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春に眠くなるのはなぜ?春の睡眠トラブルの原因と解消法

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春に眠くなるのはなぜ?春の睡眠トラブルの原因と解消法
ぽかぽか陽気に誘われてついウトウト……。「春眠暁を覚えず」という言葉があるように、春は眠くなりやすい季節ですが、実はきちんとした理由があったのです!春に眠くなる原因と、その対処法について、睡眠コンサルタントの友野なおさんに教えていただきました。
 

実は眠りにとって過酷な季節!春に眠くなる3つの理由

寒さもやわらぎ、気持ちも明るくなる春。一見、眠りとの相性が良いイメージがある季節ですが「春は睡眠の観点からいうと、意外にも眠りづらいシーズンなんです」と話す、友野さん。

その理由は、大きく分けて3つ考えられると言います。

環境の変化
入学や入社などの転機や初めての人との出会いなど、春は環境の変化が大きくなりやすい季節。慣れない状況による疲れやストレスは心身の調子を崩し、快適な眠りを妨げる原因になります。

花粉や大気汚染などのアレルギー症状
花粉や黄砂、PM2.5など、アレルギー症状を引き起こす物質が大量に飛散する春。くしゃみや鼻水が止まらずに寝苦しかったり、薬の副作用によって日中に強い眠気に襲われたりします。

激しい寒暖差
真冬みたいな寒さの日があるかと思えば、ぽかぽか陽気の日もある春は、1年のなかでもっとも寒暖差の激しい時期。寒さと暑さが混在しているため、身体が気温差についていけずに自律神経が乱れやすくなります。自律神経とは、活動モードの時に優位になる交感神経とリラックスモードの時に優位になる副交感神経からなる神経のひとつ。このバランスが崩れると体のリズムが崩れやすくなってしまい、夜にうまく眠れなかったり、昼間に眠くなったりと睡眠に影響が出やすくなります。
 

喜怒哀楽が激しくなる!メンタルにも影響を及ぼす春の眠り

意外にも、眠りにとっては辛い季節だという春。眠気が続いたり、寝つきが悪くなったりするほかにも、ぼーっとしたり落ち込みやすくなるという経験をしたことはありませんか?実は、友野さんいわく、そういった不調も眠りと関係しているのだそう!

「睡眠不足は、ぐっすり眠れたときよりも交感神経の緊張が大きく強くなるため、心理的なストレスを受けやすくなったり情緒不安定になりやすかったりするとことがわかっています。また、意思決定やコミュニケーション、感情の抑制や集中力などに影響していて『心の脳』と言われる脳の前頭前野の働きが鈍くなる傾向も。理性や冷静さが失われて感情的になったり、ネガティブになったりします
 

春のせい?生活習慣のせい?睡眠トラブルの原因の見極め方

さまざまな要因が重なり、快適な睡眠を得にくいことがわかった春。とはいえ、それが春のせいなのか、自身の生活習慣のせいなのか見極めるのは難しいですよね。そこで友野さんが、見極める方法としておすすめだと言うのが、「睡眠日誌」をつけること。

「手帳などに、睡眠の状態を○×△と印をつけて記録すると良いと思います。朝起きて、眠りの満足度を毎日つけていくんです。そうすると睡眠の状態を客観視できるので、例えば、2月の半ば頃からトラブルが増えているようであれば『花粉が飛び始めたせいかな』というように判断材料になりますよね。もし余裕があれば、睡眠状態の印をつけた隣に1日の自分の調子がどうだったかを夜、○×△で記入してみてください。そうすると昨夜の眠りと今日の自分の状態の答え合わせができるようになってくると思います」(友野さん)

眠い日が続いたり、眠れない日があったりと「なんとなくうまく眠れていない」と感じるものの、自分でははっきりと気付きにくいのが眠りです。書いて“可視化”することで、まずは睡眠状態を把握しましょう!
 

睡眠の質を上げて元気に!春の睡眠トラブル解消方法



睡眠状態を把握できたら快適な睡眠ができるよう、いざ対策!友野さんに、睡眠の質を上げるためのおすすめの方法を教えていただきました。


香りを活用する
嗅覚は、五感のなかで唯一脳にダイレクトに伝わる感覚。その特性を活かして、香りを嗅ぐことで脳へ直接刺激を与えて自律神経のバランスを整えます。副交感神経を優位にして「眠りモード」に入りたい夜は、寝る前にリラックスする香りを嗅いでみてください。おすすめの香りはラベンダー、ベルガモット、カモミール、ヒノキ、オレンジなどです。反対に、交感神経を優位にしてシャキッと目覚めたい朝にはスッキリする香りを。ミント、グレープフルーツ、ローズマリー、ローズウッドなどがおすすめです。

寝具を調整&見直す
寝具は睡眠の快適度を左右する大事なアイテム。1日のなかで温度差が激しい春は、薄手の羽毛布団を1枚用意しておくと重宝します。寒すぎても暑すぎても眠りにくいので、羽毛布団で心地よいと感じる温度に調整しましょう。

花粉症が辛い人は、布団や枕のカバーを見直してみてください。最近は花粉がつきにくいタイプなど、花粉対策ができる寝具があるので利用してみるのも良いでしょう。

昼寝をする
眠くて仕方ない、昼間ぼーっとしてしまうという人には、昼寝がおすすめ。短い時間でも眠ることでスッキリするうえ、認知症や心臓病のリスクを下げるといった健康効果が期待できると言われています。ただし、15時までに20分以内にとどめるのがポイント。15時以降、20分以上の昼寝は夜の睡眠に影響を及ぼしてしまったり、昼寝から得られる健康のメリットがリスクになってしまったりするので注意です。ちなみに、ベッドや横になって眠ると深い睡眠に入ってしまい、20分以内に起きずらくなってしまうので、昼寝は椅子で行うようにしましょう。

浴びる光にメリハリをつける
眠りにおいて、「光」は重要なキーワード。私たちの身体は、朝起きてすぐに窓際に立って15秒間目の中に光を入れると活動のスイッチが入ると同時に、ここから約14〜16時間後に眠くなるように“予約のスイッチ”である睡眠ホルモンが分泌され始めます。つまり、朝はたっぷり光を浴びて、夜は就寝1時間前から暗くする……というようにメリハリをつけることが、睡眠の質を上げるコツ。同時に、自律神経のバランスを整えることにも繋がります。春は日差しが強くなるので昼と夜の光のメリハリをつけやすい季節です。春の日差しを活かして、快眠に繋げましょう!
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眠くなったり寝つきが悪くなったりと、質が下がりがちな春の睡眠。ご紹介した原因と改善方法を参考にして、今年はぐっすり眠れる春を目指してみてくださいね。
     

睡眠コンサルタント

友野 なお 先生

睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。自身が睡眠を改善したことにより、15kgのダイエットと重度のパニック障害の克服、体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程(社会医学・社会疫学・予防医学)にて健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指し、睡眠と健康に関する研究活動を行う。 順天堂大学大学院 修士。日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会 正会員。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、企業の商品開発やコンサルテーション、執筆活動などを行う。

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