カテゴリ:眠り
周りの音や光が気になりすぎて眠れない…!繊細で敏感なHSP気質の人に見られる睡眠トラブルと解消法
近年、「HSP (Highly Sensitive Person)」という言葉を耳にするようになりました。HSPとは、人の言動や表情、周りの音や光、匂いなどに非常に敏感な気質を持った人のことで、5人に1人が当てはまるとも言われています。
交感神経が過剰に高ぶってしまうのもHSPの特徴で、寝る時間になってもリラックスすることができずうまく入眠できなかったり、小さな物音やわずかな光で目が覚めてしまったりするなど、睡眠トラブルを抱えているという人も多いそう。
今回は、精神科医でパークサイド日比谷クリニックの院長を務める立川秀樹先生に、不眠とHSPとの関係性と対処法について伺いました。
「人の言動や表情、周りの音や光、匂いに非常に敏感に反応してしまう人。また、他人ごとを自分のことのように受け止めるなど、周囲に感情移入しすぎてしまう人がいます。このような気質の人は、HSPかもしれません」(立川先生)
HSPは、1996年にアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念で、具体的に、次の4つの特性を持っているそうです。
⑴処理の深さ…物事を深く考えすぎて没頭するあまり、知識が非常に深く広くなる。背後にあることまで考えてすぎて、社交辞令やお世辞を見抜いてしまう。
⑵過剰に刺激を受けやすい…相手の言葉や気分にも敏感で、対人関係でどっと疲れてしまう。
⑶感情的反応性・高度な共感性…相手に感情移入しすぎてしまう。相手の気持ち、立場に入り込みすぎてしまう。相手の感情を過剰に読んでしまう。
⑷些細な刺激に対する感受性…音、光、匂い、肌触り、ボディタッチなど、五感の感度が非常に高く、敏感で疲労しやすい。
「HSPは疾患ではありませんが、悩んでいる人はとても多いです。音、光、匂いなどに過剰に反応してしまう『感覚過敏』や、人の気持ちを深読みしすぎてしまうなどの『イマジネーション障害』などの傾向もHSPに当てはまります」(立川先生)
あらゆる観点で、非常に敏感で刺激を受けやすいのがHSPの特徴です。例えば、私たちが無意識にカットしている雑音に対しても、HSPの人はそれができないため、耳に入ってくる音すべてを聞き取っているうちに、頭がぱんぱんになって疲弊してしまうそうです。
また、相手が“レベル5”で怒っていた場合、それを“レベル8”の怒りだと過剰に捉えてしまったり、職場で他の人が怒られているのを見て、まるで自分が怒られているような気分になってしまい、怯えたり嫌な気分になったりするのもHSPの「イマジネーション障害」の一種だそうです。
このようなHSPの悩みには、個人差があり、程度もさまざま。必ずしも治療が必要というわけではなく、「悩んでいる部分を緩和させることで慣れていくもの」と立川先生。例えば、感覚過敏に悩んでいるのなら、外出時はイヤホンをつけて伊達メガネをかけるなど、刺激をダイレクトに受けないような方法を取るなど、テクニックでカバーしていくと良いとのこと。
「持って生まれた特徴なので、なくなるということはありません。しかし、自分自身の特徴に理解を深めることができれば『どうすれば過ごしやすくなるのか』がわかってくるはずです。通常、漢方や安定剤を処方しますが、それだけではなく、過ごしやすくなるためのアドバイスを行っていきます」(立川先生)
「過覚醒とは、交感神経が過剰に高ぶっている状態です。交感神経は覚醒時に優位になる自律神経で、ストレスに立ち向かう時や、新しい環境に適応しようとがんばる場面でも高まります。
本来、ストレスから解放されてリラックスできる状況になれば、副交感神経が優位になって休息状態になります。でも、HSPのように人の期待に応えようと過剰にがんばってしまったり、常にストレスにさらされてしまったりする場合、副交感神経が上がらず、交感神経が優位になり続けてしまうんです。この状態を、“過覚醒”と呼びます」(立川先生)
過覚醒になると、交感神経が高い状態を保つため、寝つきが悪く、睡眠も浅くなり、些細な物音で目を覚ましてしまいます。また、副交感神経が抑制されているため、胃腸など内臓の機能が低下し、胃痛や吐き気、腹痛が起こることもあるそうです。
「注意したいのは、『HSP=不眠』ではなく、『HSPだから過覚醒になりやすい=不眠になりやすい』ということです」と続けた立川先生。刺激に対して敏感なHSPだから、過覚醒状態に陥りやすく、その結果、不眠を招いてしまうのだそう。
HSPで不眠に悩んでいる場合、徹底した遮光など、本人にとって安心できる環境を作ることが大切です。
「交感神経が上がらない状況を寝室に用意することです。HSPは光だけでなく、音にも敏感なので、時計の針の音もNG。ただしその人が心地良く感じられる音楽であればつけておいてもOKです。
寝る3時間くらい前から、極力刺激を避けて過ごしましょう。特にニュースなどは自分が欲していない情報が入ってきてしまうので良くありません」(立川先生)
一般的にはリラックス効果があると言われるアロマも、HSPにとっては逆効果。布団やパジャマの肌触りも同様で、着心地の良いものを新調するのではなく、「いつもと同じもの」を使用しましょう。大切なのは、心をホームの状態に安定させ、アウェイと感じさせないことです。
また、HSPは、「刺激に敏感」ということに加え、「刺激を選択できない」という特徴があるそうです。HSPではない人は、さまざまな刺激に対して、無意識に必要でない刺激を排除して過ごしています。しかしHSPは無意識の選択が難しいため、とにかく余計な刺激を入れないことが不眠対策のポイントとのこと。
「HSPに限らずですが、午後3時以降はカフェインを摂らない、起床して11時間後の運動が睡眠の質を高めるためにもオススメです」(立川先生)
HSPは病気ではなく、人が持つ特徴のこと。「自分が何を不快に思うか、どんな環境が安心するか」を正しく知ることが、睡眠の質を高めることにも繋がっていくはずです。
交感神経が過剰に高ぶってしまうのもHSPの特徴で、寝る時間になってもリラックスすることができずうまく入眠できなかったり、小さな物音やわずかな光で目が覚めてしまったりするなど、睡眠トラブルを抱えているという人も多いそう。
今回は、精神科医でパークサイド日比谷クリニックの院長を務める立川秀樹先生に、不眠とHSPとの関係性と対処法について伺いました。
敏感すぎて疲れやすい「HSP」の特徴
まず気になるのが「HSP」気質の方の特徴です。「人の言動や表情、周りの音や光、匂いに非常に敏感に反応してしまう人。また、他人ごとを自分のことのように受け止めるなど、周囲に感情移入しすぎてしまう人がいます。このような気質の人は、HSPかもしれません」(立川先生)
HSPは、1996年にアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念で、具体的に、次の4つの特性を持っているそうです。
⑴処理の深さ…物事を深く考えすぎて没頭するあまり、知識が非常に深く広くなる。背後にあることまで考えてすぎて、社交辞令やお世辞を見抜いてしまう。
⑵過剰に刺激を受けやすい…相手の言葉や気分にも敏感で、対人関係でどっと疲れてしまう。
⑶感情的反応性・高度な共感性…相手に感情移入しすぎてしまう。相手の気持ち、立場に入り込みすぎてしまう。相手の感情を過剰に読んでしまう。
⑷些細な刺激に対する感受性…音、光、匂い、肌触り、ボディタッチなど、五感の感度が非常に高く、敏感で疲労しやすい。
「HSPは疾患ではありませんが、悩んでいる人はとても多いです。音、光、匂いなどに過剰に反応してしまう『感覚過敏』や、人の気持ちを深読みしすぎてしまうなどの『イマジネーション障害』などの傾向もHSPに当てはまります」(立川先生)
あらゆる観点で、非常に敏感で刺激を受けやすいのがHSPの特徴です。例えば、私たちが無意識にカットしている雑音に対しても、HSPの人はそれができないため、耳に入ってくる音すべてを聞き取っているうちに、頭がぱんぱんになって疲弊してしまうそうです。
また、相手が“レベル5”で怒っていた場合、それを“レベル8”の怒りだと過剰に捉えてしまったり、職場で他の人が怒られているのを見て、まるで自分が怒られているような気分になってしまい、怯えたり嫌な気分になったりするのもHSPの「イマジネーション障害」の一種だそうです。
このようなHSPの悩みには、個人差があり、程度もさまざま。必ずしも治療が必要というわけではなく、「悩んでいる部分を緩和させることで慣れていくもの」と立川先生。例えば、感覚過敏に悩んでいるのなら、外出時はイヤホンをつけて伊達メガネをかけるなど、刺激をダイレクトに受けないような方法を取るなど、テクニックでカバーしていくと良いとのこと。
「持って生まれた特徴なので、なくなるということはありません。しかし、自分自身の特徴に理解を深めることができれば『どうすれば過ごしやすくなるのか』がわかってくるはずです。通常、漢方や安定剤を処方しますが、それだけではなく、過ごしやすくなるためのアドバイスを行っていきます」(立川先生)
“過覚醒”になりやすいHSPは寝つきづらい…?
立川先生は、HSPの人は「過覚醒」を起こしやすく、それが不眠につながる可能性が高いと話します。「過覚醒とは、交感神経が過剰に高ぶっている状態です。交感神経は覚醒時に優位になる自律神経で、ストレスに立ち向かう時や、新しい環境に適応しようとがんばる場面でも高まります。
本来、ストレスから解放されてリラックスできる状況になれば、副交感神経が優位になって休息状態になります。でも、HSPのように人の期待に応えようと過剰にがんばってしまったり、常にストレスにさらされてしまったりする場合、副交感神経が上がらず、交感神経が優位になり続けてしまうんです。この状態を、“過覚醒”と呼びます」(立川先生)
過覚醒になると、交感神経が高い状態を保つため、寝つきが悪く、睡眠も浅くなり、些細な物音で目を覚ましてしまいます。また、副交感神経が抑制されているため、胃腸など内臓の機能が低下し、胃痛や吐き気、腹痛が起こることもあるそうです。
「注意したいのは、『HSP=不眠』ではなく、『HSPだから過覚醒になりやすい=不眠になりやすい』ということです」と続けた立川先生。刺激に対して敏感なHSPだから、過覚醒状態に陥りやすく、その結果、不眠を招いてしまうのだそう。
光、音、情報もシャットアウト!「刺激を避けること」が安眠のためのポイント
HSPで不眠に悩んでいる場合、徹底した遮光など、本人にとって安心できる環境を作ることが大切です。
「交感神経が上がらない状況を寝室に用意することです。HSPは光だけでなく、音にも敏感なので、時計の針の音もNG。ただしその人が心地良く感じられる音楽であればつけておいてもOKです。
寝る3時間くらい前から、極力刺激を避けて過ごしましょう。特にニュースなどは自分が欲していない情報が入ってきてしまうので良くありません」(立川先生)
一般的にはリラックス効果があると言われるアロマも、HSPにとっては逆効果。布団やパジャマの肌触りも同様で、着心地の良いものを新調するのではなく、「いつもと同じもの」を使用しましょう。大切なのは、心をホームの状態に安定させ、アウェイと感じさせないことです。
また、HSPは、「刺激に敏感」ということに加え、「刺激を選択できない」という特徴があるそうです。HSPではない人は、さまざまな刺激に対して、無意識に必要でない刺激を排除して過ごしています。しかしHSPは無意識の選択が難しいため、とにかく余計な刺激を入れないことが不眠対策のポイントとのこと。
「HSPに限らずですが、午後3時以降はカフェインを摂らない、起床して11時間後の運動が睡眠の質を高めるためにもオススメです」(立川先生)
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HSPは病気ではなく、人が持つ特徴のこと。「自分が何を不快に思うか、どんな環境が安心するか」を正しく知ることが、睡眠の質を高めることにも繋がっていくはずです。
パークサイド日比谷クリニック 院長
立川秀樹先生
筑波大学医学部、筑波大学大学院博士課程卒業。都内、埼玉、茨城、北海道にて精神科医・産業医として勤務。中野区精神障害者社会復帰センター、ストレスケア日比谷クリニック勤務を経て、パークサイド日比谷クリニック院長に就任。著書に『「こころの病気」から自分を守る処方せん』(毎日コミュニケーションズ|2009年4月)、『眠れなくて不安な人たち:睡眠障害はなぜ、治りにくいのか?』(リヨン社|2008年2月)など。https://www.parkside-hibiya.com/
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