カテゴリ:眠り
布団でのダニ刺されを予防するには?ダニが繁殖しやすい条件や、ダニに刺された場合の対処法を紹介
身近に存在しながらも目に見えない敵、それが布団やベッドに潜んだダニです。
実はダニがもたらす被害は、刺されたことによる痒みだけではありません。咳やくしゃみといった症状を引き起こす、ハウスダストの原因でもあるのです。
では、ダニの被害を防ぐためには、どうすべきなのでしょうか?
ダニの基礎知識から防ダニ対策、さらにはダニとは対策が異なるトコジラミの対策まで、害虫駆除の専門家として防虫・殺虫商品の開発にも携わる、白井良和先生にお聞きしました。
目次
ダニが繁殖しやすい条件
0.2~1.0mmと肉眼では目視が難しいほど、小さなダニ。
しかし、その繁殖力は驚異的。繁殖に適した条件が重なると、ハウスダスト1g中に10,000匹を超えるダニがいることもある、と言われるほどです。
「世界には膨大な種類のダニが存在します。なかでも“屋内塵性ダニ”は、温度20〜30℃、相対湿度65〜90%の環境でよく繁殖します。
つまり高温多湿な環境、昨今の日本では5〜11月に当たります。暑さがピークを迎える7月、8月には繁殖が抑えられるものの、気温も湿度も高まる梅雨の時期、特に6月前後は繁殖しやすいと言えるでしょう」
白井先生の挙げる“屋内塵性ダニ”とは、屋内に生息し、塵(ちり)をエサにするダニのことです。
私たちの体から出るアカやフケも塵の一種であり、寝具は人の体温や汗によって高温多湿になりやすい環境。ダニからすれば、寝具は繁殖するのにもってこいの場所なのです。
人を刺すダニの種類
白井先生の指摘どおり、ダニは世界の至る所に生息し、種類も膨大。一説には50万種ものダニが存在すると言われ、種類ごとに生息地もエサもさまざまです。
「人を刺す、つまりは吸血し、なおかつ屋内に生息するダニは、実はそこまで種類が多くありません。主にはワクモ、スズメサシダニ、イエダニ、トリサシダニ、クワガタツメダニ、ミナミツメダニ、アシナガツメダニといった種類が挙げられます」
ダニに刺された場合のケア方法
“ダニに刺される”と言いますが、これは蚊と一緒。
ダニは血液を吸うために人を刺し、刺されると痒みが生じるのも蚊と同様のメカニズムです。ダニは吸血の直前に、人の皮膚に唾液を注入します。この唾液によってアレルギー反応が起こり、痒みが生じるのです。
「ダニは下腹部や腰回り、太ももや腕の内側といった柔らかな部位を好み、多くの場合刺されると1〜2日後に赤みや腫れが生じます。痒みの強さには個人差がありますが、刺されたときは患部を流水で冷やし、虫刺され用の痒み止め薬を塗るようにしてください。
ただし、痒みや炎症が強い場合は、皮膚科を受診するようにしましょう」
ダニは目視が難しいほどに小さいばかりか、刺されてから痒みが生じるまでにタイムラグが生じることが多く、ほとんど痒みがあるケースも珍しくないとか。
そのため、痒みが生じても原因がダニであると特定できなかったり、そもそも、ダニに刺されたことに気づけなかったり。結果的に、対策が疎かになることも否定できません。
アレルゲンの原因となるダニやその死骸やフン
ダニは、まさに見えない敵。だからこその被害は、刺されたときだけではありません。白井先生は「ハウスダストの被害も、より広く認識されるべきです」と指摘します。
ハウスダストとは、屋内の塵や埃のなかでも1mm以下の肉眼では見えづらいゴミのこと。
その小ささゆえに空気中に舞い上がりやすく、吸い込むとくしゃみや鼻水に鼻づまり、目や皮膚の痒み、あるいは咳や喘息といったアレルギー症状を引き起こすことがあります。
「カビや細菌に花粉をはじめ、ハウスダストにはさまざまなものが含まれますが、ダニのフンや死骸もそのひとつ。ハウスダストになり得るダニとして、主にコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニが挙げられますが、この種類は人を刺しません。しかし、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニが増えると、これをエサに人を刺すダニまで繁殖してしまうのです」
先にお伝えしたように、ダニの種類は膨大です。塵をエサに繁殖するダニもいれば、塵をエサにし、なおかつ、人や動物の血液を吸うダニも存在します。
本来、人を刺すダニの種類は少ないものの、塵をエサとするダニが繁殖した結果、そのフンや死骸をエサに人の血液を吸うダニまで増殖。悪循環を引き起こしてしまうのです。
布団でのダニ刺されを予防する方法
塵をエサとするダニの繁殖を防ぐことができれば、ハウスダストの被害も刺される被害も同時に軽減できます。
「塵をエサとするダニにとって、寝具は格好の繁殖場所。繁殖を抑えるには清潔第一です。具体的には、布団に掃除機をかけ、ダニを吸い取り寝具を天日干しすること。ダニは乾燥を嫌うため、死滅しないまでも活動が低下します。表裏をしっかりと日に当てることも有効です」
また、ダニは高温多湿の環境を好む一方、50℃以上の熱によって死滅するため、白井先生は布団乾燥機の使用も推奨。設定温度を確認し、“50℃以上”であることが重要です。
「ほかに布団用の殺虫剤も効果的ですが、使用をためらう方もいるでしょう。そうした場合には、虫が嫌がるメンタンジオールを含むレモンユーカリ、シトロネラールを含むシトロネラといったアロマスプレーを寝具に吹きかける手もあります。あまり高い効果は期待できませんが、アロマはいい香りがしますから、抵抗なくお使いいただけるかと思いま
nishikawaからの POINT
高気密高断熱の住宅がほとんどになった現代では、年間を通じ、ダニが繁殖する可能性があります。また、ダニが繁殖しづらい乾燥した冬でも、結露などによってカビが発生するとそのカビがダニのエサになるため、部屋の風通しと掃除機による掃除が大切です。
大ぶりの寝具は掃除機をかけた後、天日干しや風通しをして乾燥させましょう。クリーニング業者に丸洗いを依頼する方法もありますが、布団の種類やサイズによっては難しいケースも。また、カバーやシーツはこまめな洗濯を心掛けましょう。
大ぶりの寝具は掃除機をかけた後、天日干しや風通しをして乾燥させましょう。クリーニング業者に丸洗いを依頼する方法もありますが、布団の種類やサイズによっては難しいケースも。また、カバーやシーツはこまめな洗濯を心掛けましょう。
nishikawaの自宅洗いのできる防ダニ寝具
nishikawaではダニを寄せ付けにくく、花粉の付きづらい加工をした生地を採用し、水洗いできる<アレルウォール>シリーズを販売。合繊敷き布団や掛け布団も自宅の洗濯機で洗える商品です。
「花粉が付きづらいということは、ダニのエサとなる塵も付きづらいということ。そのため、花粉の付きづらい加工も防ダニ対策に効果的だと考えられます。また、寝具を水洗いすれば、掃除機をかける以上にしっかりとダニを除去できるはずです」
<アレルウォール>シリーズはこちら
国内での発生も報告されるトコジラミにも要注意!
一方、昨年世間を騒がせたのが、古くは南京虫とも呼ばれたトコジラミです。殺虫剤の普及とともに数を減らしていましたが、新型コロナに関わる規制緩和によって海外旅行による往来が戻りつつある今、改めて存在感を強めています。
トコジラミは血液を吸うために人を刺し、刺されるとダニと同様に痒みが生じます。痒みには個人差があり、なかには眠れないほどの痒みに襲われる人もいるようです。
「トコジラミもダニも刺されると痒みが生じますが、トコジラミの場合、吸血後に赤黒い血糞を残すケースが多く見られます。
皮膚に痒みがあり、なおかつ、寝具や周辺に黒い点々が残っていれば、トコジラミの繁殖が疑われます。
ちなみに、トコジラミの繁殖に衛生か不衛生かは無関係。人や動物の血を吸える環境であれば、トコジラミは増殖します」
白井先生の指摘どおり、トコジラミは衛生的な環境でも繁殖します。ニュースに取り上げられたのも、不潔な環境から持ち込まれたわけではなく、かつては効果的だった殺虫剤が効かない、抵抗性の強い個体が増えているからなのです。
「トコジラミは海外から持ち込まれるだけでなく、少数ながら、国内での発生も耳にします」と白井先生。撃退するには主にピレスロイド系の殺虫剤が使用され、それが効かない場合には、カーバメート系のトコジラミ用殺虫剤が用いられるそうです。
***
旅行先での被害が心配な場合には、露出の少ない長袖・長ズボンで眠るようにし、トコジラミはすき間に入り込む性質があるため、荷物をビニールなどで覆うことが効果的。
そして、より私たちの身近にいるダニは屋内だけでなく、屋外にも多く生息しています。その代表格がマダニですが、マダニは人を刺し、特にキャンプ場のような草木の茂った環境に多く繁殖しているとか…。
せっかくのレジャーが“痒い思い出”にならないためにも、自然が豊かな環境に出掛けるときには露出の多い格好を避け、虫刺され用の痒み止め薬を携帯するのがおすすめです。
害虫防除技術研究所 所長/有限会社モストップ 取締役
白井良和先生
京都大学農学部昆虫学研究室にて農業害虫の研究に従事。その後、殺虫剤メーカーにてゴキブリベイト剤の研究・開発に携わり、富山医薬大にて「蚊の吸血誘引に関する総合的研究」で医学博士号を取得。2001年に「害虫防除技術研究所」を設立し、2003年には特に蚊に注力した「有限会社モストップ」を設立。蚊をはじめとする害虫の虫よけ剤、捕獲器の効果確認実験のほか、メディアへの情報提供も行う。著書に『蚊のチェックポイント71』『蚊の対策がわかる 蚊の教科書』、共著に『蚊のはなし』がある。
https://mostop.co.jp/profile/
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