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いつもと違う不眠症状、どう対応する?産科医に聞く妊娠中の睡眠トラブル

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いつもと違う不眠症状、どう対応する?産科医に聞く妊娠中の睡眠トラブル
妊娠中はホルモンバランスの急激な変化から、だるさや吐き気、頻尿など、普段とは異なるさまざまな症状が現れます。症状には個人差があるものの、「夜眠れなくてつらい…」という悩みを抱える妊婦さんも少なくありません。今回は妊娠初期・中期・後期の期間別に見られる不眠の症状と対処法について、産婦人科専門医の直林奈月先生に伺いました。
 

「妊娠初期」は日中の眠気や頻尿も悩みの種

妊娠初期(4〜15週目)に起きる主な症状はこちら。
・胸のむかつきや吐き気などのつわり症状
・だるさや眠気
・のぼせや、寒気
・頻尿

特にこの時期は「安定期を迎えるまでは」と、妊娠していることを周囲に打ち明けられず、不快症状を我慢している人も多いのではないでしょうか。

「妊娠中は、体が赤ちゃんを育てる準備をしているため疲れやすい状態です。さらに子宮内膜の環境を整えるプロゲステロンというホルモンが急激に増加するので、日中も強い眠気を引き起こします。可能な限りこまめに休憩をとり体と心を休めるのが理想ですが、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料も一日一杯程度なら大丈夫。うまく気分転換しながら過ごしましょう」(直林先生)

また、自律神経の乱れから体温調整が不安定になり、急に暑く感じたり、寒く感じたりすることも。その時々の症状に合わせて、対応していくことが大切です。

「寒い時はレッグウォーマーや腹巻を着用したり、暑い時は掛け布団を一枚減らしたり、その時々の体感温度に合わせて着るものや寝具を調整しましょう。自身が感じる快適さを優先してあげてくださいね」(直林先生)

頻尿に悩まされる人も多く、夜中に何度も起きてしまうことも。妊娠中はなぜ頻尿になりやすいのでしょうか。

「血流量が増える妊娠期間は、循環血しょう量も増加します。腎臓を通る水分も必然的に増えるため、喉も乾きも感じやすく、トイレの回数も増えてきます。しかし、度々トイレに起きるのを避けようと、水分補給を控えるのはNGです。妊娠中は血液が固まりやすく、つわりで十分に水分を摂れていない人も多いです。そのような状態で飲水を控えてしまうと、脱水が進行してしまい血栓症につながる恐れも。頻尿は仕方のないことと捉えて、しっかり水分を摂ってください」(直林先生)

血栓症は命に関わる場合もあるので、絶対に無理せず、こまめに水分補給するようにしましょう!

 

「妊娠中期」の腰回りの痛みには骨盤ベルトを活用して

妊娠中期(16〜27週)の主な症状はこちら。
・腰痛、恥骨痛
・貧血
・ふらつきやめまい

妊娠中期に入ると、お腹が大きくなることで反り腰になり、腰痛の症状が出てくる人も増えてきます。中には「骨盤」や「恥骨」に痛みを訴える妊婦さんも。

「骨盤や恥骨に痛みを感じるようになるのは、リラキシンというホルモンの影響。お産の時に赤ちゃんが通りやすいよう、骨同志を繋いでいる靭帯が緩んでくることにより、痛みを感じることがあります。骨盤ベルトを活用して支えてあげると楽になるので試してみてください。寝ている時もベルトがあったほうが楽という方は、過度に締め付けない程度で着用してください」(直林先生)

痛み止めなどの市販薬は、28週目までは服用することができますが、産科医に相談するのがベストです。

また、赤ちゃんに送られる血液量が増加する妊娠中期は、貧血にも注意が必要。自律神経の乱れも伴い、起床時に体を起こす際、ふらつきやめまいを感じることもあるそうです。急に体を起こすことはせず、両手で体を支えながらゆっくりと起き上がるよう意識しましょう。

「お腹が大きくなってくると皮膚が伸びて痒みを感じることもありますが、中には手足やお腹などに湿疹が出る『妊娠性痒疹』を発症する人も。夜眠れないほどの強いかゆみは、産婦人科や皮膚科を受診して塗り薬を処方してもらいましょう」(直林先生)

お腹が大きくなって寝苦しさを感じるようになったら、妊娠中の症状にフォーカスしたアイテムを利用するのも◎!

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「妊娠後期」は心地良い寝姿勢を意識。抱き枕の活用もオススメ



妊娠後期(28〜40週)の主な症状はこちら。
・仰臥位低血圧症候群
・脚のつり(こむら返り)
・ムズムズ脚症候群
・頻尿

お腹が大きくなり、「仰向けで眠れない」「胎動が頻繁で眠れない」と寝苦しさを感じることが多くなる妊娠後期(28〜36週)。この時期は「仰臥位低血圧症候群」を起こしやすいため、横向きで寝るのがオススメとのこと。

「『仰臥位低血圧症候群』とは、仰向け姿勢になったときに体の中心にある太い血管を圧迫してしまうことで、気分が悪くなってしまうこと。就寝中だけでなく、エコー検査をしている時にも起こりやすいので妊娠後期は特に注意が必要です。『気分が優れないな』と感じたら、左側を下にして横向きの姿勢を取ると緩和されます。またお腹が大きくなることで膀胱が圧迫し、トイレが近くなるのもこの時期。これは仕方がないことなので、こまめにトイレに行くようにしてください」(直林先生)

体の左側を下にして、右足を付け根から曲げる「シムス位」は妊娠後期にオススメの寝姿勢。抱き枕を活用するのもオススメです。心地よい寝姿勢で眠るようにしましょう。


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また、夜間の「脚のつり(こむら返り)」に悩まされる人が多いこの時期。寝ている時に突然ふくらはぎがつってしまい、起きて伸ばそうとしてもお腹が大きくてうまくできない…ということも。

「大きなお腹を支えようとして、姿勢や歩き方に負担をかけてしまうことが、妊娠中の脚のつりの原因の一つとして考えられています。ひどい場合は漢方薬を処方することもありますが、就寝前にパートナーにマッサージをしてもらったり、お風呂にゆったりつかることで改善することも。レッグウォーマーを着用し、脚を温めて上げることで緩和したという人もいるので試してみてください」(直林先生)

夜中に脚がムズムズし出し、動かしたくて我慢できなくなったり、かきむしりたくなるなどの不快感を感じる「ムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)」も妊娠後期に見られる症状のひとつ。貧血を改善することで治ることもあるようですが、詳しい原因はまだ分かっていません。

「妊娠中の不調や不眠の原因は、はっきり分かっていないことが多いです。妊娠の週数によって悩みも変化しますし、その症状の重さにも個人差がありますが、ずっとは続きません。必ずお産の瞬間がきます。自分を大切にして、妊娠期間を過ごしてくださいね。『妊娠は病気じゃないのに、自分だけ怠けているのではないか』とは思わないで、家族や友人など、頼れる人に頼ってください。『子どもはみんなで育てる』。そんな社会になれたら嬉しいですね」(直林先生)

新しい命を胎内で育む「妊娠」は奇跡そのもの。赤ちゃんの成長とともに、お母さんの体調が変化していくのも自然なことです。無理をせず、体と心を休めながらその時々の悩みに合わせた対処療法で妊娠期間を過ごしていきましょう!
 

Bene浅草レディース健診クリニックセンター長

直林 奈月先生

2001年に高知医科大学卒業後、太田⻄ノ内病院、高知大学医学部附属病院、船橋二和病院、赤心堂病院産婦人科を経て現職。 産婦人科医として長いキャリアを持つ。 https://bene-asakusa.com/

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