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薬膳で眠りの悩みを改善!薬膳起業家・リョータさんに聞く「快眠薬膳レシピ」

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薬膳で眠りの悩みを改善!薬膳起業家・リョータさんに聞く「快眠薬膳レシピ」

薬膳とは、体質や体調に合った食材を食べることで、健康を保ち病気を予防する食事法。「寝つきが悪い」「ぐっすり眠れない」などの不眠の悩みにも薬膳は有効と言われており、症状に適した食材を取り入れることで、睡眠の質の改善につながるそうです。

そこで今回は、薬膳起業家として活躍するリョータさんに、薬膳の基礎知識から日常生活への取り入れ方、快眠を促す薬膳レシピなどを伺いました。「眠り」に悩みを抱えている人は、いつもの食卓に薬膳を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

始める前に知っておきたい!「薬膳」の基礎知識

薬膳は、中国の伝統医学「中医学」がベースになっています。
病気の症状を取り除くための治療を行う西洋医学に対して、病気の根本治療や予防を行うのが中医学。その中で、薬膳の基礎とも言える「3つの考え方」があるそうです。
リョータさん:中医学には、「未病先防」「治病求本」「薬食同源」という考え方があり、薬膳だけでなく、漢方や鍼灸にも共通しています。
中でも、薬膳は「未病先防」を最も得意としており、体質や症状に適した食材を取り入れることで、心身にポジティブな影響を与えてくれます。

<「中医学」の3つの考え方>
①未病先防(みびょうせんぼう)…「不調」の段階で治療を行い、病気を未然に防ぐこと
②治病求本(ちびょうきゅうほん)…病気を根本から治療すること
③薬食同源(やくしょくどうげん)…食材の持つ効能を活かし、普段の食事から体調を整えていくこと
 

「薬膳」と「栄養学」の違いとは?

現代の栄養学では、ビタミンなどの食材に含まれる栄養素が、心身の機能に働きかけるとされています。一方、薬膳が生まれたのは今から約2000年前。栄養学の概念がなかった時代では、どのように食材の持つ効能を明らかにしていったのでしょうか。

リョータさん:薬膳の世界では、「 食材を食べることで得られる効果」を重視してきました。もやしを例に挙げてみると、現代の栄養学においては「95%以上が水分で、栄養はほとんどない」と言われていますが、薬膳では「熱を冷ます食材」として認められています。

このように、薬膳と栄養学では見る視点はやや異なります。薬膳では、食材が持つ性質に着目して、効果を判断しているんです。

熱を冷ます効果のあるもやしは、夏場の寝苦しさや更年期障害などのほてりやのぼせの症状にも効果的とのこと。長い歴史の中で「食材がどのように体に作用するのか」を明らかにしながら、薬膳の食事法を確立していったそうです。
 

薬膳を始めるときのポイントと注意点

「薬膳を始めたい」と思っても、食材の区分や効能が幅広いため「初心者には難しい」と考える人も多いはず。
リョータさんは、「まずは体を温める性質と、冷やす性質の食材があることを意識してみては」とアドバイスしてくれました。

リョータさん:薬膳では、食材は「体を温めるもの」と「体を冷やすもの」に分けられます。自分の症状や体質から、温めるべきか冷やすべきかを見極めて、適した食材を日常に取り入れていけば、今感じている不調が徐々に緩和していくでしょう。
     

香味野菜やカボチャなどの食材は体を温め、キュウリや緑豆、もやしなどの食材は冷やします。このように、「温性」と「涼性」の食材をいくつかインプットしておけば、冷えやほてりを感じたときに役立つはず。     

温性…カボチャ、長芋、玉ネギ、ニンジン、小松菜、松の実、クルミ、栗、ニラ、シソ、ショウガ、長ネギ、ニンニク、酢、味噌、紅茶、珈琲、牛肉、羊肉、イワシ、アジ、エビ、など
涼性…キュウリ、緑豆、もやし、豚肉、マグロ、豆腐、蕎麦、春雨、ホウレン草、春菊、セロリ、ナス、大根、マッシュルーム、マイタケ、ビワ、ナシ、麦茶、緑茶、など

まずは2つの性質を理解するところから、薬膳の知識を深めていくのも良さそうです。
 

同じ食材ばかりを食べ続けないよう注意して

「今悩んでいる症状にこの食材が有効」と聞くと、「毎日食べ続けよう」と考える人も少なくないでしょう。しかし、リョータさんは「同じ食材ばかりを食べ続けないように」と注意を促します。

リョータさん:体質や症状は日々変化していくため、同じ食材ばかりを食べ続けることで、他の症状が出ることがあるため注意しましょう。

例えば、デトックス作用が強い緑豆やゴーヤを、一日3食、毎日食べ続けた場合、水分などの体に必要な成分も排出されてしまい、肌が乾燥気味になったり、胃腸が弱くなったりする可能性があります。


薬膳では、その日の体質や症状に合わせた食材を、適宜選択することが大切です。「今摂るべきもの」に迷った場合は、漢方薬局などで相談してみるのも良いでしょう。
 

「不眠の悩み」に薬膳は効果的?

「眠れない」「夜中に目が覚めてしまう」などの不眠の悩みにも、薬膳は効果的です。

中医学では古くから睡眠を重視しており、「不眠を食事で治す方法」が、さまざまな文献に記載されています。中には、歴代の皇帝がストレスで不眠を訴えた際に、「宮廷医が不眠に効く食事を作った」という薬膳の記録も残っているとのこと。

古代中国で生み出された薬膳の知見が、現代に継承されていることを知ると、その効能や効果に説得力を感じさせてくれます。
 

不眠の原因に適した食材を紹介


不眠の原因は、中医学では4つの原因に分類されるそうです。それぞれの原因と、効果のある食材をリョータさんに教えてもらいました。

<不眠の原因と効果的な食材>

①ストレスによる一時的な不眠
症状:心が安定せず寝付きが悪い
効果的な食材:カモミール、ラベンダー、ローズなどのハーブティー、春菊、パクチーなどの香味野菜

②身体的な疲労による不眠
症状:運動などの後で、体は疲れているけれど眠れない
効果的な食材:サツマイモ、カボチャ、雑穀などの自然の甘みのある食材

③加齢に伴う不眠
症状:早朝に目が覚めてしまう
効果的な食材:キクラゲ、豚足などのコラーゲン質の多い食材、山芋などのネバネバした食材

④食べ過ぎによる寝つきにくさ
症状:夜遅くに飲食してしまい、満腹感で寝付けない
効果的な食材:サンザシ、イチジク、大根、ウーロン茶などの消化を助ける食材

リョータさん:ストレスや疲労、食べ過ぎによる不眠の場合、それぞれ効果的な食材を摂ることで、短期間で効果が期待できます。一方で、加齢による早朝覚醒などの症状は、長期的に改善するという意識で取り組めると良いでしょう。


また、中医学には、「心と体は一体」ということを意味する「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があるそうです。

「メンタル不調が体の不調にも影響し、眠りの悩みにつながることも珍しくない」と話すリョータさん。

イライラや不安を感じたときは、心を落ち着かせてくれる、ナツメやリュウガン、アサリ、牡蠣、小麦などの食材を意識的に取っておくと、不眠の予防にもなるようです。
 

リョータさんイチオシ!快眠食材を使った薬膳レシピ

快眠を促す食材を使った2つの薬膳レシピを、リョータさんに紹介してもらいました。

①「カモミール茶+ラベンダー」

作り方:
煎じたカモミール茶1人前に、ドライのラベンダーを適量散らす。

イチオシポイント
「穏やかで優しい甘みが特徴のカモミールは、安眠ハーブの代表格です。一時的に寝付けないなどの、ストレスからくる不眠には、リラックス効果の高いラベンダーを組み合わせると、高い効果が得られるでしょう」


②「蓮の実ごはん」

作り方:
1.蓮の実16粒を軽くとぎ、一晩浸水させる。
2.鍋に水を適量注いで沸かし、蓮の実を入れて3分ゆで、ザルにあげる。緑色の芯がある場合は取り除く。     
4.炊飯器にといだ米1合、蓮の実、昆布5cmと塩少々を入れ、1合の水加減に合わせて炊飯する。

イチオシポイント
「ホクホクした食感と、さっぱりした味わいが特徴。疲労からくる不眠、ストレスによる不眠、加齢に伴う不眠に効果的です」
 

花粉の時期や夏の寝苦しさ・季節性の眠りの悩みに効果的な食材は?



夏場の寝苦しさ、冬場の手足の冷えや、花粉シーズンの鼻詰まり。
季節ごとのさまざまな悩みが、快眠を阻害してしまうこともあります。このような季節性の悩みにも、薬膳は効果を発揮してくれます。

花粉による症状には「ルイボスティー」
近年、中国の漢方学や西洋医学の分析により、「ルイボスティーが花粉症に良い」という見解が強まっています。
さらにシソ、ショウガ、ミントなどの香りの良い食材をルイボスティーに合わせて飲むと、花粉による鼻詰まりなどの症状が緩和され、スムーズに入眠できるでしょう。

夏の暑さによる寝苦しさには「ウリ類」
キュウリ、ゴーヤ、スイカなどのウリ類には、体の熱を覚ましてくれる効果があります。
他にも、考え事をしたり、イライラしてしまったりしたときなど、「頭ののぼせ」「メンタル系の熱」をクールダウンしたいときにもおすすめです。

冬に冷えて眠れないときは「カボチャや栗」
冬の寒さによる冷えには、カボチャや栗、ニンニクやネギなどの香味野菜がおすすめ。他にも、体の血流を良くしてくれる「黒い食材」も効果的です。
黒豆や黒糖、黒米、黒キクラゲなどが、血流を改善して入眠しやすくしてくれるでしょう。

心を落ち着けたいときは「牡蠣」
牡蠣は心を落ち着かせてくれる以外にも、滋養強壮効果や、ほてりや炎症を抑えてくれる効果があるなど、さまざまな効能を持つ優秀な食材。
牡蠣以外にも複数の効果を持つ食材があるので、自身の眠りの悩みに合った食材を覚えておくと良いでしょう。
 

長く、ゆるく薬膳を取り入れてみよう

リョータさんに、薬膳を長く続けるためのポイントを伺いました。

リョータさん:何を選ぶべきか迷ったときは、「今食べたい」と感じる味覚を頼りにしてください。中医学では、甘いものは胃腸の働きを高め、苦いものは体の熱を取り、からいものは血流を良くし、しょっぱいものはエイジング作用があると考えられています。

今の自分が食べたいと感じるものが、体が欲しているものだと捉えて、食事に取り入れてもらえたらと思います。

また、季節のものを食べることも薬膳の基本。旬の素材は、その時期の体に良いとされています。スーパーに出かけたら「今の旬は何かな?」という視点で選んでみてください。

そしてなによりも、「無理して食べない」ことが大切です。心と体は繋がっており、「楽しく食べる」ことが効果を高めてくれます。美味しいと感じるものを、無理せず食べることで、効果を実感できるようになるでしょう。


いつもの食卓に薬膳を取り入れることで、以前の自分より健康でいられるはず。無理せずに、ゆるく、長く、薬膳生活を始めてみてはいかがでしょうか。  
 

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・WARMFEEL - インナーケット

「温性」と「涼性」の食材を意識して食べながら、身体を適温の状態に維持することも効果的ですが、睡眠時の温度を快適に保つ寝具としておすすめなのがこの<WARMFEEL>。

薄手でやわらかなニット素材を使用した、とろける肌さわりのインナーケットです。
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薬膳起業家

リョータ

国際中医薬膳師。薬膳ブランド「hug」代表。東京と上海の二拠点生活をしながら、薬膳商品の開発・販売事業を行うほか、薬局向けの漢方研修を行う。著書に『薬膳食事帖 お茶、ごはん、スープ(主婦と生活社)』がある。
@ryota_kampo

『薬膳食事帖 お茶、ごはん、スープ』著:リョータ

SNS総フォロワー5.8万人、人気薬膳起業家の初書籍

国際中医薬膳師で、SNS総フォロワー5.8万人の「リョータ/薬膳起業家」(斎藤 亮太)さんによる初書籍。中国留学時に薬膳の魅力を知り、中国と日本を行き来する生活の中で得た養生の知識をSNSでわかりやすく発信し注目を集めています。 本書は、リョータさんの投稿でも人気の高い「薬膳茶」をベースにした1冊。コンビニやスーパーでも手に入る一般的なお茶に、薬膳食材を“ちょい足し”するだけの簡単レシピを多数紹介します。オフィスで、おうちで、不調別にアプローチすることができる気軽な薬膳入門本。 薬膳食材の知識とともに、日本人にももっと知ってほしい中国の養生の知恵もあわせて紹介します。

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