レム睡眠とノンレム睡眠 - 違いから最適な割合まで紹介
レム睡眠とノンレム睡眠——。この言葉を聞いたことのある人は多いはず。しかし、それぞれがどのような役割を持ち、私たちの心身にどのような影響を与えているのかまでご存じの人は、そう多くはないのではないでしょうか?
その役割から心身への影響、さらには一晩のうちにとるべきレム睡眠とノンレム睡眠の割合まで、教えてくださるのは睡眠コンサルタントの友野なお先生。それぞれが持つ役割を知ったなら、よりご自身の睡眠を大切にしたくなるはずです。
また、レム睡眠とノンレム睡眠では脳波にも違いが見られ、レム睡眠のときには起きているときに近い波形が確認できる一方、ノンレム睡眠のときは起きているときと比較し、ゆっくりと大きな波形が見られるといいます。
「眼球が動くことや脳波の状態からもわかるように、レム睡眠は浅い眠りの状態のことをいいます」
レム睡眠の状態を端的に表現するなら、体は休息しているのに脳は稼働している状態。だからこそ、眼球が素早く動き、脳波も起きているときに近い波形を示します。その一方、体は全身の筋肉が弛緩し、動きが抑制されます。そのため、体が休息できるのです。
「では、レム睡眠時の脳は何をしているのか。その答えは情報の処理や感情の整理、記憶の固定化です。つまり、レム睡眠の状態を経なければ、せっかくの学習内容も定着しづらく、感情の整理がつきづらいことからメンタル不調にも陥りやすくなるのです」
また、夢を見るのも脳が稼働しているレム睡眠のとき。完全には解明されていないようですが、「人は記憶を整理するために夢を見る」という説もあるほど。
そして、起きている感覚はあるのに体が動かない金縛りが起こるのも、レム睡眠のタイミングだといいます。
「レム睡眠時は体の動きが制限される一方、脳は働いているため、覚醒に近い状態にあります。そこで脳だけが急に目覚めると、金縛りが起こります。金縛りと幽霊がセットで語られることが多いのも、夢として見た何かを現実のものとして錯覚するからです」
「レム睡眠とは逆に、眼球は動かず、脳波も大きな波形のノンレム睡眠は深い眠りの状態といえます。そう聞くと、深い眠りのノンレム睡眠のほうが重要に思えるかもしれませんが、そんなことはありません。各々が重要な役割を持ち、どちらも質の高い睡眠には欠かせないのです」
ノンレム睡眠のときには体だけでなく、脳も休息モードに。ノンレム睡眠のあいだは夢を見ることもなく、さらには呼吸が浅くなり、心拍数も穏やかになります。
「体の働きも脳の働きも低下するわけですが、ノンレム睡眠中の深い睡眠中に盛んに分泌されるのが成長ホルモンです。その名のとおり、子どもの成長を促す物質ですが、これは大人にも不可欠。成長ホルモンは代謝調節の作用を持ち、これは若々しく健康な体を維持するために重要です」
成長ホルモンの働きは非常に多様。骨や筋肉を強化し、脂肪を分解し、脳機能を維持し、免疫機能の増強を後押しするほか、老化の原因となる体の酸化を抑制したり、皮膚の再生を活発にしたりすることから“天然の美容液”とも呼ばれているといいます。
「成長ホルモンの働きを一言で表現するなら、リカバリー機能。つまりは疲労回復であり、体の修復・再生です。深い眠りの状態であるノンレム睡眠なく目覚めてしまってはリカバリー機能が働かず、どんなに長く寝ても疲れたまま。これでは健康は維持できません」
「まず、眠りに就いた直後に現れるのがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠は眠りの深さによって3段階に分けられ、寝入り端に最も深い眠りが訪れます。その次にレム睡眠が現れ、レム睡眠が現れた後にまたノンレム睡眠が現れます。つまりはノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返し、これを4回ほど繰り返した後に目覚めるのが通常です」
この就寝から起床までのサイクルは「睡眠周期」と呼ばれ、その周期は1セット約90分。寝入り端には、深い眠りのノンレム睡眠が長く現れます。しかし、睡眠の後半になると浅い眠りであるレム睡眠が出現する時間が長くなり、次第に目覚めるというメカニズムです。
「とはいえ、睡眠周期は個人差が大きく、60分周期の方も120分周期の方もいます。“90分周期”という数字が一人歩きし、“90の倍数を睡眠時間にするとスムーズに起きられる”という説が出回っていますが、これには個人差が加味されていないため、注意が必要です」
そこで、自分の睡眠周期を知るために友野先生が推奨するのが、睡眠の計測ができるウェアラブル端末。
体に装着したら、あとは寝るだけ。それだけで睡眠周期のほか、いびきや寝言の有無はもちろん、睡眠時の呼吸や心拍数が計測できるデバイスもあるようです。
「しかし、レム睡眠よりもノンレム睡眠が長く現れるのが一般的であり、正常な状態です。割合としてはノンレム睡眠75〜85%に対し、レム睡眠20〜25%。
ただし、これは成人の場合であり、新生児や乳児は各々50%程度が一般的です。なぜなら、赤ちゃんにとっては何事も初体験。脳が処理すべき情報が多いことから、レム睡眠が長く現れるのです」
ちなみに、コロナ禍をきっかけにリモートワークが浸透して以降、「眠りが浅くなった」というお悩みを抱える人が増えているといいます。同じお悩みをお持ちの人はレム睡眠とノンレム睡眠の然るべきバランスが崩れ、深い眠りを得づらくなっているかもしれません。
すると、脳が覚醒したまま眠りに就くことになり、深い眠りを得づらくなってしまいます。その結果、十分な疲労回復やメンタルのケアができず、心身に不調を来してしまうのです」
友野先生が指摘する“オンとオフの切り替え”にお悩みの人は、就寝の1〜2時間前から寝室の照明をオレンジ色に切り替えるのがおすすめ。
その穏やかな灯りが脳の覚醒を抑制し、同時に心をリラックスさせてくれます。
また、睡眠周期を知るためのデバイスとしておすすめした睡眠計測のできるウェアラブル端末は「心を軽くするにも効果的」と友野先生。
例えば、生理前の女性は睡眠が乱れがち。それが可視化されれば、不調の原因も可視化され、ちょっと安心できるはず。
そうした小さな積み重ねが質の高い睡眠につながります。
その役割から心身への影響、さらには一晩のうちにとるべきレム睡眠とノンレム睡眠の割合まで、教えてくださるのは睡眠コンサルタントの友野なお先生。それぞれが持つ役割を知ったなら、よりご自身の睡眠を大切にしたくなるはずです。
睡眠の種類
私たちの睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類から構成されています。また、レム睡眠とノンレム睡眠では脳波にも違いが見られ、レム睡眠のときには起きているときに近い波形が確認できる一方、ノンレム睡眠のときは起きているときと比較し、ゆっくりと大きな波形が見られるといいます。
レム睡眠とは
まず、レム睡眠を英語にするとRapid Eye Movement sleep。日本語に訳すと“急速な目の動き”となり、レム睡眠とはつまり、眠っているのに眼球は素早く動く状態のことです。「眼球が動くことや脳波の状態からもわかるように、レム睡眠は浅い眠りの状態のことをいいます」
レム睡眠の状態を端的に表現するなら、体は休息しているのに脳は稼働している状態。だからこそ、眼球が素早く動き、脳波も起きているときに近い波形を示します。その一方、体は全身の筋肉が弛緩し、動きが抑制されます。そのため、体が休息できるのです。
「では、レム睡眠時の脳は何をしているのか。その答えは情報の処理や感情の整理、記憶の固定化です。つまり、レム睡眠の状態を経なければ、せっかくの学習内容も定着しづらく、感情の整理がつきづらいことからメンタル不調にも陥りやすくなるのです」
また、夢を見るのも脳が稼働しているレム睡眠のとき。完全には解明されていないようですが、「人は記憶を整理するために夢を見る」という説もあるほど。
そして、起きている感覚はあるのに体が動かない金縛りが起こるのも、レム睡眠のタイミングだといいます。
「レム睡眠時は体の動きが制限される一方、脳は働いているため、覚醒に近い状態にあります。そこで脳だけが急に目覚めると、金縛りが起こります。金縛りと幽霊がセットで語られることが多いのも、夢として見た何かを現実のものとして錯覚するからです」
ノンレム睡眠とは
一方のノンレム睡眠を英語にするとNon-Rapid Eye Movement sleep。冒頭の“Non”からわかるようにレム睡眠ではない状態を示し、眼球は動きません。「レム睡眠とは逆に、眼球は動かず、脳波も大きな波形のノンレム睡眠は深い眠りの状態といえます。そう聞くと、深い眠りのノンレム睡眠のほうが重要に思えるかもしれませんが、そんなことはありません。各々が重要な役割を持ち、どちらも質の高い睡眠には欠かせないのです」
ノンレム睡眠のときには体だけでなく、脳も休息モードに。ノンレム睡眠のあいだは夢を見ることもなく、さらには呼吸が浅くなり、心拍数も穏やかになります。
「体の働きも脳の働きも低下するわけですが、ノンレム睡眠中の深い睡眠中に盛んに分泌されるのが成長ホルモンです。その名のとおり、子どもの成長を促す物質ですが、これは大人にも不可欠。成長ホルモンは代謝調節の作用を持ち、これは若々しく健康な体を維持するために重要です」
成長ホルモンの働きは非常に多様。骨や筋肉を強化し、脂肪を分解し、脳機能を維持し、免疫機能の増強を後押しするほか、老化の原因となる体の酸化を抑制したり、皮膚の再生を活発にしたりすることから“天然の美容液”とも呼ばれているといいます。
「成長ホルモンの働きを一言で表現するなら、リカバリー機能。つまりは疲労回復であり、体の修復・再生です。深い眠りの状態であるノンレム睡眠なく目覚めてしまってはリカバリー機能が働かず、どんなに長く寝ても疲れたまま。これでは健康は維持できません」
レム睡眠とノンレム睡眠の周期
レム睡眠とノンレム睡眠は、いったい、どのように現れるのでしょうか?「まず、眠りに就いた直後に現れるのがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠は眠りの深さによって3段階に分けられ、寝入り端に最も深い眠りが訪れます。その次にレム睡眠が現れ、レム睡眠が現れた後にまたノンレム睡眠が現れます。つまりはノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返し、これを4回ほど繰り返した後に目覚めるのが通常です」
この就寝から起床までのサイクルは「睡眠周期」と呼ばれ、その周期は1セット約90分。寝入り端には、深い眠りのノンレム睡眠が長く現れます。しかし、睡眠の後半になると浅い眠りであるレム睡眠が出現する時間が長くなり、次第に目覚めるというメカニズムです。
「とはいえ、睡眠周期は個人差が大きく、60分周期の方も120分周期の方もいます。“90分周期”という数字が一人歩きし、“90の倍数を睡眠時間にするとスムーズに起きられる”という説が出回っていますが、これには個人差が加味されていないため、注意が必要です」
そこで、自分の睡眠周期を知るために友野先生が推奨するのが、睡眠の計測ができるウェアラブル端末。
体に装着したら、あとは寝るだけ。それだけで睡眠周期のほか、いびきや寝言の有無はもちろん、睡眠時の呼吸や心拍数が計測できるデバイスもあるようです。
レム睡眠とノンレム睡眠の最適な睡眠時間
繰り返しになりますが、レム睡眠もノンレム睡眠もどちらも重要。レム睡眠が欠けては心のバランスが乱れる原因となり、ノンレム睡眠が欠けては疲労回復ができません。「しかし、レム睡眠よりもノンレム睡眠が長く現れるのが一般的であり、正常な状態です。割合としてはノンレム睡眠75〜85%に対し、レム睡眠20〜25%。
ただし、これは成人の場合であり、新生児や乳児は各々50%程度が一般的です。なぜなら、赤ちゃんにとっては何事も初体験。脳が処理すべき情報が多いことから、レム睡眠が長く現れるのです」
ちなみに、コロナ禍をきっかけにリモートワークが浸透して以降、「眠りが浅くなった」というお悩みを抱える人が増えているといいます。同じお悩みをお持ちの人はレム睡眠とノンレム睡眠の然るべきバランスが崩れ、深い眠りを得づらくなっているかもしれません。
まとめ
「働き方の多様化は素晴らしいことです。その反面、リモートワークはオンとオフの切り替えが難しく、就寝の直前まで考え事をする人が少なくありません。すると、脳が覚醒したまま眠りに就くことになり、深い眠りを得づらくなってしまいます。その結果、十分な疲労回復やメンタルのケアができず、心身に不調を来してしまうのです」
友野先生が指摘する“オンとオフの切り替え”にお悩みの人は、就寝の1〜2時間前から寝室の照明をオレンジ色に切り替えるのがおすすめ。
その穏やかな灯りが脳の覚醒を抑制し、同時に心をリラックスさせてくれます。
また、睡眠周期を知るためのデバイスとしておすすめした睡眠計測のできるウェアラブル端末は「心を軽くするにも効果的」と友野先生。
例えば、生理前の女性は睡眠が乱れがち。それが可視化されれば、不調の原因も可視化され、ちょっと安心できるはず。
そうした小さな積み重ねが質の高い睡眠につながります。
睡眠コンサルタント
友野 なお 先生
睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。自身の睡眠が改善したことにより、15kgのダイエットと重度のパニック障害の克服、体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程(社会医学・社会疫学・予防医学)にて健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指し、睡眠と健康に関する研究活動を行う。順天堂大学大学院 修士。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、正会員。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、企業の商品開発やコンサルテーション、執筆活動などを行う。
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