カテゴリ:眠り
あなたは朝型、それとも夜型?パフォーマンス向上の秘訣は自分のタイプを知ること!
自分は朝型なのか、それとも夜型なのか。なんとなくの睡眠習慣によって、判断していませんか?でも実は、自分のタイプを専門的な観点から判定してくれるセルフチェックがあるんです。
自分のタイプを知ることは、日中のパフォーマンスを上げるうえでも重要!そこで自分のタイプを知るためのアンケートの紹介はもちろん、朝型・夜型はどのように決まるのか、さらにはタイプを変えるための工夫まで、心と身体の両面から人々に寄り添う、産業医であり精神科医の石井りな先生にお聞きしました!
ひと口に時計遺伝子といっても、その種類は細かく、どの種類の時計遺伝子をどれほど持つかによって、体内時計のサイクルが決まります。つまりは朝型か夜型かが決まり、超朝型の人と超夜型の人とでは、体内時計がもつ1日の長さに25分程度の差が生じるそうです。
「25分と聞くと、大した差ではないように思えるかもしれません。しかし体内時計は1日ごとにリセットされるため、この差が積み重なると超朝型と超夜型の人とでは、自然と眠くなる時間に最大12時間もの差が生じるのです」(石井先生)
また、生まれながらに持つ遺伝子のほかに、年齢によっても変化が生じるそう。赤ちゃんは朝型ですが、次第に夜泣きがなくなり、長いお昼寝を必要としなくなったころに遺伝子の個性が表出。その後、思春期が訪れるころから一定の期間は、多くの人が夜型の傾向になるそうです。
「思春期のころにどうして夜型になるのか、原因は解明されていません。ただ、子どもの瞳孔は大人に比べて大きいため、光の影響を受けやすいことが理由の一つとして考えられます」(石井先生)
これまでにもお伝えしてきた通り、睡眠と光は密接に関係しています。というのも、人が自然と眠くなるために必要なのがメラトニン。ブルーライトの光がメラトニンの分泌を抑制することが分かっていますが、思春期の子どもは、特にこの影響を受けやすいのです。
さらに年を重ね、50歳ごろを境に多くの人が朝型の傾向にシフト。これは加齢による影響ですが、アスリートのように基礎代謝の高い人は睡眠時間が長めだそう。加齢によって基礎代謝が低下することから睡眠時間が短縮し、自然と朝早くに目が覚めるというわけです。
▼セルフチェックはこちらから
https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php
睡眠やライフスタイルに関わる19個の質問に答えることで、超朝型・朝型・中間型・夜型・超夜型の5分類から、自分のクロノタイプを知ることができます。
「このアンケートは、日頃の睡眠の様子から朝型でも夜型でもない中間型を軸に、朝型にずれていくのか、夜型にずれていくのかを分類するもので、このずれを左右するのが先にお伝えした時計遺伝子です」(石井先生)
以下、石井先生の知見から示した通り、自然と眠くなる時間も目覚める時間も、さらには集中力が高まる時間帯もクロノタイプによって異なります。人による個性が生じる以上、自分のタイプに応じた生活を送るほうが、本来のパフォーマンスを発揮しやすいのです。
【超朝型】就寝時間:19~21時、起床時間:3~5時、集中力が高まる時間:5~10時
【朝型】就寝時間:21~23時、起床時間:5~7時、集中力が高まる時間:8~12時
【中間型】就寝時間:23時前後、起床時間:7~9時、集中力が高まる時間:10~14時
【夜型】就寝時間:24~1時、起床時間:9〜10時、集中力が高まる時間:16〜20時
【超夜型】就寝時間:3~6時、起床時間:10~13時、集中力が高まる時間:21~25時
※各々の時間は目安であり個人差があります。
「朝に起きて日中に活動し、夜に眠るのが社会生活の基本。特に午前3~6時に眠くなる超夜型の人は、自分のタイプに逆らうように社会生活を送っています。『MEQ-SA』開発のベースとなった調査によれば、超夜型の人の割合は調査対象の約1割。けっして少ない人数ではありません」(石井さん)
しかし、クロノタイプを決める大きな要因が遺伝子である以上、自分のタイプを根本から変えることは困難。それでもライフスタイルや環境を工夫することにより、多少の調節は可能だといいます。
「そこで重要になるのが、起床時の光をコントロールすることです。なぜなら体内時計のサイクルは、太陽の光が網膜に届くことでリセットされるからです」(石井先生)
社会生活において、特に求められるのが朝型へのシフト。この場合は起床後すぐに、空を見上げ、可能なら20分ほど光を浴びることが大切だそう。外に出るのはもちろん、窓越しでも太陽の光が目に入り、体内時計を進めるといいます。
反対に夜勤などにより、朝型から夜型にシフトしいたい場合には、できる限り体内時計のリセットを遅らせることが重要。そのためには遮光カーテンを使用し、午前中に室内に日光を取り込まない工夫や、夕方以降に強めの光を浴びることがポイントになるそうです。
「効果を実感するには、少なくとも3〜4週間は平日も週末も光のコントロールを続けること。寝起きが辛い人は起き抜けにコーヒーを飲んだり、冷たい水で顔を洗ったり、栄養満点の朝食を食べるなど目覚めのルーティンを作ってみてください。また、活動中に眠気を感じたら、お昼寝をするのも手。30分以内の仮眠であれば、本来の睡眠には影響しません」(石井先生)
ちなみに早寝早起きという言葉がありますが、就寝時間を早めるのは簡単ではないそう。自然と眠くなる前の2~3時間は生理的な現象として、覚醒が強く出るというのです。それでも少しでも早く寝たい。そうした人におすすめなのが、眠りたい時間の90〜120分前に入浴すること。
「人は身体の深部の温度が下がるときに眠くなるため、まずは入浴によって体温をアップ。するとお風呂上がりの約90〜120分後から深部体温が下がり始め、眠くなるというメカニズムです」(石井先生)
「朝型勤務によって帰宅を早め、家族と過ごす時間を増やそうという社会的な動きも手伝って、特に夜型の人には厳しい状況の日本社会ですが、朝型・夜型の決定打となるのは、あくまでも遺伝子。こうした生物学的特性に理解のあるアメリカでは、朝型の人も夜型の人も、それぞれが最高のパフォーマンスを出せるよう、より柔軟なフレックス勤務の導入が進んでいます」(石井先生)
さらにアメリカでは、思春期に夜型にシフトするという生理学的な特性をポジティブに捉え、始業時間を午前10時ごろに遅らせる学校もあるとのこと。その結果、成績やテスト点数の向上が見られたというから驚きです。
コロナ禍の密を避けるため、日本でも時間差通勤が広まり、フレックス勤務の普及も加速している印象がありますが、何時ごろに出社しようか迷ったときには、自分のクロノタイプを参考にするのもひとつの手。先にご紹介した集中力の高まる時間帯に合わせたスケジュールを組めば、これまで以上のパフォーマンスを発揮できるかもしれません。
「自分は朝型なのか夜型なのか、まずはご自身や家族が知ることが大切です。思春期は誰しもが夜型になり、夜更かしや朝寝坊をしがち。親御さんも不安になるかと思いますが、これは生理的な現象であると知っていると、少しは安心できるはずです」(石井先生)
石井先生が指摘する通り、まずは自分のクロノタイプを知ること。自分のタイプを知ったうえで社会生活とのギャップを把握し、光のコントロールを実践したり、時差通勤を取り入れてみたり。自分にフィットした選択が、健全な睡眠と豊かな生活につながります。
自分のタイプを知ることは、日中のパフォーマンスを上げるうえでも重要!そこで自分のタイプを知るためのアンケートの紹介はもちろん、朝型・夜型はどのように決まるのか、さらにはタイプを変えるための工夫まで、心と身体の両面から人々に寄り添う、産業医であり精神科医の石井りな先生にお聞きしました!
朝型か夜型かを決めるのは、生まれながらに持つ遺伝子
「何時ごろに自然と眠くなり、何時ごろに自然と目が覚めるのか。これを司るのが体内時計です。体内時計の周期は人によってバラつきがあり、このサイクルを決めるのが時計遺伝子。人には351個の時計遺伝子があることが確認され、遺伝子の個性が体内時計のサイクルを決めるのです」(石井先生)ひと口に時計遺伝子といっても、その種類は細かく、どの種類の時計遺伝子をどれほど持つかによって、体内時計のサイクルが決まります。つまりは朝型か夜型かが決まり、超朝型の人と超夜型の人とでは、体内時計がもつ1日の長さに25分程度の差が生じるそうです。
「25分と聞くと、大した差ではないように思えるかもしれません。しかし体内時計は1日ごとにリセットされるため、この差が積み重なると超朝型と超夜型の人とでは、自然と眠くなる時間に最大12時間もの差が生じるのです」(石井先生)
また、生まれながらに持つ遺伝子のほかに、年齢によっても変化が生じるそう。赤ちゃんは朝型ですが、次第に夜泣きがなくなり、長いお昼寝を必要としなくなったころに遺伝子の個性が表出。その後、思春期が訪れるころから一定の期間は、多くの人が夜型の傾向になるそうです。
「思春期のころにどうして夜型になるのか、原因は解明されていません。ただ、子どもの瞳孔は大人に比べて大きいため、光の影響を受けやすいことが理由の一つとして考えられます」(石井先生)
これまでにもお伝えしてきた通り、睡眠と光は密接に関係しています。というのも、人が自然と眠くなるために必要なのがメラトニン。ブルーライトの光がメラトニンの分泌を抑制することが分かっていますが、思春期の子どもは、特にこの影響を受けやすいのです。
さらに年を重ね、50歳ごろを境に多くの人が朝型の傾向にシフト。これは加齢による影響ですが、アスリートのように基礎代謝の高い人は睡眠時間が長めだそう。加齢によって基礎代謝が低下することから睡眠時間が短縮し、自然と朝早くに目が覚めるというわけです。
19個の質問から自分のタイプをチェック
今の自分は朝型なのか、夜型なのか。この分類のことを専門的には「クロノタイプ」と呼び、自分がどのタイプなのかを教えてくれるのが、国立精神・神経医療研究センターが公表している「MEQ-SA」というセルフチェックです。▼セルフチェックはこちらから
https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php
睡眠やライフスタイルに関わる19個の質問に答えることで、超朝型・朝型・中間型・夜型・超夜型の5分類から、自分のクロノタイプを知ることができます。
「このアンケートは、日頃の睡眠の様子から朝型でも夜型でもない中間型を軸に、朝型にずれていくのか、夜型にずれていくのかを分類するもので、このずれを左右するのが先にお伝えした時計遺伝子です」(石井先生)
以下、石井先生の知見から示した通り、自然と眠くなる時間も目覚める時間も、さらには集中力が高まる時間帯もクロノタイプによって異なります。人による個性が生じる以上、自分のタイプに応じた生活を送るほうが、本来のパフォーマンスを発揮しやすいのです。
【超朝型】就寝時間:19~21時、起床時間:3~5時、集中力が高まる時間:5~10時
【朝型】就寝時間:21~23時、起床時間:5~7時、集中力が高まる時間:8~12時
【中間型】就寝時間:23時前後、起床時間:7~9時、集中力が高まる時間:10~14時
【夜型】就寝時間:24~1時、起床時間:9〜10時、集中力が高まる時間:16〜20時
【超夜型】就寝時間:3~6時、起床時間:10~13時、集中力が高まる時間:21~25時
※各々の時間は目安であり個人差があります。
「朝に起きて日中に活動し、夜に眠るのが社会生活の基本。特に午前3~6時に眠くなる超夜型の人は、自分のタイプに逆らうように社会生活を送っています。『MEQ-SA』開発のベースとなった調査によれば、超夜型の人の割合は調査対象の約1割。けっして少ない人数ではありません」(石井さん)
遺伝子レベルのタイプを変えるポイントは太陽の光!
しかし、クロノタイプを決める大きな要因が遺伝子である以上、自分のタイプを根本から変えることは困難。それでもライフスタイルや環境を工夫することにより、多少の調節は可能だといいます。
「そこで重要になるのが、起床時の光をコントロールすることです。なぜなら体内時計のサイクルは、太陽の光が網膜に届くことでリセットされるからです」(石井先生)
社会生活において、特に求められるのが朝型へのシフト。この場合は起床後すぐに、空を見上げ、可能なら20分ほど光を浴びることが大切だそう。外に出るのはもちろん、窓越しでも太陽の光が目に入り、体内時計を進めるといいます。
反対に夜勤などにより、朝型から夜型にシフトしいたい場合には、できる限り体内時計のリセットを遅らせることが重要。そのためには遮光カーテンを使用し、午前中に室内に日光を取り込まない工夫や、夕方以降に強めの光を浴びることがポイントになるそうです。
「効果を実感するには、少なくとも3〜4週間は平日も週末も光のコントロールを続けること。寝起きが辛い人は起き抜けにコーヒーを飲んだり、冷たい水で顔を洗ったり、栄養満点の朝食を食べるなど目覚めのルーティンを作ってみてください。また、活動中に眠気を感じたら、お昼寝をするのも手。30分以内の仮眠であれば、本来の睡眠には影響しません」(石井先生)
ちなみに早寝早起きという言葉がありますが、就寝時間を早めるのは簡単ではないそう。自然と眠くなる前の2~3時間は生理的な現象として、覚醒が強く出るというのです。それでも少しでも早く寝たい。そうした人におすすめなのが、眠りたい時間の90〜120分前に入浴すること。
「人は身体の深部の温度が下がるときに眠くなるため、まずは入浴によって体温をアップ。するとお風呂上がりの約90〜120分後から深部体温が下がり始め、眠くなるというメカニズムです」(石井先生)
クロノタイプを意識した生活でパフォーマンスをアップ
日勤にしても夜勤にしても、社会に生きている以上は適応が求められる現代。石井先生によれば、クロノタイプと社会生活のリズムの相違に苦しみ、精神科を受診する人もいるといいます。「朝型勤務によって帰宅を早め、家族と過ごす時間を増やそうという社会的な動きも手伝って、特に夜型の人には厳しい状況の日本社会ですが、朝型・夜型の決定打となるのは、あくまでも遺伝子。こうした生物学的特性に理解のあるアメリカでは、朝型の人も夜型の人も、それぞれが最高のパフォーマンスを出せるよう、より柔軟なフレックス勤務の導入が進んでいます」(石井先生)
さらにアメリカでは、思春期に夜型にシフトするという生理学的な特性をポジティブに捉え、始業時間を午前10時ごろに遅らせる学校もあるとのこと。その結果、成績やテスト点数の向上が見られたというから驚きです。
コロナ禍の密を避けるため、日本でも時間差通勤が広まり、フレックス勤務の普及も加速している印象がありますが、何時ごろに出社しようか迷ったときには、自分のクロノタイプを参考にするのもひとつの手。先にご紹介した集中力の高まる時間帯に合わせたスケジュールを組めば、これまで以上のパフォーマンスを発揮できるかもしれません。
「自分は朝型なのか夜型なのか、まずはご自身や家族が知ることが大切です。思春期は誰しもが夜型になり、夜更かしや朝寝坊をしがち。親御さんも不安になるかと思いますが、これは生理的な現象であると知っていると、少しは安心できるはずです」(石井先生)
石井先生が指摘する通り、まずは自分のクロノタイプを知ること。自分のタイプを知ったうえで社会生活とのギャップを把握し、光のコントロールを実践したり、時差通勤を取り入れてみたり。自分にフィットした選択が、健全な睡眠と豊かな生活につながります。
産業医・精神科医/フェミナス産業医事務所代表
石井りな 先生
内科・外科・救命救急を中心に研修後、精神科医として診療に従事。リワーク専門外来、及び復職支援機関では、医療と職場双方の視点から多数の難しいケースを復職・就労定着へと導く。2010年より産業医として活動し、フェミナス産業医事務所設立。2016年には心身双方から働く人のケアを行う「九段下駅前ココクリニック」参画。以降も主治医と産業医の連携、仕事と疾病治療の両立支援、作業環境の評価や産業保健法務についても習得し、現在は企業から頼りにされる産業医の育成、産業医間の互助連携などに取り組む。
この記事を見た人は
こんな商品に興味を持っています
人気記事ランキング
おすすめ記事
最近見た商品
この記事に関連するキーワード
この記事が気に入ったら
いいね!しよう