カテゴリ:眠り

「株式会社ゆっくりおいしいねむたいな」と考える、気持ちのいい1日の終わり方

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「株式会社ゆっくりおいしいねむたいな」と考える、気持ちのいい1日の終わり方

いい眠りの先に、いい暮らしがあるーー。仕事や家事、育児...生活のアレコレを支える土台に“睡眠”があります。この連載では、nishikawaの眠りのコンサルタント“すやすや部”が気になるゲストをお招きし、いい眠りに導くためのリラックス方法や小さな生活の工夫をお届けしていきます。

連載『いい眠りいい暮らし』の第1弾にお越しいただいたのは、株式会社ゆっくりおいしいねむたいなの左近榮梨さん。会社名からもその想いが伝わってくるように、忙しい現代人のリラックスタイムを支える商品やサービスを提供する会社です。

すやすや部も思わずびっくりしてしまうほど、眠りに対する熱量が高い左近さん!私生活では、どんな工夫をされているのでしょうか?
 

スパイス&ハーブコンサルタント、料理家

左近榮梨

「食時間」に関わる空間・食・ストーリーをデザインする会社「株式会社ゆっくりおいしいねむたいな」の代表取締役。 スパイスやハーブを使用した自社・他社の商品開発や、飲食店のブランディングなどを行う。2021年1月に自社商品「22時のカレー(よるくち)」の一般販売をスタート。先行販売のクラウドファンディングでは、目標金額350%以上を達成。2022年現在も新商品を開発中。SNSを中心にスパイスやハーブを気軽に楽しむ方法などを発信している。

小さな幸せの積み重ねが人生の豊かさにつながる



すやすや部:「ゆっくりおいしいねむたいな」というロゴを見た時に、なんて癒される名前なんだろう、お話ししてみたい!と気持ちがたかぶっていました(笑)。この会社名に込められた想いを教えていただけますか?

左近さん:そのままではあるんですけど(笑)、忙しい毎日の中で少しでもリラックスする時間を持とうというメッセージを込めています。実は以前、結構ハードな仕事をしていて。食事や睡眠、入浴という時間が、リラックスするためのものではなく、作業になってしまったんです。気持ちいいから眠るんじゃなくて、仕事でパフォーマンスを落としたくないから「早く寝なきゃ!」って。そういう生活を続けていると、人って心が萎んでしまうんですよね。

すやすや部:土日をいい時間にしようと思っても、平日がヘトヘトだと何もする気になれないですよね...。



左近さん:本当にそうなんです。仕事をする平日の中にもリラックスタイムを持つことが、健やかな休日にもつながる。「おいしい」と感じることとか、そういうすごく小さな幸せの積み重ねが人生全体の豊かさにつながる。そう信じて事業をスタートしたんです。だから、自身の反省が今の活動に大きく影響しています(笑)。

すやすや部:左近さんが特に大切にしているのが食事の時間ですよね。「22時のカレー (よるくち)」は、夜食を支えるというすごく素敵なコンセプトだなって。いい眠りのためには眠る2〜3時間前に食事を済ませることを私たちは推奨しているんですが、どうしても遅くなってしまう日もありますよね...。そんな時に寄り添ってくれるのが「22時のカレー (よるくち)」なのかなって。

左近さん:私も、夜遅くの食事はできればしたくないんです...(笑)。でも、前職で忙しかった頃、どうしても遅くなってしまうことが多々ありました。そんな時に、いつも手に取るのがコンビニ食一択だとなんだか寂しいなと思っていて。低カロリーで胃もたれもしなくて、化学調味料も使っていない、なるべく罪悪感を減らしながら手間もかからない夜食の選択肢を作りたい想いがあったんです。
 

お風呂以降がリラックスタイム



すやすや部:よく眠るための工夫はありますか?

左近さん:今は家で仕事をしているので、切り替えがなかなか難しいですよね。「今からリラックスタイム!」と切り替えるのではなくて、段階的にスイッチを変えていくことをとにかく意識しています。切り替えにはお風呂がすごく重要だと思っていて、ゆっくり湯船に浸かってリラックスできるハーブの香りを嗅いだり、寝室の光を徐々に弱くしたり。

すやすや部:もう言うことなしってくらい、大正解です!(笑)nishikawaのオフィスの照明も、実は出勤時と退勤時では明るさや色味が違う階もあるんですよ。。そんな左近さんでも、何か眠りに関して困っていることはありますか?

左近さん:それが結構あるんです。身体の調子によっては、夜遅くに目が覚めてしまったり、予定より早く目覚めてしまったり。なるべくいい睡眠をとれるようにApple Watchで自分の睡眠の質を計測したりしているんですけど、寝返りの回数とか自分の眠りの癖まではわからないんですよね。



すやすや部:それならぜひ相談してもらいたいです!『ねむりの相談所』という、眠りに困っているけれど病院に行くほどじゃないかも...といった方々が気軽に相談できる場があるんです。睡眠の質を可視化できる小さなコイン型の測定器(活動量計)を身につけて1〜2週間ほど生活をしてもらい、そのデータをもとにアドバイスさせていただきます。

左近さん:どんなことがわかるんですか?

すやすや部:寝ている時の姿勢や、寝返りの回数、普段の活動量や寝ている時の眠りの状態など、いろんなデータを見ることができますよ。また、適した枕の高さや素材の硬さも人それぞれ。測定器を用いて、お客様に合った寝具のご案内もしています。



左近さん:nishikawaさんのサイトを見ていてすごくいいなと思ったのが、『Sleep Charge』という寝具のレンタルサービス。寝具を選ぶときって、その場で寝てみたりするけれどその短い時間だけじゃ自分に合うか分からないんですよね。だから、レンタルして試せるのはとっても助かります。

すやすや部:寝具はご自分の体に合ったものを、できれば長く使っていただきたい。もちろん私たちは自信を持っておすすめできるものの、弊社の寝具がすべての人に合うとは言い切れないので、まずは手軽に試してもらえるといいなと思っています。

左近さん:早速レンタルしてみようと思います!(笑)
 

夜の食事は消化時間を意識して!



左近さん:私たちは食事の時間をとても大切に考えているのですが、食事が睡眠にもたらす影響を教えてもらいたいです!

すやすや部:寝る直前に食べないことをおすすめしている理由は、消化の速度が睡眠の質に影響するからです。疲労回復に欠かせない成長ホルモンが多く分泌されるのが、眠り始めの約3時間です。この3時間は睡眠に集中してほしいのですが、就寝直前に食事をすると、消化活動に力を使ってしまうため、深い眠りから遠ざかってしまいます。だから、寝る直前には摂らない、どうしても食べる場合は、消化にいいものをおすすめします。

左近さん:食べることが好きすぎて、昔からすごく早食いなんです(笑)。でも、できるだけ消化しやすくなるように、よく噛むことも意識してます。



すやすや部:気持ちはすごくわかります(笑)。あとは、どうしても仕事が遅くなってしまう方にお伝えしている方法は、夕飯を2回に分けることです。19時くらいにまずおにぎりやパンなど炭水化物を摂って、少しお腹が空いてしまうのであれば、21時〜22時くらいに野菜スープなどの薄味で消化の良い食べ物やナッツ類などをおすすめしていますね。

左近さん:私もスープを飲むことが多いかもしれません。生野菜のサラダも栄養としてはいいと思うのですが、結構身体を冷やしてしまうのかなって。スープだったり、ちょっと温めて温野菜にしてみたり。身体を温めることが大切かなって思います。
 

味噌汁にスパイス!意外と手軽なハーブとスパイスの使い方



すやすや部:左近さんはスパイス&ハーブコンサルタントの資格もお持ちですよね。スパイスも身体を温めてくれるものだと思うのですが、普段どんなふうに活用されていますか?

左近さん:スパイスやハーブというと、すごくハードルが高いイメージがあるかもしれないですが、普段使っている黒胡椒や七味とかと同じ感覚で使えるんです。豚汁に七味を入れるように、私は味噌汁にパウダー状のパプリカや八角、生姜などのスパイスをひと振り入れています。いつもの味噌汁の香りが少し変わって新鮮ですし、身体もホカホカになります。あとは、コンソメスープの場合はハーブ系は少量であればなんでも合いますよ。ローズマリーや乾燥バジル、タイムとか。

振りかけるという使い方もできるんですけど、ハーブやスパイスの香りの成分は油なので、油に溶け込みやすいんです。なので魚やお肉、野菜を焼く前に、フライパンに敷いたオリーブオイルやサラダ油にハーブやスパイスを入れて油と一緒に食材を焼くと香りを楽しむことができますよ。

すやすや部:左近さんイチ推しのハーブは何ですか?

左近さん:悩みますが、ローズマリーの香りがすごく好きですね。疲労を回復させるような効果が期待できると言われています。

すやすや部:ローズマリーっておしゃれなレストランの料理に添えられているイメージが強くて...。そんな私に向けて、本当に簡単な使い方を教えてもらえませんか?(笑)

左近さん:一番簡単なのは、ハーブウォーターです。お水の中に洗ったローズマリーをそのまま入れます。冷水でも常温水でもどちらでもいいんですけど、フワッとローズマリーが香って、気分がリフレッシュできます。

すやすや部:それなら本当にすぐにできそう!やってみます。
 

布団の上だけは、がんばらなくていい場所であってほしい



すやすや部:
リラックスタイムの大切さを伝えていく存在として、今後チャレンジしたいことはありますか?

左近さん:「ゆっくりおいしいねむたいな」の中で、「おいしい」の体験はカレーを通じて作れたかなと思うんですけど、「ねむたいな」までをデザインした宿泊施設みたいなものを作っていきたいなって。まだ空想段階ではあるんですけど。何か贅沢な体験をするんじゃなくて、「別に何もしなかったけどいい1日だったな」と眠りにつく前に思えるような。

すやすや部:例えばどんな1日ですか?

左近さん:お風呂に入るにしても、何種類かハーブが用意されていて、自分で好きな香りをブレンドしてみたり、朝食もピクニックセットを用意して好きな場所で食べられたり。

忙しい毎日では機械に頼ってしまうところをあえて面倒な手順でやってみる。そうすることで、普段見落としてしまいがちな五感で感じる癒しや喜びを感じてもらえたら嬉しいなと思っています。自分で選択することで、自分の感覚を取り戻していくみたいな。

すやすや部:すごく素敵です。皆いつも何かしらの期待に応えようとがんばっているじゃないですか。寝る時くらいは何も考えずに布団に入ってもらいたいなって思うんです。もちろん、うまくいかないこともがんばらなきゃいけない明日の業務も、人生いろいろあるとは思うんですけど、やっぱり眠る時に「今日はいい1日だったな」って思えた方がスッと寝れますよね。

私たちとしては、せめて布団の上だけは癒される場所、がんばらなくていい場所であってほしいんです。



左近さん:私たちが「22時のカレー(よるくち)」を作ったのも、せめて1日の終わりは自分のことを肯定してあげてほしい気持ちがあったからです。先程おっしゃっていたように、眠りにつく前に「これができなかった」「失敗しちゃった」と自分を責めるのではなくて、今夜はレトルトカレーだったけど、体に悪いわけじゃないし、おいしかったからまあいっかって、自分を肯定して眠りについてもらいたい。仕事もがんばって、健康的なご飯も作ってってそんなに完璧な人はそういませんよ(笑)。

すやすや部:会社名をみた時から思ってましたけど、やっぱりすごく優しいなあ...。

左近さん:落とし物係みたいなものだと思っています(笑)。忙しい人が落としてしまったものを拾い上げて、「これ、大切なものじゃないですか? 大丈夫ですか?」って差し出す仕事。



すやすや部:素敵な表現ですね。左近さんのお話を聞いていて思い出したのが、たまたまネットで見つけた「睡眠がとれてないと、優しさも削られる」という言葉。寝不足だと人に関心も無くなるし、左近さんがおっしゃる通り、大事なものに気づけなくなってしまうんです。

特に日本人はがんばりすぎる習性があるので、せめて寝る前の15分〜30分は、寝るための準備をする時間にしましょうねと伝えるようにしています。電子機器は手放して、ハーブを嗅いだりストレッチをしたり、好きに使っていい。寝る前の時間を自分のために使ってあげることで、余裕が生まれて人間関係がよくなったり、自分にとって大切なものにも気がつけるはずです。

左近さん:眠りってそれだけ大切なことですよね。休息法が仕事のパフォーマンスをよくするためのタスクみたいに語られることには、なんとなく違和感があって。たぶんもっともっと本質的な、その人の生き方に関わる部分だと今日改めて思いました。


「おいしい」と感じる瞬間や布団に入った時の癒される感覚。つい見落としてしまいそうになるけれど、その小さな感覚をひとつずつ積み重ねることで、「今日もいい1日だった」と優しい気持ちで明日を迎えられるかもしれない。そんな心の温まるお話を聞かせていただきました。

それでは、ぐっすりおやすみなさい。

スリープマスター

富下 瞳

眠りのスペシャリスト「スリープマスター」は、nishikawa・日本睡眠科学研究所認定の資格取得者。眠りのメカニズムや、寝具についての知識を保有し、快適な睡眠環境づくりのアドバイスを行います。テレビ・ラジオ・雑誌など多方面のメディアで幅広く活躍しています。

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