ジメジメと寝苦しい梅雨に!快適に眠るための寝室環境と寝具選び

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ジメジメと寝苦しい梅雨に!快適に眠るための寝室環境と寝具選び
気温25℃に迫る日も増え、初夏の陽気を感じる今日この頃。でも、本格的な夏の前に待っているのが梅雨! ジメジメと不快なのは日中だけでなく、夜には寝苦しさを感じますよね。

そこで今回のテーマは「梅雨の寝室環境と寝具選び」。教えてくださるのは、被服の観点から睡眠を研究する水野一枝先生です。


 

湿気で肌がベタベタ!それだけじゃない寝苦しさの理由

梅雨に感じる寝苦しさ。その要因は皆さんが想像する通り、湿度の高さです。では、湿度が高いと寝苦しさを感じるのはなぜなのか。水野先生は、私たちの身体に備わった体温調節機能、なかでも発汗との関係を指摘します。

「発汗は、体温を下げるための働きです。水分が蒸発するには熱が必要となり、これは汗が蒸発するときも同様。かいた汗が蒸発することで身体の熱が奪われ、結果的に体温が下がるというメカニズムですが、湿度の高い状況では汗が蒸発しづらく、体温を下げる働きが機能しづらくなるのです」(水野先生)

汗が蒸発しないままでは、皮膚はベタベタ。その不快感が寝苦しさをもたらしますが、それだけではありません。スムーズに入眠するには、体温を下げる必要があるのです。

私たちは深部体温、つまりは身体の内部の温度が下がるにつれ、自然と眠くなります。暑い環境では、発汗という体温調節機能が正常に働かなければ、深部体温もなかなか下がらず、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、睡眠の質を低下させてしまうのです。


 

梅雨の晴れ間に布団を干すには“裏側から”がミソ!

梅雨に布団を干す女性

寝苦しさの原因が湿度の高さである以上、除湿器やエアコンの除湿機能を使用し、寝室の温度を下げることが大切。nishikawaでは湿度50~60%を理想としていますが、同時に水野先生は、寝具の除湿をすることも大事だといいます。

「湿気を含んだ寝具に包まれていては、どうしても不快ですよね。梅雨の時期はお洗濯が難しくもありますが、除湿をするには布団乾燥機がおすすめです。最近では乾燥直後の熱くなった布団を冷やす、送風機能を備えたタイプも販売されています」(水野先生)

また、できる限り寝具に湿気を含ませないためには、ベッドや布団と床との間に空間を設けることが大事だそう。寝具と床が接していては空気の通り道がふさがれ、湿気がたまりやすくなるからです。

「かつての日本家屋は木造、床は畳でした。日本は湿気の多い気候ですが、木にも畳の原料であるイ草にも、湿気取りの効果があります。とても理にかなった建築様式ですが、現代のお宅はフローリングが主流なので昔に比べて除湿を気にする必要があります」(水野先生)

特にフローリングに布団を敷いて寝ている人は注意が必要。そこでおすすめなのが、布団と床の間にスノコを挟むこと。空気の通り道が生まれるだけでなく、木製のスノコが湿気を吸収してくれます。ベッドを使用している人も、ベッドと床との間に収納ボックスを並べている場合、空気の流れが悪くなっている可能性があります。定期的に収納ボックスを取り出し、通気をしましょう。

そして、「少し大変ですが、梅雨の時期でもこまめにシーツや掛け布団カバーを洗濯してください。また梅雨の晴れ間に効率的に敷き布団を干すポイントは、布団の裏側から日光に当てることです」と水野先生。睡眠中は汗や不感蒸泄という自分では自覚しない水分が身体から出ています。この水分は、敷布団の下側へ速やかに移動します。床と接している布団の裏側は、この水分によって、特に湿気がたまりやすいのです。ちなみにウレタン製の敷き布団の場合は、日光に直接あてるのではなく、風通しの良い場所で陰干しをおすすめしております


 

梅雨に快眠を得るためのポイントは“硬め”であること

寝室環境ともうひとつ、梅雨を迎える前に見直したいのが寝具! 5~6月は衣替えの季節。寝具も衣替えをすることで、梅雨も、その先の夏も快適な眠りを得られます。

そこで水野先生が推奨するのが麻素材の寝具。サラッとした肌触りに加え、吸水性も速乾性も高く、ジメジメとした梅雨にぴったりですが、もうひとつ注目したいのが、やや硬めの風合いです。

「硬いということは、身体に密着しづらいということ。寒い季節は、身体に沿うような柔らかい素材をおすすめしていますが、その理由は寝具が身体に沿うように密着し熱を逃がさないから。反対に湿気や気温が高い時期には寝具と身体にすき間を作り、熱を逃がすことが快眠につながります」(水野先生)

同様の理由から、敷きパッドも硬めのタイプに替えるのがベター。綿素材がお好みの場合には、表面が凸凹としたサッカー生地のパジャマを選ぶのもおすすめです。サッカー生地の特徴である凸凹により、熱がこもりにくいからです。


 

寝具にもマスクにも!知っておきたい“Q-max値”

ほかにも水野先生が推奨するのが、近年注目されている「接触冷感」と呼ばれる生地。読んで字のごとく、触れるとひんやりと冷たさを感じられる生地のことです。

「接触冷感の生地は、熱伝導率と熱拡散率が高い仕組みに作られています。肌が生地に触れた瞬間、肌の熱が生地に移動することから、冷たさを感じられるのです」(水野先生)

そのため、ひんやり感を得られるのは触れた瞬間のみ。冷感が持続するわけではありませんが、人には寝返りという生理現象が備わっています。水野先生は「寝返りのたびに肌に触れる生地の場所が変わることから、快適に眠れる可能性が高いです」と指摘します。

ちなみに、接触冷感の寝具に表示されているのが「Q-max値」。「最大熱吸収速度」を表した数値で、数値が高ければ高いほど、肌の熱が一気に生地に移動、つまり冷感を感じやすいことを意味します。最近では寝具だけでなく、接触冷感の生地を用いた布マスクも販売されているので、参考にしてくださいね!

とは言え、冷たい雨が続き、肌寒さを感じることも多いのが梅雨。特に明け方は冷えるため、上掛けと別にもう1枚、タオルケットや羽毛肌掛け布団を置いておくのがおすすめだそう。

「置く場所としては足元がおすすめです。足元に置いておけば邪魔になりづらいですし、特に冷えを感じやすい足先を予備のタオルケットや羽毛掛け布団に差し入れるだけでも、寒さが緩和されます」(水野先生)



寝苦しさを感じるだけでなく、頭痛がしたり、古傷が痛んだり、梅雨は体調不良がおきやすい時期です。症状ごとに治療方法はそれぞれですが、「私たちがまずできるのは、しっかり眠ることです」と水野先生。

梅雨の体調不良に見舞われないよう、まずは寝室環境や寝具を見直すことで寝苦しさを解消! ぐっすり眠ることが、梅雨を健康に乗り切る秘訣なのです。
 
 
       

和洋女子大学家政学部服飾造形学科 准教授

水野一枝 先生

東邦大学医学部生理学第一講座、獨協医科大学第一生理学教室、産業技術総合研究所NEDOフェロー、東北福祉大学感性福祉研究所特任研究員を経て現職。被服衛生学、睡眠温熱環境、睡眠時の体温調節を専門とし、寝室の暑さや寒さ、寝具や寝衣と睡眠に関する研究を行う。その分かりやすい解説からNHK『あさイチ』をはじめとするメディア出演も多数。

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