2022年07月28日 カテゴリ:眠り

更年期の寝汗による中途覚醒…どう対応すべき!?産婦人科医に聞く「更年期」によくある睡眠トラブル

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更年期の寝汗による中途覚醒…どう対応すべき!?産婦人科医に聞く「更年期」によくある睡眠トラブル
40代前半から始まる人もいるという「女性の更年期」。加齢により、エストロゲンというホルモンが作れなくなることで、火照りや冷えなどのさまざまな症状が表れます。

特に寝ている間は「寝汗」による不快感で目が覚めてしまい、睡眠の満足度が下がってしまう人も多いようです。今回は産婦人科医師の高尾美穂先生に、更年期のメカニズムと症状への対策について伺いました。

 

閉経前後に見られる心身の変化。「更年期」はなぜ起こる?

女性に等しく訪れる「閉経」は「卵巣が働けなくなった状態」を意味し、「12カ月生理が来ない」ことで知ることになります。閉経をはさんだ前後5年、合計10年間を「更年期」と呼び、身体面とメンタル面にさまざまな変化が起こります。

「更年期症状のそもそもの原因は卵巣でエストロゲンというホルモンが作れなくなること。女性の体は、エストロゲンが分泌されて、排卵が促されます。その後、妊娠が成立しなかった時にやってくるのが月経です。このエストロゲンの分泌は、脳の視床下部でコントロールされています。
しかし、加齢に伴い卵巣で作られるエストロゲンの量が低下。視床下部からは、いつも通りにエストロゲン分泌の指令が出される一方で、卵巣は応じられなくなってしまうわけです。これが繰り返されることで、視床下部が機能低下に陥ってしまうのです」

視床下部はホルモンの分泌コントロール以外にも、自律神経のコントロールも担っている場所。機能が低下してしまうと、体温調整がうまくできなくなり、急に汗をかいたり火照ったり、逆に血管の太さを細くしすぎて、体の末端が冷えてしまったりするそうです。

「これ以外にも、肩こりや腰痛、内臓の機能低下による消化不良など『加齢による身体的な機能変化』も更年期症状に含まれます。さらに、怒りっぽくなったり、鬱っぽくなったりするメンタルの不調も更年期症状の一種です」

自律神経失調による変化、加齢による変化、メンタルの変化。この3つのカテゴリーすべてを「更年期症状」と呼び、その症例は200〜300もあると言われています。

 

更年期の中途覚醒は「ホルモン補充療法」で緩和

更年期の睡眠トラブルとして、「寝汗による中途覚醒」に悩まされている女性は少なくありません。部屋が適温に保たれていても、自律神経失調状態だと急激に汗をかき、その不快感で目が覚めてしまいます。これに対して高尾先生は「明るさを落とした中で着替えを済ませ、『もう一度絶対に寝る』という強い意思を持って寝直すことが大切」と話します。

「夜中に起きてしまうと、『今、何時かな?』と、つい携帯の画面を見てしまったり、部屋の電気をつけて着替えをしてしまったりする方も多いかと思いますが、これはNG。夜中に目覚めても、すぐに寝直すことができれば、睡眠の満足度はそこまで下がりません。夜中のトイレも同様です。眩しく感じるような電気はつけずに、済ませたらすぐに布団に戻りましょう。」

夜中に目が覚めてしまい寝直せずにいると、結果として中途覚醒が起こり寝不足に。さらには日中の集中力が落ちてメンタル不調にもつながります。更年期の睡眠トラブル対策は、このトライアングルをいかに改善していくかがポイントとなるそうです。



また、寝汗で夜中に起きてしまう状態は、自律神経失調によるもの。緩和のためには、エストロゲンを補充する「ホルモン補充療法が効果的」と高尾先生。

「ホルモン補充療法は寝汗だけでなく、メンタルの落ち込みも改善できます。しかし寝汗が減って夜間しっかり眠れるようになることで睡眠の満足度も上がるため、間接的に日中のメンタル不調も良くなってくるはず。変えられるところから変えて、良いサイクルを作っていきたいですね」

 

40代以降は特に意識したい「睡眠時間の確保」と「自分のための運動時間」

40代以降、「不眠」と感じている女性は約40%。その背景には、女性の社会進出による育児と仕事の両立、さらに高齢出産の増加による育児と介護のダブルケアも理由として考えられるそうです。

「世界的に見ても日本人の睡眠時間は短いというデータが出ていますが、特に40〜50代の女性は、十分な睡眠時間の確保ができていない方がとても多いです。

更年期世代の女性は、仕事をしている人が8割弱。家庭では母として、妻として、または親の介護など役割がとても多く、限られた24時間を『自分以外』のために使っていることがほとんどです。自分の時間…、なかでも自分の睡眠のための時間を見直さなければ、睡眠の満足度は改善しません」

「十分な睡眠が取れている状態とは、目を覚ましてから夜寝るまで一瞬も眠くならない状態」と続けた高尾先生。日中眠くてたまらないという人や、いつでもどこでも眠れるという人は、睡眠時間が足りていない証拠。「●時間寝ているから大丈夫」という基準にとらわれず、自分の今の状態から判断した方が良さそうです。

また、更年期症状には有酸素運動も効果的です。ウォーキングなど、「強度低め」の運動を一回30分、週に2日以上行うことがおすすめで、汗や火照りなどの自律神経失調状態も改善されます。運動により、肩こりや腰痛などのフィジカルの悩みも緩和し、メンタルも前向きに。

更年期世代の女性は、「睡眠時間の確保」と「自分のための運動時間」を意識することが、症状緩和への第一歩となりそうです。

 

家族の理解も必要。「つらいな」と感じたら専門医に相談を

更年期の症状が一番重く出るのが、閉経前2年と閉経後の1年。エストロゲンの値は、アップダウンを繰り返しながら緩やかに下降していきますが、繰り返される揺さぶりに心身が疲弊していくようです。

「更年期による不調には、家族の理解も大切です。家事を家族に任せられるのであれば、『体調が悪いから、夕飯の後はお願いね』と、早めに自分のための時間に入るなど、24時間の使い方を自分寄りにシフトしてほしいです。『家事のコアタイム』を家庭の中で作るのも手段の一つです」

更年期の症状は、外からではわかりにくいもの。そのため周囲からは「なんだか機嫌が悪いな」「最近怒りっぽいな」と思われがちですが、それを「体調が悪いのかも」と切り替えて捉えてもらえたら、更年期症状に悩む女性も楽になれるはず。

「生理痛と同様に更年期の症状にも個人差があり、中にはほとんど症状がないという人もいます。ただし、隣にいる人が自分と同じとは考えないでいただきたい。また『しんどいな』と感じたら、がまんせず婦人科を受診するようにしましょう。家族にも『女性は不調が起こりやすい生き物』ということを理解してもらい、『不調なとき、代わりに何ができるかな』という考え方にシフトしてもらえたら嬉しいですね」

眠っている時間を疎かにしてしまうのは、寝ている間の意識がないから。けれど眠るという行為は「起きている時間を良くするため」の大切な時間。覚醒のための眠り、ということを私たちはもっと意識すべきなのかもしれません。

仕事でも責任が増え、家庭の役割も多い更年期世代。「自分が幸せに過ごすためには」を考えたライフサイクルを見直してみたいものですね。
 

イーク表参道副院長

高尾美穂先生

ク イーク表参道」副院長。内科・婦人科・乳腺の診療を通して女性の健康をサポートし、女性それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示。また、株式会社ドームのアドバイザーリードクターとして、女性トップアスリートのメディカル・メンタルサポートを行う他、医学的な知識の提供、商品開発へのアドバイスを行う。
https://www.mihotakao.jp/

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