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「時間の見える化」で睡眠時間を確保!『Voicy』の人気パーソナリティ・尾石晴さんに聞く、タイムマネジメント術

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「時間の見える化」で睡眠時間を確保!『Voicy』の人気パーソナリティ・尾石晴さんに聞く、タイムマネジメント術

日中のパフォーマンスを上げるためにも、自分にあった睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めることが大切です。しかし、仕事や家事、育児に追われ、睡眠が蔑ろになっているという人も多いのではないでしょうか。

今回お話しを伺ったのは、音声配信サービス『Voicy』の人気パーソナリティであり、二児の母である尾石晴さん。育休明けの睡眠不足に悩まされていた尾石さんでしたが、仕事や家事の時間を細かく見直したところ、睡眠時間を大きく増やすことに成功したそうです。効率良く時間を生み出すためのヒントが詰まった、尾石さんのタイムマネジメントを教えていただきました。
   

タイムマネジメントの本質は「自分を知ること」


――尾石さんの著書『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』には、会社員時代、特に子どもができてからは、まったく自分の時間がない日々を過ごしていたと書かれていました。仕事と育児の両立が始まった当時、どのような生活を送っていたのでしょうか?

育休中は子どもと一緒に21時頃ふとんに入り、朝5時30分に起きる生活をしていました。しかし、育休が明けてからは仕事を家に持ち帰ることが多く、就寝時間は24時を過ぎるのが当たり前に。仕事と育児の両立の生活で、睡眠時間が3時間ほど減ってしまったんです。

――睡眠時間が減ったことで、日中の過ごし方にどのような影響がありましたか?

仕事や家事において「臨機応変に対応する力」がなくなっていたように感じています。普段なら「やっていることが多すぎる」と気がつくはずなのに、睡眠不足で心に余裕が持てず「睡眠時間を削ってでも、全部1人でやらなきゃ」という思考に囚われていたんです。

次第に夫や子どもに苛立ちを向けるようになってしまい、家族関係も悪くなっていきました。育休明けから約半年後には「このままではまずい、家庭が崩壊してしまう」と危機感を抱いたほどでしたね。

――家族関係の変化が、時間の見直しのきっかけになったのですね。

家族関係の悪化とともに、「睡眠欲求が満たされていない」と自覚したことが改善に繋がったと感じています。

やはり蓄積した疲労が睡眠で回復できていないと、精神面に影響が出やすいです。常にイライラしていて他者を否定する思考に陥ったり、「自分にはできない」という自己否定感に囚われたり。「眠ること」は体の土台を作る大切な要素であり、人として自然な欲求です。これが満たされていないと、人間関係や日中のパフォーマンスに大きく影響するということを痛感させられました。
 

「やめたい時間」と「短縮したい時間」を明らかにすることから始めよう


――どのような方法で睡眠不足の改善を叶えたのでしょうか。

最初の頃は、仕事と家事の効率や生産性を上げて、睡眠時間を確保しようと考えました。ライフハックを調べてさまざまな工夫を実践していたのですが、一向にラクにならず…。ライフハックを実践しようとするあまり、“工夫すること”に時間を割きすぎてしまい、逆効果だと気づいたんです。

手当たり次第に効率化を意識するのではなく、「やめたい時間」と「短縮させたい時間」を決めることが先決だと考え「時間の見える化」から始めることに。1日のスケジュールを書き出し、ストップウォッチを使って「各作業に費やしている時間」を記録したところ、「時間をかけすぎている作業」が浮き彫りになりました。この時間を優先して効率化を図っていこうと。

――時間の使い方に対する評価を行ったということですね。

そうですね。「やるべきこと」にかける時間を見える化したことで、例えば夕食のメニューに悩む時間をなくしたいから、曜日ごとにメニューを固定しようとか、洗濯にかける時間を短縮したいから、乾燥まで全自動にしようなど、具体的な対策が思いつきやすくなって、10分、20分と時間を引き算していくことができたんです。

仕事に対しても同様の手順で見直しを行い、自宅に仕事を持ち帰ることもなくなりました。結果的に、3時間の時間を生み出し睡眠時間に充てることができるように。しっかり眠れるようになったことで、他者への苛立ちもなくなり、仕事のパフォーマンスも向上したと感じています。

――自分の時間を見直してみると、さまざまな気づきを得られそうですね。

「ネットをぼんやりと見ている時間」とか「ソファにただ座っているだけの時間」など、“浪費している時間”にも気づけると思います。ぼんやりする時間は情報整理の時間でもあるため、なくす必要はありませんが、「多すぎる」と感じた場合は減らしてみると良いと思います。15分の隙間時間でも10回で150分になりますからね。

――時間の使い方を効率よく改善するためには、「すべての時間」を見える化させる必要があるのでしょうか?

「すべての作業時間を計るのが難しい」という場合は、見直しが必要な「時間の箱」を決めることから始めてみるのもおすすめです。

例えば、「8時に家を出て職場に向かい、18時に帰宅する」という人なら、「8時から18時は仕事のための時間」として固定します。すると見直し可能な「時間の箱」は、朝と夕方以降の時間に絞ることができます。

私のように睡眠不足を改善したいなら、「ふとんに入る時間」も固定すると良いと思います。「今は23時頃に寝ているけれど、1時間多く睡眠時間を確保したい」と考えるなら、「毎日22時に寝る」と固定してしまうんです。すると、1時間多く睡眠時間を確保するための「時間の箱」が明確に定まります。あとは、その箱の容量に合うように、やるべきことを収めていくだけ。収まらないなら「やめる」か「短縮する」かを見直していけばいいんです。

突然「今日から1時間長く寝よう!」と試みても、他の時間を圧迫してしまうので継続するのは難しいと思います。「見直すべき時間の箱」を見極めて、改善への取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
 

「やるべきこと」と「気になること」を紙に書き出して、“眠りスイッチ”をオン!




――睡眠不足の改善を叶えた尾石さんですが、「睡眠の質」を高めるために、普段から意識していることはありますか? 

「明日やるべきこと」や「今日気になったこと」などを、手帳やノートに書き出してからふとんに入るようにしています。

「やるべきこと」が「時間の箱」にうまく収まっていても、多くのタスクを抱えていると寝付きにくくなってしまったり、夜中に気になって目が覚めてしまったりすることがあります。これを回避するために、寝る前に「明日やるべきこと」を書き出してパソコンの前に置いておくんです。

残っている作業を脳で記憶しようとすると、頭の中で何度も反復して眠りが浅くなってしまうのですが、紙に書いて見えるようにしておけば、安心して眠りにつけるようになります。

同じように、「今日気になったこと」も寝る前に書き出すのがおすすめです。例えば、「同僚に挨拶したのに無視されてしまった」ということがあった日、夜中にふと思い出してもやもやした気持ちになってしまうかもしれません。このような場合も、「気になった出来事」を紙に書き出すだけで、気持ちの整理ができるようになると思います。

――頭の中にある考えを、可視化するということですね。

そうですね。「挨拶してくれなかった」と紙に書き出すと「あの人、私のこと嫌いなのかな?」など、出来事に対する本音が見えてくるはずです。すると同時に、「それって私の思いこみなのでは?イヤホンをしていて聞こえなかっただけかも」と、本音に対する多面的な見解を得やすくなるんです。

頭の中だけで考えていると、偏りや癖に気づきにくいもの。言葉としてアウトプットしてみると、「偏見だったな」「考えすぎだったな」と感じられるようになり、スッキリした気持ちで眠ることができると思います。
 

タイムマネジメントの本質は「自分を知ること」


――今回教えていただいた方法は、すべて「今の自分を知ること」に紐づいていると感じました。現状を知ることで、「自分が取るべき行動」が明らかになっていきそうですね。

今回ご紹介した方法以外にも、「睡眠のレコーディング」を試してみるのも良いと思います。就寝時間と起床時間とともに「どのような寝起きだったか」を2週間ほど記録し、自己評価していくことで、眠りにつながる日中の行動が変化し、徐々に睡眠の質も高まっていくはずです。

「自分を理解すること」が、改善のための近道だと思います。時間の使い方に悩みを感じているなら、スモールステップで現状を知り、自分に合った工夫を取り入れてみてください。きっと1年後には「自分にとっての心地良い行動」が選べるようになっていると思いますよ。

――過去の尾石さんのように「自分の時間が取れない」という人へ、メッセージをお願いします。

子どもを優先して、自分のことを後回しにしているお母さん、お父さんも多いと思います。「食事は子どもの残りもので済ませる」とか、「自分のことは子どもを寝かしつけてからする」という話もよく耳にしますよね。
 
でも、私は子どもへのケアと同じくらい、自分のケアも大切にすべきだと考えています。自分のケアを怠り続けることで、体も心も疲弊し、いつのまにか「常にイライラしている人」になってしまいますし、子どもの目にも「親ってそういうもの」と映ってしまうと思うからです。
 
人の一生は、小さな時間の積み重ね。振り返った時に「幸せだったな」と感じる日々を過ごすためにも、できることから少しずつ見直しを行い、自分らしい時間の使い方を取り戻してみてはいかがでしょうか。

Voicyの人気パーソナリティ

尾石晴さん

外資系メーカーに16年勤務し、管理職を経験。2児の母として育児と仕事を両立するための時間術を考案する。2020年に退職し、母と子のシェアコスメブランド「soin(ソワン)」や、ヨガスタジオ「ポスパム」を運営する。2019年に始めた音声配信サービス「Voicy」は、現在、フォロワー数13.3万の人気チャンネルに。執筆活動やメディア出演のほか、大学院博士課程に在籍するなど幅広く活動中。『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ(実業之日本社)』など著書多数。
X:@wa_mamaharu

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