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朝起きられない原因は?目覚ましで起きれない人でも改善する対策方法を解説!

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朝起きられない原因は?目覚ましで起きれない人でも改善する対策方法を解説!
「きちんと眠っているはずなのに、目覚ましが鳴っても起きられない…」とお悩みの方は多いのではないでしょうか?そしてそれを「低血圧」や「睡眠の質が悪い」ことが原因と思っている方も多く見受けられます。今回はそんな寝起きの悪さの原因と対策について、『青山・表参道 睡眠ストレスクリニック』院長の中村真樹先生にお話しいただきました!
 

朝起きられないのは寝不足が原因?

寝起きが悪いとつい「眠りの質が悪いのではないか?」と考えてしまうかもしれませんが、第一に疑うべきは寝不足です。「睡眠負債」という言葉が昨今流行っているように、日本人は慢性的な寝不足に悩まされている方が多いのです。一般的な成人が必要な睡眠時間は7時間前後ですが、多くの方が平日は7時間前後の睡眠時間がとれていないことが多いです。
 
また、5時間睡眠を6日続けると脳の病気である「過眠症」と同じくらいの強い眠気が生じると言われています。その寝不足による眠気は、3〜4日続けるとその状態に慣れてしまい、自身の寝不足に気づかなくなります。こういった慢性的な寝不足(睡眠負債)は週末などに1〜2日長く眠っても解消されません。ある研究では9時間睡眠を1ヶ月続けてようやく睡眠負債による眠気が回復したという報告があるくらいです。つまり慢性的な寝不足による眠気はなかなか解消されるものではないので、寝起きが悪い人はまずご自身の睡眠時間を振り返ってみてください。
 

朝起きられないのは病気!?「概日リズム睡眠障害」とは?

睡眠時間の不足と同様に、多くの人が悩まされているのが「朝、起きられない」ことではないでしょうか。原因のひとつとして考えられるのが、社会生活を行う上で望ましい時間に寝つけず、起きられない、「概日リズム睡眠障害」です。

そもそも人間には、夜に自然と眠くなり、朝に自然と目が覚めるという体内時計が備わっています。そんな体内時計を調整しているのは「メラトニン」というホルモン。メラトニンは自然と眠くなる2〜3時間前に分泌され、寝ついてから2〜3時間後に分泌量のピークを迎えたのち、次第に減っていきます。

メラトニンの分泌量が減り始めるのと同時に、今度は体を起こすための準備として増え始めるのが「コルチゾール」というホルモンです。7〜8時間程度の十分な睡眠時間がとれたころにコルチゾールの分泌量が最大値に。すると血圧が上昇を始め、私たちは目覚めを迎えます。

また、目覚めの直後に日光などの強い光を浴びるとメラトニンの合成がリセットされ、それから13〜14時間後に再びメラトニンの分泌が始まります。例えば、23時に寝て7時の目覚めとともに光を浴びた場合、その13〜14時間後となる20〜21時ごろにメラトニンが再分泌。。分泌の開始から約2時間後の22〜23時ごろに眠気が生じる、といった流れです。

さらに、眠くなるまで勉強や仕事、遊びに耽ってしまうと、メラトニンの分泌リズムが遅れだし、自然に寝つける時刻がどんどん遅くなっていきます。すると、眠りをコントロールしている体内時計のリズムが乱れ「概日リズム睡眠障害」に陥ってしまうのです。
 

朝起きるためには低血圧よりも睡眠の改善を

「低血圧の人は朝が弱い」といった通説がありますよね。これは「卵が先か鶏が先か」の問題と同じで、因果性を問うことが難しいのです。
 
というのも、人間の睡眠は体内時計で調整されているのですが、平日は規則正しく眠っている方でも休日に夜ふかしをしてしまうと、この体内時計が乱れてしまいます。そして人は体内時計に合わせて眠っているあいだは血圧が低くなります。寝坊した休日のあとの平日に乱れた体内時計のまま起きると、体はまだ眠った状態なので低血圧になってしまうのです。
 
なので、低血圧を原因と疑うよりも睡眠の条件を見直すことが大事だと言えます。良好な睡眠の条件は「量・質・タイミング」が揃っていること。スッと起きられるようになるために、7時間前後の安定した眠りを決まったリズムでとることを目指しましょう。
 
この3つが揃った状態を続けていても、唐突に強烈な眠気に襲われる場合は、過眠症や睡眠時無呼吸症候群などの病気の疑いがあるので、睡眠障害を専門にする医療機関を受診してください。 


 

朝起きられないを防ぐための対策


では、具体的に何をすれば良いかというところですね。現在は感染症の影響により新しい生活様式でみなさん過ごされているかと思います。それによりリモートワークで生活習慣が乱れたり、情勢への不安やストレスで眠れなかったりする方が増えています。そんな方へできるだけ取り入れやすい方法をご紹介します。
 
・眠くても午前中に起きる
通勤がなくなったことでギリギリまで眠れるようになり生活リズムが乱れてしまっている方もいるかと思います。まずは夜ふかしはせず、朝に眠くてもいつもと同じ時間に起きることが大切です。休日に寝だめをしてリズムを崩してしまう方も多いので、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心掛けましょう。
 
・眠気がとれないときは熱めのシャワーを浴びる
起きてもなかなか眠気がとれない…というときは、体に刺激を与えましょう。オススメは熱めのシャワーを浴びること。サッとシャワーを浴びて、起床モードに切り替えてみてください。
 
・少量でも朝ごはんは必須
忙しいとつい疎かにしがちな朝ごはん。朝から食べるのが辛いという人も、野菜ジュースやスープ1杯でも良いのでカロリーのある何かを口にするようにしてください。朝食をとることで、内臓機能が動き出し体を起こすスイッチを押すことができます。
 
・眠くても昼寝は15時までに30分まで
お昼を食べたあとなど午後は眠くなりがち。眠いのを我慢するより昼寝をしたほうが良いのですが、長い時間寝てしまうと体内時計がずれてしまうので、30分程度に抑えましょう。横になって眠ってしまうと熟睡して起きるのが辛くなってしまうので、座ったままの状態でウトウトと眠ることをオススメします。
 
・適度な運動で体を疲れさせる
リモートワークでなかなか体を動かす機会がない方も多いのでは?すると脳は疲れているのに体は疲れておらず、うまく眠れないことも…。軽く運動をすることでストレス発散にもなるので、適度に汗ばむ程度の運動をしましょう。ある研究では、5〜10分間のヨガやストレッチを寝る数時間前に行うことで寝つきが改善したという報告もあります。筋トレやランニングなど激しい運動を夜に行うと体が興奮状態になるので、これらの運動をするのなら就寝の3〜4時間前までに行うのが良いでしょう。
 
・夜22時以降はPC・スマートフォン・テレビなどは控えめに
調光も体内時計を整える条件の一つです。夕方以降は明るすぎる場所は避け、眠る前は強い光を浴びないように注意しましょう。逆に起床時には日光を浴びると目覚めのスイッチが入りますよ。
 
これらをこなしていくと、体内時計が整い睡眠リズムを正常化できるようになります。この方法を行い7時間前後の睡眠をとり続けられれば、すっきり目覚められるはずです。

 

リラックスできるかが決め手

「早く眠らなきゃ」という不眠への恐れから、寝つきが悪くなってしまう方もいますよね。先ほどのルーティーンも義務的に行うのではなく、あくまでもリラックスすることを目的に自然に行うことが大切です。
 
きちんと眠っているはずなのに眠気や寝起きの悪さが続く方は、睡眠日誌をつけることをオススメします。「寝床に入った時刻」「実際に眠りについた時刻」「目が覚めた時刻」「寝床から出た時刻」「途中で起きていた時間」、「日中に眠くなる時間」を記録していくと、客観的に自分の眠りを分析することができます。
 
よくあるのが「寝床に入った時刻」を「実際に眠りについた時刻」としてしまい、睡眠時間を長く見積もってしまうことがあります。睡眠アプリやスマートウォッチには寝ついた時間や目が覚めた時間を計測できるものもあるので、これらを利用するもの良いでしょう。
 
***
 
繰り返しになりますが、ストレスは入眠にも寝起きにも悪影響を及ぼします。あまり構えすぎず、自然に日常生活に取り入れられる範囲でトライしてみてくださいね。
     

青山・表参道 睡眠ストレスクリニック院長

中村真樹先生

日本睡眠学会専門医。東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。その後、睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年「青山・表参道 睡眠ストレスクリニック」を開院。臨床と研究、両面の実績があり、睡眠に悩む多くの患者さんの治療にあたっている。ビジネスパーソン向けの書籍『仕事が冴える眠活法』(三笠書房)も話題に。
https://omotesando-sleep.com/

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