイント】
風邪っぽくて熱をなんとかしたいけど、大事な試験の前だから眠くなったら困る。そんなときには、Cさんのように総合感冒薬を選ぶのではなく、つらい症状「熱」にフォーカスして対処できる解熱鎮痛薬を選ぶのは良い選択です。

なぜなら、総合感冒薬を選ぶと、さまざまな症状に対処できて安心な一方で、咳止めやアレルギー症状を和らげる成分などの眠くなる成分が配合されていることがあるためです。

今回Cさんが選んだ「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が入った解熱鎮痛薬は眠気の心配はありません。

ただし、どのロキソプロフェンの製品でも眠気の心配はないのかというと実はそうではありません。鎮痛効果を高めるための「アリルイソプロピルアセチル尿素」という成分が配合された製品では、眠気が出るおそれがあります。

眠くなりやすい成分を含む可能性がある薬:複数の成分が配合された総合感冒薬や解熱鎮痛薬
選び方:複数の成分を配合していない単味成分の薬を選ぶ

 
***


このように、私たちにとって身近に起こりうる困った症状に対処するための薬には、症状を和らげる一方で眠気を起こすものもあります。市販薬を初めて使う場合や、購入時に心配なことがあったら、些細なことでも薬剤師などに相談すると安心です。

 

薬剤師ライター 

高垣 育さん

調剤薬局、医療専門広告代理店などの勤務を経て、2012年にフリーランスライターとして独立。薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。人だけではなく動物の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行う。著書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)。
薬剤師ライター仕事百科:https://www.pharmacistwriter.com

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