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隠れ鼻づまりがだるさや倦怠感の原因?解消方法もご紹介

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隠れ鼻づまりがだるさや倦怠感の原因?解消方法もご紹介

春が近づくこの季節。花粉症のようなアレルギー性の鼻炎は注目を浴びやすいですが、実は花粉の症状で来院された方の中には、慢性的な鼻炎とアレルギー性の鼻炎が併発することで症状がひどくなっていることも多いのだとか。

記事前編では、『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』を上梓された「鼻のクリニック東京」院長の黄川田 徹先生に、睡眠への影響を与える「かくれ鼻づまり」の正体や小児の発育への影響について伺いました。
 

口呼吸がサイン。花粉症の裏にある「かくれ鼻づまり」

「かくれ鼻づまり」チェックリスト
書籍『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』より

まずは、黄川田先生が作成した「かくれ鼻づまりチェックリスト」を見てみましょう。口を開けて寝ていたり、朝起きたときに口や喉が渇いていたりすることはありませんか?うっすらとでも口を開けて寝ている場合は、「かくれ鼻づまり」の可能性が高いんです。

「『かくれ鼻づまり』とは、特に眠っている夜間に起こりやすい無自覚な鼻づまりのこと。寝ている間は意識がありませんし、かつ日中は症状が治る方もいるため気づきにくい症状です。もっともわかりやすいサインは『口呼吸』。人間は本来鼻で呼吸する動物なので、口で呼吸する方の多くは『かくれ鼻づまり』だと考えられます」。

また、花粉症の時期は日中集中しづらかったり、疲れやすいと感じる方は多いのではないでしょうか。薬の副作用で眠くなることが主な要因と考えられてきましたが、「かくれ鼻づまり」によりしっかりとした睡眠がとれていないことが、日中のQOLの低下につながっている可能性があると黄川田先生は指摘します。

「花粉症の季節は症状が目立ちやすいため治療を始める方が多いのですが、実は季節性やハウスダストなどのアレルゲンによる鼻炎だけが原因という患者さんはごく一部。検査を進めると、多くの患者さんが原因不明の慢性鼻炎を抱えていて、そこに季節性のものが併発し症状がひどくなっている場合が多いのです」。
 

鼻づまりから端を発する「いびき」や「睡眠時無呼吸症候群」

「花粉症などの一時的な症状よりも、慢性鼻炎のほうが深刻です」と黄川田先生。日中は症状がなくても、副交感神経が優位になる睡眠中から朝にかけて鼻の粘膜が腫れ、鼻がつまりやすくなります。

「鼻がつまり口呼吸が癖になってしまうと、喉の筋肉が緩み空気が通る気道が狭くなります。それによって、『いびき』『睡眠時無呼吸症候群』などの合併症を招く場合も。熟睡できていないということは脳が十分に休めていないということですから、日中の眠気や疲れやすさなど、慢性的な睡眠障害につながってしまいます」。

いびきや睡眠時無呼吸症候群は、肥満との関係性が示唆されていましたが、呼吸障害の多くの患者さんが鼻炎持ちであることから、普通体型、痩せ型の方でも起こる症状であるとわかってきています。
鼻づまり治療のアンケート
書籍『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』より

「16歳以上の鼻の手術をした患者さん326人に術後6ヶ月後に弊クリニックの独自アンケートをとったところ、『なかなか寝つけない』『夜中に目がさめる』『満足な睡眠がとれない』といった睡眠に関する悩みを抱える方の割合が大幅に減少しました」。

また、ステロイドの点鼻薬を使用することで睡眠の質が向上したという論文データも見つかってきています。睡眠障害と鼻づまりの関係性は、ここ20年ほどで研究が進められています。

「鼻炎は完治できるものではないので改善に限界があります。そのため鼻炎を改善することがどこまで睡眠の質の向上につながるかは、まだ明らかになっていないことも多いのが現状です。睡眠障害にはさまざまな要因が挙げられますが、『鼻づまり』も1つの可能性として頭に入れておいてもらえるといいかと思います」。
 

鼻づまりが子どもの発育にも悪影響を与える!?

大人にとって日中のパフォーマンスや集中力の向上に質のいい睡眠が大切なのはいうまでもありませんが、小児にも睡眠は重要です。慢性鼻炎による鼻閉が睡眠の質を低下させ脳の発育を阻害、そして口呼吸を引き起こし、顎骨の発育を阻害する可能性があると考えられています。

「子どもは基本的に熟睡するはずですので、まずは大人同様、口呼吸をしていたり、日中落ち着きがない場合は、ちゃんと眠れているのか注意を向けてあげてください。小児の場合、脳や骨が発育段階のため、睡眠の質の低さが学習障害や知的障害を引き起こす場合があるとわかってきています。

また、最近はあごが小さく歯並びが悪いという理由で矯正治療を受けている小児が増えています。まだ立証されていませんが、矯正治療を受ける子の多くは鼻炎を持っており、鼻呼吸できていないことが顎骨の正常な発達を妨げている可能性も考えられます」。

子供の鼻づまりチェックリスト
書籍『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』より

いずれにしても、幼少期は特にしっかりと睡眠をとることが体や脳の発育にも重要です。「かくれ鼻づまりチェックリスト」にも記載されている「読書など集中することが苦手」「落ち着きがない」という症状が出ている場合は、しっかりと眠れているか注意を向けてあげるといいでしょう。
***

今回は、花粉症などのアレルギー性鼻炎の裏にある「かくれ鼻づまり」の正体や、慢性的な鼻炎が与える睡眠への影響についてお伝えしました。

続く後編では、「モーニングアタック」と呼ばれる自律神経の切り替えによる鼻づまりの症状が起きるメカニズムや、「かくれ鼻づまり」の対策やおすすめの睡眠環境について黄川田先生に伺います。

●書籍紹介



『鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法』
いびきをかく、夜中に目が覚める、寝つき・寝起きがよくない、昼間眠い、寝ても疲れが取れない……それは「かくれ鼻づまり」が原因かもしれません。

「かくれ鼻づまり」を改善することで睡眠の質を高める方法を、自宅でできるかんたん「鼻洗浄」トレーニングとともに第一人者がやさしく教えます。

大人にも子供にも役立つ本で、花粉症、睡眠時無呼吸症候群にも効果が期待できます。「かくれ鼻づまり」チェックリスト付き。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08Y8NWFZ4/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_tkin_p1_i0
   

医療法人社団アドベント理事長、鼻のクリニック東京院長

黄川田 徹先生

患者の負担軽減を目指し、国内に先駆けて内視鏡技術を鼻の手術治療に取り入れ周辺機器の開発や術式の開発に取り組む。1997年、慢性鼻炎に対する新しい手術治療として「内視鏡下後鼻神経切断術」を世界で初めて開発、また従来1週間程度の入院が必要とされる鼻・副鼻腔手術を全身麻酔下にて日帰りで実現するなど、 今ではスタンダードな耳鼻科治療を確立してきた。現在も世の中の鼻づまりをなくすべく手術治療に力を注ぐ。

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