自然を紡ぐ、ほんとうの私に還る。眠りに寄り添う寝具『itolier (イトリエ)』

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自然を紡ぐ、ほんとうの私に還る。眠りに寄り添う寝具『itolier (イトリエ)』
2022年に誕生10周年を迎えたnishikawaの寝具ブランド『itolier(イトリエ)』。「自然を紡ぐ、ほんとうの私に還る」をコンセプトに、皆さんの眠りを心地よく包み込むような寝具をラインナップしています。

今回は『イトリエ』を担当する、nishikawa社員の八木樹子が眠り心地から寝具に込められた日本の伝統技術、さらには快適な睡眠にとどまらない『イトリエ』がお届けする価値まで、ブランドの魅力をお届けします。
 

桜に赤カブ、さらには日本伝統の和紙から作った生地も



—— 2022年に誕生10周年を迎えた『イトリエ』。3月には春夏の新作が登場しますね。

今回の新作は「ボタニカル」をテーマに、森林を感じられる色味を多くラインアップしています。今年の春夏シーズンはインテリアの世界でも、モードの世界でも、グリーン系の色味が注目されているんです。それに『イトリエ』はトレンドに関わらず、植物との親和性が高いブランドです。2021年には桜や赤カブで染めた寝具もリリースしています。

西川のルーツである蚊帳

—— 桜に赤カブ、ですか?

はい。特に桜に関しては、海外の方からも好評で、「とても日本らしく、とても美しい」と
いうお声もいただきました。
日本らしさを大切にすることは、『イトリエ』らしさでもあり

ます。ちょっと珍しいところですと、蚊帳の染料だったといわれる刈安(かりやす)。これを用いて染めた寝具を『イトリエ』で展開したこともあります。


『イトリエ』でも使用される狩安

今は“寝具のnishikawa”ですが、元々は蚊帳の行商として創業した歴史があります。この蚊帳の特徴である美しい萌黄色は、苅安の黄色と藍の青色を重色して染められたのではないかと言われています。

こうした自然の素材を用いた染色方法を“ボタニカルダイ”といって、私たちはnishikawaの創業の地である近江(現在の滋賀県)で採取された刈安を原料に、生地を染めてた取り組みもありました。



—— 『イトリエ』ではボタニカルダイのほかにも、生地の製造工程にちょっと珍しい技術を取り入れていますよね。

多くの方に「え!」と驚かれるのが、和紙繊維ですね。薄い和紙にたっぷりのスリットを入れて細く拠ると、糸を束ねたような繊維状になるんです。『イトリエ』では、これをコットンやほかの繊維とミックスして、生地として織り上げています。


和紙繊維を加えたテキスタイルも『イトリエ』ならでは

和紙繊維の入った生地って、本当に気持ちいいんです。風合いとしては麻に似ています。シャリシャリっと肌にまとわりつかず、さっぱり、爽やかな肌触り。しかも、和紙は吸水性に優れています。夏用の寝具にぴったりの素材なんです。
 

心地いい寝具に包まれた翌朝は“ほんとうの私に還る”



—— ボタニカルダイはもちろん、和紙の原料も植物。『イトリエ』のコンセプトである「自然を紡ぐ、ほんとうの私に還る」というフレーズにも納得です。

日本を中心に世界から厳選した素材を使い、糸の1本1本、織り方、風合いにもこだわったものづくりをお届けしたい。そうして作られた寝具に包まれてお眠りいただくと、翌朝には本来の自分を取り戻している——。これがコンセプトに込めた想いです。

眠りって、本当に大切です。コロナ禍にも話題になりましたが、質の高い睡眠は免疫力や回復力を高めてくれます。投薬のような西洋医学的な方法よりも、東洋医学に近いニュアンスですね。漢方のように植物の力も借りながら、自分本来の力を引き出し、心地いい生活に調えていく。『イトリエ』は、そうしたお手伝いをするブランドです。

私たちが厳選した素材のなかには、エビデンスを取得できる事例もあるんです。和紙繊維の吸水性もそうですし、お茶やコーヒーの出がらしを原料にした染料もそう。寝具のニオイは快適な眠りを妨げますが、茶葉に含まれるカテキンは消臭に優れていますし、コーヒーに含まれる成分にも、消臭や抗菌効果があると言われています。

—— 桜や赤カブに、刈安やコーヒー。こうした植物を原料に染める天然染料は、環境保全の面からも注目されていますよね。

ボタニカルダイは天然の染料。排水の面から見ても、天然の染料なら排水に含まれる成分も環境への負荷が減らせます。
それに『イトリエ』ではフードテキスタイルといって、安全な植物や食品の廃棄物から抽出した染料も、積極的に取り入れています。



—— 人の眠りに優しいものは、環境にも優しい。お話を伺っていると、そんな気がしてきます。

優しい生地に仕立てるには、作り手の技術も欠かせません。例えば、『イトリエ』では無農薬で育てられた、オーガニックコットンの寝具もラインアップしています。でも、オーガニックの繊維は環境に優しい一方、生地として織り上げたときの風合いにしっとり感が足りません。

無農薬で育った植物って、すごく強いんです。農薬の助けを借りることなく、雨にも風にも虫にも負けない生命力を持つことから、文字どおりに柔じゃない(笑)。強い生命力があるからこそ、繊維にしたときも丈夫ですが、ちょっと風合いがしっかりしてるんです。

これをなめらかな生地に仕上げるのが、作り手の知恵と技術です。あえて若干の起毛をかけてフランネル調の風合いにしたり、無農薬のコットンとカシミヤを混ぜて糸にしたり。

すると、オーガニックコットンでも、心地いい肌触りの生地に仕上げることができます。
 

スピードや効率重視の時代に“丁寧さ”という価値を



—— そうした技術を有しているのは、“寝具のnishikawa”ならではですね。

私たちよりもむしろ、職人さんの力です。日本は本当に紡績技術に長けていて、地域ごとに得意のジャンルが異なるのもとても興味深いです。愛知県の蒲郡市はガーゼの技術に長けていますし、毛布なら泉大津市が有名です。

ただ、日本各地に優れた技術があるのに、最近では担い手不足が問題視されていますよね。こうした技術が廃れてしまうのはもったいない。『イトリエ』では品質のためにも、伝統技術を守るためにも、各地の職人さんの力を借りています。



—— 寝具としての心地よさはもちろん、環境にも技術の継承にも配慮する。『イトリエ』のものづくりはサステナブルですね。

nishikawaから『イトリエ』というブランドが生まれたのは2012年。サステナブルという言葉が、今よりも知られていませんでした。ステイホームの時間が大切にされたコロナ禍以前は特に、何事もスピードや効率を重視する社会の空気がありましたよね。特に日本はそれが睡眠にも表れていて、世界的にも睡眠時間が短い国といわれています。

でも、そうした生活を続けていては、疲れてしまいます。私たちがお届けしたいのは、古来の人たちが営んでいたような、自然と共存しながら送る丁寧な暮らしです。今、田舎に移住される方が増えていたり、キャンプを楽しむ方が増えていたりするのも、自然と共にある丁寧な暮らしに価値を感じ、回帰する人たちが増えているからだと思うんです。

効率重視の時代に、丁寧さという価値観をお届けしたい。10年前に立ち上げた『イトリエ』が、偶然にもサステナブルの価値観と一致した。私たちとしては、そうした感覚が強いんです。とはいえ、持続可能性を考えることは、ものづくりの企業として当然の務め。そこでブランド誕生10周年を機に、より環境に配慮したものづくりを強化したんです。
 

長く大事に使いたくなる寝具は、おのずとサステナブル



—— その強化の表れが、ボタニカルダイやフードテキスタイルなのですね。

はい。でも、サステナブルを目指すことは、あくまでも企業姿勢に過ぎません。お客様にとって大切なのは、心地いい肌触りであり、心躍るようなデザインや色味ですよね。

デザインが好みだから、肌触りがいいから使ってみたい。そうした寝具が、実はサステナブルだった。私たちはそれが一番だと考えています。どんなに環境に配慮していても、お気に召さない寝具を使うのは心地よくありませんし、心地よくない寝具は長く使い続けてもらえませんよね。それって結局のところ、サステナブルじゃないと思うんです。

—— 確かに。長く使い続けることは、サステナブルの大前提です。

正直なところ、環境に配慮したものづくりを実践しようとすると、味気ないデザインになりがちなんです。どれもが生成り色をベースとした、平面的なデザインになってしまって。そこで寝具に色を与えてくれるのが天然染料などですが、天然の柔らかな色味を生かしつつ立体的に仕上げるのは、なかなかに至難の業。

毎シーズンのように試行錯誤の連続です。そんな時、寝具メーカーとしての経験と勘はもちろん、私たちを助けてくれるのが、日本各地の職人さんです。私たちは『イトリエ』を通じて技術の継承も進めていきたいと考えていますが、それ以前に、職人さんたちの技術がなければ『イトリエ』の寝具は作れません。

—— お話を伺っていると、寝具を大事に、長くに使いたくなります。まさにサステナブル。

そうした寝具を生み出すことが、私たちの役目です。実はnishikawaでは、SDGsに掲げられた17個の達成目標にプラスして、独自に18個目のゴールを掲げているんです。それは「世界へ!すべての人に快適な睡眠を!お届けする」こと。快適な寝具が皆さんの健康を支え、暮らしの豊かさにもつながると信じています。

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