カテゴリ:眠り
睡眠の専門医に聞く!今の季節に気をつけたい「二度寝」の原因と対策
新年度がスタートしてから、もうすぐ1カ月。新しい生活にも少しずつ慣れ始めるころですが、そこで気をつけたいのが二度寝ですよね。
新生活に限らず、二度寝をしたあとは大焦り!「どうしてすぐに起きなかったのか…」と後悔がつきまといますが、そもそも二度寝をしてしまうのはなぜなのでしょうか?
その理由を教えてくれるのは、睡眠の側面から心身をサポートする「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」の院長、中村真樹先生。二度寝の原因はもちろん、二度寝の予防策や休日の上手な睡眠の取り方もお届けします!
「目覚めた直後に感じる強い眠気のことを『睡眠慣性』といいます。目覚ましにとらわれずに睡眠を取り、自然に起きる場合を除いては、寝起きは脳も身体も睡眠状態から覚醒状態へと移行する途中の段階。起きてはいても強い眠気を感じやすく、脳がしっかり働き始めるのは起床から20~30分後というデータもあります」(中村先生)
中村先生が指摘する睡眠慣性を引き起こす一因は、充分な睡眠が取れていないこと!睡眠時間が足りていなかったり、時間は取れていても眠りが浅かったり、しっかりと眠れていないと寝起き後でも強い眠気に見舞われるのです。
すると二度寝をしないための予防策は、日常的にしっかり眠ること!ですが、それを許さないのが現代社会でもありますよね。春に二度寝をしやすい理由についても、中村先生は「新生活のリズムに、身体が慣れていないせいかもしれません」と指摘します。
「学生だった3月までは8時起きだったのが、社会人生活が始まってからは6時起き。そうした場合、気持ちは今の生活に慣れつつあっても睡眠のリズムが新生活に追いつかず、眠りの質が低下している可能性があります」(中村先生)
また、春に多い花粉症の症状から睡眠中の呼吸が浅くなり、その息苦しさから眠りが浅くなるケースも考えられるそうです。
それだけに二度寝に悩む日本人は多そうですが、日常的に睡眠時間が足りていない以上、二度寝をしないためには気合いが必要になりそうです。
「とは言え、“気合い”はストレスになりますよね。そこで推奨したいのが、目覚めてすぐの時間に『起きたい!』と思えるような行為を用意すること。例えば『朝ご飯に大好物を食べる!』といったように、ご自身のモチベーションを上げるような行為を用意しておくのです」(中村先生)
そこで思い浮かぶのが、朝の時間を有意義に使う「朝活」ではないでしょうか。始業前の時間帯にランニングをしたり、習い事をしたり、贅沢な朝食を味わったり。朝活を楽しもうとする気持ちは早起きにも、二度寝を防ぐためにも有効ですが、注意したいのが就寝時間です。
「朝活は起きるためのモチベーションになるかもしれませんが、早起きした分だけ、就寝時間を早めることが重要です。朝活のために睡眠時間を削って寝不足になっては、結局は日中眠くなって仕事や勉強のパフォーマンスが低下してしまいます」(中村先生)
2015年に行われた全米睡眠財団(National Sleep Foundation)の調査では、成人に推奨される睡眠時間は7〜9時間程度とのことですが、然るべき睡眠時間の確保が難しい現代社会。そこで多くの人が行っているのが、休日の二度寝ではないでしょうか?
「しかし、休日の二度寝や寝坊がもたらすのが『ソーシャルジェットラグ』という現象です。早起きをせざるを得ない平日と、前日に好きなだけ夜更かしして朝寝坊できる休日。ここに生じる睡眠時間の差が原因となり、体内リズムのズレを引き起こしてしまうのです」(中村先生)
ソーシャルジェットラグを日本語にすると、「社会的時差ボケ」。時差のある海外を訪れると、本来眠るべき夜の時間帯に眠れず、日中にも身体のダルさや思考能力の低下を感じることがありますが、同じことが休日の夜ふかし・二度寝が原因で日常生活でも起こってしまうのです。
これを回避するためには、平日も休日も規則正しく睡眠時間を取ることが必要になりますが、多くの社会人にとっては、そうはいきません。そこで中村先生が推奨するのが、二度寝をするのではなく、思い切って朝寝坊してしまうこと!
「真面目な方が多いのでしょう。平日通りの起床時間を守ろうと、平日と同じ時間に目覚ましを設定。一度は起きたものの、休日だからと二度寝をする人がいます。しかしながら身体の疲れを回復するには、連続した睡眠が効果的。二度寝をするくらいなら、目覚ましのアラームを2時間ほど遅く設定し、朝寝坊するほうがいいのです。ただ昼過ぎまで眠り続けるのはNG。いつもと同じ時間に寝て“平日より2時間ほど遅く”起きるのがポイントです」(中村先生)
そして休日だからとダラダラせず、日中はアクティブに活動することも大事!日中の活動量が少ないと身体が疲労せず、疲れが少ない分だけ、夜の眠気が生じにくくなるからです。
さらに中村先生は「夕方以降のお昼寝も推奨しません」と指摘。夕方以降にお昼寝をしては、やはり夜の眠気が生じにくくなるため、生理的に眠気を感じやすい午後2時くらいに、10~20分程度の仮眠にとどめるのがおすすめです。また、深夜までの夜更かしもソーシャルジェットラグの原因に。休日前の夜は好きな映画やゲームをおもいきり楽しみたくなりますが、ほどほどで止めることが大切です。
最後に中村先生が教えてくださった、興味深い話題をひとつ!コロナ禍により世界中の人たちが困難な状況にありますが、なんと睡眠においてはポジティブな調査結果があるというのです。
「リモートワークの普及による好影響でしょう。コロナ禍以降、日本も欧米も、ソーシャルジェットラグを生じる人の割合が減っているのです。自宅で仕事ができる、つまり通勤時間がなくなった分だけ遅寝早起きが不要となり、平日と休日の睡眠時間に差が付きにくくなったことの証左だと考えられます」(中村先生)
新型コロナウイルスのいち早い収束と終息を願うばかりですが、この調査結果が示唆するように、健全な眠りを維持するにはこれまでの生活スタイルからの変化も必要なのかもしれません。
新生活に限らず、二度寝をしたあとは大焦り!「どうしてすぐに起きなかったのか…」と後悔がつきまといますが、そもそも二度寝をしてしまうのはなぜなのでしょうか?
その理由を教えてくれるのは、睡眠の側面から心身をサポートする「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」の院長、中村真樹先生。二度寝の原因はもちろん、二度寝の予防策や休日の上手な睡眠の取り方もお届けします!
後悔がつきまとう二度寝、現代社会では仕方ない?
アラームの音に起こされ、いったんは目覚めたものの、ついつい二度寝。誰でも一度は経験があると思いますが、寝起きに眠気を感じるのは、仕方のないことのようです。「目覚めた直後に感じる強い眠気のことを『睡眠慣性』といいます。目覚ましにとらわれずに睡眠を取り、自然に起きる場合を除いては、寝起きは脳も身体も睡眠状態から覚醒状態へと移行する途中の段階。起きてはいても強い眠気を感じやすく、脳がしっかり働き始めるのは起床から20~30分後というデータもあります」(中村先生)
中村先生が指摘する睡眠慣性を引き起こす一因は、充分な睡眠が取れていないこと!睡眠時間が足りていなかったり、時間は取れていても眠りが浅かったり、しっかりと眠れていないと寝起き後でも強い眠気に見舞われるのです。
すると二度寝をしないための予防策は、日常的にしっかり眠ること!ですが、それを許さないのが現代社会でもありますよね。春に二度寝をしやすい理由についても、中村先生は「新生活のリズムに、身体が慣れていないせいかもしれません」と指摘します。
「学生だった3月までは8時起きだったのが、社会人生活が始まってからは6時起き。そうした場合、気持ちは今の生活に慣れつつあっても睡眠のリズムが新生活に追いつかず、眠りの質が低下している可能性があります」(中村先生)
また、春に多い花粉症の症状から睡眠中の呼吸が浅くなり、その息苦しさから眠りが浅くなるケースも考えられるそうです。
二度寝を防ぐ秘策は、朝に大好物を食べること!?
日本人の睡眠不足については、以前から指摘されていること。2010年に日本企業が行った調査によれば、ニューヨーク・上海・パリ・ストックホルム・東京の5都市を対象にビジネスパーソンの睡眠時間を調査したところ、東京が最も少ない5.59時間だったという結果もあるほどです。それだけに二度寝に悩む日本人は多そうですが、日常的に睡眠時間が足りていない以上、二度寝をしないためには気合いが必要になりそうです。
「とは言え、“気合い”はストレスになりますよね。そこで推奨したいのが、目覚めてすぐの時間に『起きたい!』と思えるような行為を用意すること。例えば『朝ご飯に大好物を食べる!』といったように、ご自身のモチベーションを上げるような行為を用意しておくのです」(中村先生)
そこで思い浮かぶのが、朝の時間を有意義に使う「朝活」ではないでしょうか。始業前の時間帯にランニングをしたり、習い事をしたり、贅沢な朝食を味わったり。朝活を楽しもうとする気持ちは早起きにも、二度寝を防ぐためにも有効ですが、注意したいのが就寝時間です。
「朝活は起きるためのモチベーションになるかもしれませんが、早起きした分だけ、就寝時間を早めることが重要です。朝活のために睡眠時間を削って寝不足になっては、結局は日中眠くなって仕事や勉強のパフォーマンスが低下してしまいます」(中村先生)
目覚ましはかけません!二度寝するなら朝寝坊がベター
2015年に行われた全米睡眠財団(National Sleep Foundation)の調査では、成人に推奨される睡眠時間は7〜9時間程度とのことですが、然るべき睡眠時間の確保が難しい現代社会。そこで多くの人が行っているのが、休日の二度寝ではないでしょうか?
「しかし、休日の二度寝や寝坊がもたらすのが『ソーシャルジェットラグ』という現象です。早起きをせざるを得ない平日と、前日に好きなだけ夜更かしして朝寝坊できる休日。ここに生じる睡眠時間の差が原因となり、体内リズムのズレを引き起こしてしまうのです」(中村先生)
ソーシャルジェットラグを日本語にすると、「社会的時差ボケ」。時差のある海外を訪れると、本来眠るべき夜の時間帯に眠れず、日中にも身体のダルさや思考能力の低下を感じることがありますが、同じことが休日の夜ふかし・二度寝が原因で日常生活でも起こってしまうのです。
これを回避するためには、平日も休日も規則正しく睡眠時間を取ることが必要になりますが、多くの社会人にとっては、そうはいきません。そこで中村先生が推奨するのが、二度寝をするのではなく、思い切って朝寝坊してしまうこと!
「真面目な方が多いのでしょう。平日通りの起床時間を守ろうと、平日と同じ時間に目覚ましを設定。一度は起きたものの、休日だからと二度寝をする人がいます。しかしながら身体の疲れを回復するには、連続した睡眠が効果的。二度寝をするくらいなら、目覚ましのアラームを2時間ほど遅く設定し、朝寝坊するほうがいいのです。ただ昼過ぎまで眠り続けるのはNG。いつもと同じ時間に寝て“平日より2時間ほど遅く”起きるのがポイントです」(中村先生)
そして休日だからとダラダラせず、日中はアクティブに活動することも大事!日中の活動量が少ないと身体が疲労せず、疲れが少ない分だけ、夜の眠気が生じにくくなるからです。
さらに中村先生は「夕方以降のお昼寝も推奨しません」と指摘。夕方以降にお昼寝をしては、やはり夜の眠気が生じにくくなるため、生理的に眠気を感じやすい午後2時くらいに、10~20分程度の仮眠にとどめるのがおすすめです。また、深夜までの夜更かしもソーシャルジェットラグの原因に。休日前の夜は好きな映画やゲームをおもいきり楽しみたくなりますが、ほどほどで止めることが大切です。
最後に中村先生が教えてくださった、興味深い話題をひとつ!コロナ禍により世界中の人たちが困難な状況にありますが、なんと睡眠においてはポジティブな調査結果があるというのです。
「リモートワークの普及による好影響でしょう。コロナ禍以降、日本も欧米も、ソーシャルジェットラグを生じる人の割合が減っているのです。自宅で仕事ができる、つまり通勤時間がなくなった分だけ遅寝早起きが不要となり、平日と休日の睡眠時間に差が付きにくくなったことの証左だと考えられます」(中村先生)
新型コロナウイルスのいち早い収束と終息を願うばかりですが、この調査結果が示唆するように、健全な眠りを維持するにはこれまでの生活スタイルからの変化も必要なのかもしれません。
青山・表参道 睡眠ストレスクリニック院長
中村真樹先生
日本睡眠学会専門医。東北大学医学部卒業、東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。その後、睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」を開院。臨床と研究、両面の実績があり、睡眠に悩む多くの患者さんの治療にあたっている。ビジネスパーソン向けの書籍『仕事が冴える眠活法』(三笠書房)も話題に。
https://omotesando-sleep.com/
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