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家事の時間を短縮してゆったりと夜を過ごそう。スムーズに「部屋のリセット」ができる収納のコツ

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家事の時間を短縮してゆったりと夜を過ごそう。スムーズに「部屋のリセット」ができる収納のコツ

仕事に家事にと忙しい日々を送っていると、自分の時間がとれず、つい夜ふかししてしまうことも。特に子育て中の女性は、子どものお世話や家族のごはん作りに追われ、常に寝不足気味という人も多いのではないでしょうか。

睡眠における満足度調査「睡眠白書(西川株式会社調べ)」からも、日々の家事が睡眠時間を減らす原因のひとつであることがわかります。

今回は整理収納アドバイザーとして活動する収納スタイリストの吉川永里子さんに、家事をスムーズに行い、時短を実現するための収納術について伺いました。4人のお子さんの育児中である吉川さんは「整理収納が上手になれば家事を効率良く回すことができ、夜の時間をゆっくり過ごせるようになる」と話します。片づけ初心者でもできる「時間を生み出すための収納」とは?
 

夕方以降のルーチンを決めて、夜の“自分時間”を確保する



──仕事や育児に追われていると、どうしても家事を後回しにしてしまい、夜の時間にしわ寄せがくることに…。結果的に寝る時間が遅くなるという“寝不足のループ”から抜け出せなくなっている人も多いようです。

吉川さん:私も子どもが小さいころはそうでしたし、もともと家事や片づけも得意なほうではありませんでした(笑)。「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」とイライラすることも多くて…。でも「このタイミングにお風呂掃除」「このタイミングに食器洗い」など、家事のタイミングを決めてしまうことで、時間の使い方が整理できてずいぶん楽になったんです。

特に仕事から帰宅したあとの家事がスムーズにいかないと、寝る時間が遅くなってしまいます。夕方から夜にかけては、1日の疲れが溜まり「考える」ことが億劫な状態。だから、午前中や日中に「考えて行動する作業」をして、夕方以降は「考えないでもできるルーチン」を作ることにしました。それが家事の時短につながるポイントだと思っています。

夜はなるべく早めに家事を終わらせてゆったりとした自分時間を持ち、リラックスした状態で布団に入るように意識しています。そうすることで、翌日の集中力も高まると思うんです。

──夕飯、お風呂、翌日の準備…夕方以降の行動をパターン化してしまうということですね。

吉川さん:そうです。そして、その決まったルーチンを効率良くこなすために、「収納」を見直す必要があるんです。家事の効率化だけでなく、片づかない部屋の中にいると、リラックスしたくても頭の片隅で「片づけなきゃ」と考えてしまい、心も休まりませんよ。
 
家事の時短のためのポイント
●夕方以降の「やること」は、考えずにできるルーチンを決めておく。
 
 

家事の作業効率を上げるために「収納」を見直そう



──「家事の効率化のための収納」とは?まずはどこから片づけを始めたら良いのでしょうか。

吉川さん:たとえばキッチンやリビングで物が失くなってしまうことがあったら、それは「うまく収納ができていない」という合図。「探す」という行為でとられる小さな時間が積もり積もって、本来30分でできるはずのことを35分、40分と引き延ばしてしまいます。まずは「探しものをした場所」から、収納の見直しを始めてみてはいかがでしょうか。

──片づけが苦手な人でも簡単にできる収納のコツを教えてください。

吉川さん:本人、または家族が「使っているもの」を生活動線の中に配置するということが、片づけにおけるもっとも大切なルール。物を失くしがちな人は、「使っていないもの」が身のまわりにたくさんある状態。つまり「いま必要なものが埋もれている状態」です。

まずは1つの引き出しの中身を全部出してみて、「使っているもの」と「使っていないもの」を分類します。仕分けできたら、「使っているもの」だけ引き出しにしまい、「使っていないもの」は捨てるかどうかを考えましょう。

中には、思い出の品や贈り物など、捨てることを躊躇させる物もあります。そういうときはすぐに捨てず、「保留ボックス」に入れて目につくところに置いておきましょう。押し入れなどにしまわずに、目の届く所に置いておくことで、「やっぱり使おう」、あるいは「捨てよう」という決断を促せるからです。

「使っているもの」に囲まれた生活をしていると、その時々で必要なものが明確になるので、余計な買い物も減り、不必要に物が増えずに済みますよ。

──たしかに、実際に「いま使っているもの」は意外と少ないのかもしれません。

吉川さん:また、キッチンまわりだと、食器棚を少し見直すだけでも時短につながります。これまでいろいろな方のご自宅を見てきましたが、皆さんものすごい数の食器を棚にびっしりとしまっているんです(笑)。これも先ほどの収納のコツと同じで、実際に「使っているもの」、「使っていないもの」、「保留のもの」に仕分けをして、ふだん使う食器棚にはゆとりを持たせることをおすすめします。食器棚は、お皿の上にげんこつ1個分のすき間を作るように意識してみてください。それだけで、料理をするときのストレスも格段に少なくなるはずです。

──なるほど、それなら今日から始められそうです!

吉川さん:「やってみよう!」と自分が思った瞬間が、片づけを始めるチャンス。いま持っているものを無理に捨てる必要はないです。でも、仕分けをすることで、ふだん使うものが見つけやすく、取り出しやすくなりますよ。
 
片づけのポイント1
●「使っているもの」と「使っていないもの」を一緒のスペースに置かない。
●捨てるかどうか迷うものは「保留ボックス」に入れて目につくところに置いておく。
 
 

リバウンド知らずの“散らからない部屋”を維持するために



──きれいに部屋を片づけても、また散らかってしまうという人もいると思いますが、なぜ「リバウンド」してしまうのでしょうか。

吉川さん:要因のひとつは「物を出しっぱなしにしている」ということ。そのような人には「しまう場所の見直し」をおすすめします。

──出しっぱなしになっている物を、元の場所に片づけるだけではダメなんですか?

吉川さん:物を出したままにしてしまうのは、「使う場所と片づける場所の距離が遠い」ことが原因と考えられます。たとえば爪切りや充電器がリビングテーブルの上に出しっぱなし、印鑑が玄関の棚の上に出しっぱなしということなら、それぞれ使った場所の近くに定位置を作ってあげることが、リバウンドしない収納のコツ。

さらに、定位置を作ったら、そこに戻すことを徹底しましょう。私はこれを「片づけ循環」と呼んでいて、「使ったものを定位置に戻す」だけで部屋はきれいな状態をキープできるようになります。

リビングもキッチンも同じで、使ったあとはきれいな状態にリセット!「後片づけ」という言葉がありますが、私は「先片づけ」だと考えています。そのあとやることに、すぐに取りかかるための“下準備としての片づけ”という意味です。そうすることで、次の作業にスムーズに取りかかれるはずです。

──なるほど!使う場所の近くなら戻すのも簡単。しまい忘れがなくなりますね。

吉川さん:それから、「きれいにすること」をゴールにしている人も「リバウンド体質」かもしれません。「部屋をきれいに片づけた」という行為で満足してしまうからです。

「きれいな部屋で思いっきり子どもを遊ばせたい」、「リビングのテレビまわりをスッキリさせて、DVD鑑賞を楽しみたい」など、きれいになったその先を目標にすることが、リセットしやすく、リバウンドしにくい部屋づくりの秘訣です。
   
片づけのポイント2
●使う場所の近くに「定位置」を作る。
●使用後は「定位置に戻す」ことを徹底する。
●「きれいになったその先」をゴールに設定する。
 
 

「上手な収納」と「自分時間の確保」がストレスフリーに過ごすコツ


──リセットしやすい部屋になっていると、睡眠時間や睡眠の質も変わってくるのでしょうか?

吉川さん:常にきれいな部屋との「循環」ができているなら、家事の作業効率も上がるので、ムダな時間を減らした分、睡眠時間に回すことができると思います。また、1日の終わりをすっきり片づいた部屋で迎えられたら、心穏やかに寝室に向かうことができますよね。

──リラックスした状態で就寝できるということですね。

吉川さん:そうですね。それから人は、視界に物がごちゃごちゃ入ってくるとストレスを感じます。そのため寝室は、目線の先になるべく物を置かないように心がけています。

──最後に、仕事や家事、育児をするうえで大切にしていることを教えてください。

吉川さん:私は忙しいときほど、エネルギーを補充するための自分時間を大切にしています。

たとえば、おいしいランチを食べに行ったり、夜寝る前にDVDで映画を見たり、ネイルを塗り直したり。仕事や家事、育児にだけエネルギーを注いでいると、知らずにストレスを溜め込んでしまうので、限られた時間の中でも自分時間を作るように心がけています。

自分をおろそかにしてしまうと、いくら収納を見直して家事がスムーズにこなせるようになっても、ストレスを感じて結果的に健康な毎日を過ごせない、質の良い睡眠も得られないということになるのではないでしょうか。

──「上手な収納」と「自分へのご褒美」が、ストレスフリーに毎日を過ごすための秘訣ですね。収納の見直しでできた時間を、自分時間に使ってみるのも良さそうです。

吉川さん、素敵なお話をありがとうございました!
 

収納スタイリスト

吉川永里子さん

片づけに関するコンサルティングサービスを展開する「Room&me」代表。整理収納アドバイザーの資格を取得し、2008年より収納スタイリストとして活動を開始。片づけられない体質だった過去の経験を生かし、「片づけはストレスフリーに生きる近道」をモットーに、個人宅での収納アドバイスからメディア出演、講演などで整理収納について説く。『なかなか捨てられない人のための鬼速片づけ』『1年で80万円貯まる!ハッピー片づけ術』など著書多数。

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