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冬は、朝の冷込みに注意!電気代が気になる寝室の暖房の賢い使い方

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冬は、朝の冷込みに注意!電気代が気になる寝室の暖房の賢い使い方

冬の朝は、寒くて布団からなかなか出れない…。暖かい部屋は快適とはいえ、電気代が高騰している今、一晩中暖房器具に頼ることに抵抗がある方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は睡眠環境に関する研究をしている水野一枝先生に、冬の賢い暖房の使い方や冬の睡眠の注意点を伺いました。
 

冬は寝起きに要注意。自律神経系の切り替えが心臓への負担に


日本気象協会と、水野先生によって開発された「睡眠指数」という指標。「睡眠指数」は日本気象協会の天気予報専門メディア『tenki.jp』から見ることができ、天気予報と同様、毎日更新されています。

温度や湿度の変化に応じて、眠りづらさを5段階にランク付け。以下のとおり、睡眠中に暖房を使うか否かの目安や、気温毎の睡眠に関する注意事項をしっかり明示してくれています。


参考|日本気象協会 上記は、寒候期(10月1日~3月31日)のランク。暖候期(4月1日~9月30日)はランク付けに付随するコメントが異なります。


▼睡眠指数について詳しくはこちらの記事をチェック
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20210531143603/


寒候期(10月1日~3月31日)のランク毎のコメントをチェックすると、「起床前は暖房を」「朝の冷込みは危険」という言葉が目立ちます。

「冬は寝つきが悪くなると思われがちですが、寝具の保温性が確保されていれば、夏場と比べて睡眠の質は低下しません。冬の睡眠でもっとも注意していただきたいのは、起床時の冷込みです」と水野先生。

人間の自律神経系には、日中に活発になる交感神経と、夜にかけて身体をリラックスさせる副交感神経があります。冬の寒さは副交感神経を活発にするため、一度眠りに就くとリラックス状態に導かれやすくなります。

一見、よく眠れていいことのように感じますが、副交感神経の活動が活発になってしまうことが起床時の危険につながるのです。

「本来であれば、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら、徐々に副交感神経の働きが弱まり、交感神経優位に切り替わることで身体が目覚めていきます。しかし、寒い冬は起床時間のギリギリまで副交感神経の働きが活発であるため、起きるときに交感神経に一気に切り替えることになります。副交感神経から交感神経への急激な変化は、心臓への大きな負担となるのです」

この現象が、あの有名な「ヒートショック現象」なのです。急激な温度変化によって血圧が乱高下し、脳出血脳梗塞心筋梗塞が起こることも。「睡眠指数」のコメントで「起床前は暖房を」「朝の冷込みは危険」と繰り返し注意を促す所以はここにあります。

「電気代が心配な気持ちは重々承知しているのですが、特にご高齢の方や心臓が弱い方は、暖房を上手に活用していただきたいです。寝ている時間は、少なくとも部屋の温度を10度以上にしましょう」

起床の1時間前に暖房のタイマーをセット


夏の暑さは、寝ている間に無意識に布団を剥いだり、手足を布団から出したりすることで体温調整が可能です。しかし、冬の寒さは自分で調整がしづらいため、就寝前の準備が重要になります。

「部屋の温度が10度以下になる場合は、加湿器と共に一晩中暖房をつけてほしい」と水野先生。

暖房を一晩中つけるのが難しい場合は、起床の1時間前にタイマーを設定しておくのがおすすめ。部屋が徐々に暖まることで起床時の身体への負担を和らげることができます。また、徐々に明るくなるLEDライトを活用するなど、「光」を上手に取り入れることで寒い冬の起床も比較的楽になると言います。

一方、部屋の温度に関しては、夜間にトイレに行くご高齢の方や乳児期のお子さんがいるご家庭の場合、特に注意が必要です。

「乳児期のお子さんがいる場合は授乳やオムツ替え、ご高齢の方の場合はトイレなど、夜間に目覚める必要のある人は、特に部屋の温度を気にかけていただきたいです。廊下やトイレなどすべてを暖めるのは機能的にも経済的にも難しいことではありますが、冷え込む夜間に起きることは身体に負担がかかります。部屋の温度が10度以下にならないよう、可能な限り対策をお願いしたいです」
 

冷え性で寝つけない人は、寝る前に布団を温めておこう


起床時の注意と対策を教えてもらった一方で、冷え性で夜の寝つきに悩まされている人も少なくありません。そうした方におすすめなのが、事前に布団を温めておくことです。

「冬用の布団は保温性に優れています。そのため、就寝前に電気毛布や湯たんぽで布団の中を30分~1時間程度温めるだけでも、ご自身の体温と寝具による保温性も相まって、温かさが一定時間はキープされます」


寝ている間も温かい「nishikawaの羽毛布団」

電気毛布や湯たんぽは、温度が高くなりすぎると脱水症状や低温火傷の危険があるため注意が必要です。
 
ちなみに水野先生は、布団乾燥機を使って布団を温めているそう。温めすぎると就寝中に汗をかき体を冷やす原因にもなるため、特に冷えやすい足元にのみ温風を入れることがポイントなのだそうです。



「部屋全体を暖めるよりも、電気毛布や布団乾燥機で布団の中を集中して温めるほうが電気代は安く済みます。保温性のある羽毛布団、起毛や柔らかい素材のシーツ、敷き布団を二重にするなど、寝具でも工夫できることはたくさんあります。暖房の電気代が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください」


▼冬の寝つきを改善する寝具の選び方について詳しくはこちらから
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20210129165404/
 

***


どれくらいの温度が快適と感じるかは人によって異なりますが、基本的には「同居する人の中で、一番の寒がりさんに合わせてあげてください。暑がりさんは布団で調整できるようにしておくと良いでしょう」と水野先生。

人は寝ている間、布団を剥いだり、手足を布団から出したりと無意識に体温調整を行なっています。そのため、無意識に脱ぎ着できないパジャマや下着を厚くするよりも、布団で調整できるようにすることが大切なのだそうです。

朝の冷込みに注意が必要な冬の睡眠。「睡眠指数」を参考にすると共に、寝具の見直しや電気毛布、暖房のタイマー機能などを活用し、厳しい冬の寒さを乗り越えましょう。
 

和洋女子大学家政学部服飾造形学科 准教授

水野一枝 先生

東邦大学医学部生理学第一講座、獨協医科大学第一生理学教室、産業技術総合研究所NEDOフェロー、東北福祉大学感性福祉研究所特任研究員を経て現職。被服衛生学、睡眠温熱環境、睡眠時の体温調節を専門とし、寝室の暑さや寒さ、寝具や寝衣と睡眠に関する研究を行う。その分かりやすい解説からNHK『あさイチ』をはじめとするメディア出演も多数。

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