2022年05月03日 カテゴリ:眠り

月曜日の朝がどうしても憂鬱。「起きられなくてもいい」と認めると起床は楽になる

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月曜日の朝がどうしても憂鬱。「起きられなくてもいい」と認めると起床は楽になる

日曜日の夜。そしてお休み明けの月曜日の朝。また忙しい1週間が始まると思うと、憂鬱...。朝スッキリと起きられず、気分が冴えないこともあるでしょう。

「自分を責める必要はありません。お休み明けに身体がだるいのは当たり前のことですから」。そう話すのは、心と身体との向き合い方を提示する精神科医の泉谷 閑示先生です。

今回は、月曜日の朝の憂鬱と睡眠の関係をテーマに、日々の心持ちや朝のだるさとの向き合い方を伺いました!
 

命令する「頭 」VS 欲求に素直な「心・身体」


───日曜日の夜は、「明日から仕事か〜」と憂鬱な気持ちになってしまう。月曜日の朝はなかなか起きられない...。なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?

そもそも人間の仕組みとして私たちは「義務的なこと」と「主体的なこと」によって反応が異なります。頭は、自分を律して「しなければならない! 」「すべき! 」とコントロールしたがる。一方、心と身体は一心同体につながっていて「したい」「したくない」という素直な欲求に従って動きます。

───「頭」と「心・身体」の機能は別もの、ということなんですね。

はい。そのうえで、仕事は大概の人にとって「やらなければならない」義務的な側面が強いですよね。すると月曜日の朝、心と身体は「いやだ、起きたくない!」と言うのに対して、頭は「行くべき、行かなきゃまずいよ!」と命令を出すわけです。

───「頭」と「心・体」がチグハグな状態...。

そうなんです。最初は、心・身体も「しょうがないなぁ...」としぶしぶベッドから起き上がりますが、だんだんそれが積み重なって煮詰まってくると「もう、うんざりだ!」とストライキを起こす。いわゆるうつ状態・適応障害と診断されるケースですね。そうなるともう起きられない、仕事や学校に行けない状態になってしまうんです。
 

「毎朝、同じ時間に起きる」は、生き物として不自然なこと


───月曜日の憂鬱さは、心・身体の素直な反応によるもので、それを無理やりコントロールする頭の命令によって、なんとか朝起きられているんですね。でもこれを続けるのはかなりしんどいです...。

心・身体に無理をさせているので、辛くなるのは当然です。拙書『「普通」がいいという病』でも述べましたが、人間にはバイオリズムの波があり、いろいろな出来事で気分も変化する「生き物」です。なので「勤務日は、月曜日から金曜日まで」「始業は、朝9時から」といった人工的な時間で縛ること自体が乱暴で、身体に負荷をかけている。これは現代人特有の現象と言ってもいいでしょう。

───現代人、特有というと...?

そもそも時計がなかった時代は、なんとなくこれくらいの時間になったらみんな集まる、といった曖昧なものでした。なので「遅刻」という概念もない(笑)。

でも近代になるにつれ、だんだんと目覚まし時計や腕時計、スマートフォンが登場します。時計が日常に浸透すればするほど、時間を中心に世の中が回るようになっていきました。

───そう考えると、時間に厳密になったのは、人類の長い歴史でもごく最近のことなのですね。

そうなんです。さらに言うと、時間の測り方も今と昔では異なるんですよ。江戸時代は、季節によって変化する日の伸び縮みに合わせて、1時間の長さを調整していました。夏の1時間は長く、冬の1時間は短い。それが当たり前だったんですね。

───日によって時間の長さが変わる...!となると、「毎日決まった時間に寝て起きる」という習慣は、現代社会でのみ当てはまる考え方ですね。

季節や天気によっても生活リズムは変化します。例えば、原始時代の農耕民・狩猟民は、雨や台風の日に早起きをする必要はありません。なぜなら、仕事がお休みだからです。その代わり、晴れた日は朝から活動します。日照りが厳しい夏は、早朝と夕方に作業時間をずらして活動しやすい工夫もしていました。

───現代人は、季節や天候に関係なく働きますよね。

よく、「低気圧の日はなかなか起きれない...」「活動的になれない...」とおっしゃる方がいますが、当たり前ですよね。重い、眠い。頭があまり回らない。それでいいんですよ。昔だったら寝ていても良かったんですから(笑)。低気圧の日は、長く寝ていたくなるように人間はつくられているのです。

───なるほど...。自分のせいではなく、生き物として自然なことだと知れてかなり気持ちが楽になりました!

なので、「今日は会社行きたくないなぁ」「仕事が捗らないなぁ」と思う日があっても、自分を責める必要はまったくありません。季節や天気に関係なく、時間通りに動かなければならない、どんな日であろうと無理を押してがんばって起きなければならない。それは、生き物にとってそもそも不自然なことだと理解することが大切です。
 

それでも9時から仕事が...。起きなければいけないときの対処法


───とはいえ、社会生活を送る上ではどうしても起きなければいけない。そんな時、どうしたらいいですか?

私がよくやるのは、頭が低姿勢で心と身体に丁寧にお願いをすることです。

───お願い...ですか?

「時間で管理される現代社会の生活に合わせてしまって、申し訳ないのだけれど、どうしても朝の会議に遅れてしまうので起きなければなりません...。その代わり、会社が終わった夜や休日は、自然体の過ごし方を心がけますので!どうかここは一つ、よろしくお願いします」

と、心と身体が起きる気持ちになれるようお願いをするんです(笑)。

───斬新...!でもたしかに、自分を責めるよりも気分は良くなりそうです。

ポイントは、頭で命令したりコントロールしないこと。遅刻癖のある人ほど自分に厳しく、遅刻をすると罪悪感に襲われるのですが、いくら自分を責めても事態は解決しません。

───何度反省しても、また遅刻してしまう。そんな心当たりがあります。

憂鬱なときこそ、心と身体の反応を素直に認めてあげてください。眠いからもうちょっと布団に入っていたい。できれば仕事なんか行きたくない...。それが正直な気持ちなんです。まして起床は、心と身体が行うことですから。否定せずに認めてあげることで、むしろ起きやすくなると思いますよ。
 

寝る前は、充足感を感じられる過ごし方がおすすめ


───ありがとうございます。よりスッキリした朝を迎えるために、寝る前の過ごし方についてもアドバイスをいただきたいです!

1日の終わりに、充足感を感じる過ごし方をすると眠りに落ちやすくなります。寝るというのは、その日1日の死と同じ意味。なので、自分らしく過ごした手応えがないと、死ぬに死ねない...。と、身体は疲れてるのになかなか眠れないんですね。

そういう場合は、自分らしく過ごせる時間を10分でも30分でもいいので取ってみてください。日記を書いてもいいし、音楽を聴いてもいいと思います。

───最後に、読者へメッセージをお願いします。

日曜日の夜、連休明けや月曜の朝に憂鬱になることは、なんら不自然なことではありません。辛い気持ちに押しつぶされそうなときは、「必ずこうしなければならない」という頭の命令に従うのではなく、なるべく心と身体の声に耳を傾け、尊重する柔軟さが大切です。「頭」と「心・身体」の関係性、現代社会の特性、生き物としての人間のメカニズムを知ったうえで、自分にあったライフスタイルを送ってほしいなと思います。
 

精神科医・精神保健法指定医

泉谷閑示先生

東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部附属病院、財団法人神経研究所附属晴和病院等に勤務。その後渡仏し、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。同時に、パリ日本人学校教育相談員を務め帰国。現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック院長(東京・広尾)。診療以外にも、一般向けの啓蒙活動として、泉谷セミナー事務局主催の様々なセミナーや講座を開催している。『「普通がいい」という病』、『仕事なんか生きがいにするな』、『「うつ」の効用』等、著書多数。
http://www.izumiya.asia/our_staff.html

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