夜間のおむつ、いつ外す?小児科医に聞く子どものおねしょのメカニズム&対策
おむつを卒業してトイレで排泄するためのトイレトレーニング。日中のおむつが外れたからと、夜もパンツにしてみたものの、朝には布団が濡れていた…なんてこともこの時期にはよくあることです。「夜のおむつはいつ卒業すべき?」と、悩みを抱えているお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。
今回は昭和大学藤が丘病院でおねしょ・おもらし外来を担当している小児科医の池田裕一先生におねしょのメカニズムと対策について教えてもらいました。
子どもがおねしょするのは当然!おねしょのメカニズム
一般的にはおねしょが多い時期は乳幼児期と言われていますが、小学生になっても時折おねしょをしてしまうという子もおり、身体の発達と同様に個人差があるようです。「昼間のおむつを卒業できても、夜におねしょするのは自然なこと」と話してくれた池田先生は、おねしょのメカニズムについて、「身体とホルモンの発達」が関係していると話します。
「乳幼児の子どもの膀胱は2〜3時間分くらいの量しかおしっこを溜めておけないため、睡眠時におねしょをしてしまうのは当然のことです。また、幼少期は夜間のおしっこ量を減らす“抗利尿ホルモン”の分泌も十分でないため、膀胱の容量を超えたおしっこが作られて、時間とともにあふれてしまうんです」(池田先生)
大人は夜に尿意を感じると目を覚ましますが、子どもの身体は本能的に睡眠を優先するため眠りが深く、寝ながら排尿してしまうとのこと。しかし成長に伴って、徐々に膀胱が発達し、抗利尿ホルモンも分泌されるようになってくるため、おねしょの回数は減っていくそうです。
ただし、その成長には個人差があり、3〜4歳でおねしょが減る子もいれば、10歳くらいまでおねしょが続く子もいると池田先生。「焦らずに子どもの個性として見守ることが大切です」と話してくれました。
日中の水分補給でおねしょが改善!?日常生活でできる対策
おねしょ対策の一つとして「昼間の水分補給を十分にすること」と話す池田先生。
「おねしょを頻繁にする子の中には、昼間にあまり水分を摂らないという子が多いです。そうすると、夕方には体が軽い脱水状態になり、夕飯後から寝る前までにたくさんの水分を欲しがります。夕方以降に水分を摂り過ぎると、夜間におしっこがたっぷり作られてしまい、おねしょしてしまう可能性が高まります」
日中に水分補給をしっかりできるようになれば、自然と寝る前に過剰に水分を摂らなくなってくるそうです。「うちの子、寝る前に水分を摂りすぎかも?」と思ったら、昼間の水分補給を見直してみるのも良さそうです。また、味付けの濃い食事も喉が渇くため、薄味のものがおすすめとのこと。
「炭酸飲料やジュースに含まれる糖分、スポーツドリンクに含まれるナトリウムなどは、利尿作用を高めておしっこをたくさん作ってしまうので注意しましょう。夕方以降はノンカフェインのお茶やお水がおすすめです」(池田先生)
怒らない、起こさない、我慢させない。おねしょ対策のNG例
精神的なストレスもおねしょに影響するため、「寝る前に子どもを怒らないように」と池田先生は注意を促します。
「恐怖や緊張を体験すると、交感神経が優位になり膀胱機能が不安定になるため、トイレが近くなります。寝る間際に親に怒られたり『おねしょをしたらどうしよう』という不安を植え付けてしまったりすると、かえっておねしょをしやすくなってしまうので気をつけましょう」(池田先生)
おねしょをしてしまうのは無意識のこと。わざとやったことではないのに怒られると、子どもはストレスを感じてしまいます。おねしょをしてしまったことへの反省ではなく、対策を考えることが大切だそうです。
また、おねしょをすることを心配して、夜中に子どもを無理やり起こしてトイレに連れていくことや、「膀胱を大きくするために」と日中にトイレを我慢させることもNG。
「子どもの成長のためには夜の睡眠を中断させないことのほうが大切です。また、日中どれだけ我慢しても膀胱は大きくなりません。むしろ我慢させることで膀胱炎や、うまくトイレができなくなってしまう可能性もあるんですよ」(池田先生)
「夜のおしっこが週1〜2回になったら」おむつを外すタイミング
日中のおむつが外れて、寝る前に履かせたおむつが朝まで濡れなくなってきたら、おむつを外すタイミングです。「おねしょが週1〜2回程度に減ってきたら、夜間のおむつを外してみましょう。もしものことが心配なら防水、吸水シートをシーツの下に敷くのがおすすめ。失敗してしまった時に親が負担にならないことも重要です」(池田先生)
¥2,750(税込)
子どもがおねしょをしてしまったときは、「結果よりやったことに注目」することが大切なのだそう。「おねしょをしちゃったけど、昨日寝る前にトイレでおしっこできてえらかったね」「夜寝る前のお水を少なくできてえらかったね」と褒めてから、「次にできることは何かな」と問いかけることで子どもの心を傷付けず、次のステップに進めるそうです。
「5歳のお子さんで約15%、小学校低学年でも約10%がおねしょをしています。未就学でのおねしょは、まだ成長過程なので気長に見守ってあげてください。おねしょの回数が減らないなと感じたら、まずは夜寝る前の水分を控えてみたり、夕飯の味付けを濃くしすぎないなど工夫しながら様子を見てみましょう。それでも改善しないようなら小児科やかかりつけのお医者さんに相談してみるのが良いと思います」(池田先生)
5歳を過ぎても頻繁に続く場合、「夜尿症」として診断されることもあり、抗利尿ホルモンの不足を補う治療や、夜間の排尿をコントロールするアラーム療法という治療で改善していくそうです。
子どもの成長速度は人それぞれ。まずは「怒らず、焦らず」をモットーに、見守ってみてはいかがでしょうか。
医師。昭和大学医学部小児科教授
池田裕一 先生
昭和大学藤が丘病院小児科でおねしょ・おもらし外来を担当。小児科HP上におねしょ・おもらし相談室を開設し、おねしょやおもらしで悩む多くの保護者からの質問に回答する。日本小児泌尿器科学会理事、日本夜尿症学会理事、第29回日本夜尿症学会大会長。 すいみんトラブルどっとこむ おしっこトラブルどっとこむ
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