2023年06月02日 カテゴリ:眠り

食後に眠くなるのはなぜ?血糖値スパイクと眠気の関係を医師が解説!

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食後に眠くなるのはなぜ?血糖値スパイクと眠気の関係を医師が解説!
「昼食を食べた後、ウトウトしてしまう」「夕食後にテレビを見ていたら、いつの間にか眠ってしまっていた」。このような経験がある方も多いのではないでしょうか。食後に起こる眠気の原因として、血糖値の変化が関係しているんです。

今回は「Alohaさおり自由が丘クリニック」院長の藤堂紗織先生に、血糖値と眠気の関係について解説していただきました。

 

「血糖値」が高まると眠気を感じやすくなる

まずは食後に感じる眠気について藤堂先生によると下記のような原因があるそうです。

「食後に眠気を感じる原因として、2つの理由が挙げられます。1つは、消化を促すために脳から胃腸に血液が集中するから。もう1つは、食事をすることで、血糖値が上がるからです」

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のこと。糖分やご飯やパンなどの炭水化物が体内に入ると、ブドウ糖として血液中を流れ、血糖値が上がります。そして、脳や体のエネルギーとして使われることで、血糖値は下がっていきます。このように、血糖値は1日の中で上昇と下降を繰り返しています。

血糖値と密接な関係性にあるのが、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモン物質。インスリンは血糖値を一定の数値に保つために働き、上がった血糖値を下げてくれる存在です。

「誰しも食事をとると血糖値が上がるため、食後に眠くなるのは、年代や男女問わず、共通して言えることです。正常に血糖値が下がってくれば、眠気も感じにくくなるはずです」

しかし、中には「耐えがたい眠気で悩んでいる」という人や「食後だるくて仕方がない」という人も。このような食後の強い眠気や倦怠感に対して、藤堂先生は「血糖値スパイク」の可能性があると注意を促します。

 

体や内臓を疲弊させる…?「血糖値スパイク」にご注意を!

普段から緩やかに上昇と下降を繰り返している血糖値ですが、食事のとり方によっては、急激に上がったり下がったりしてしまうことも。このような状態を「血糖値スパイク」と呼び、強い眠気を引き起こすだけでなく、内臓にもダメージを与えてしまう可能性があるそうです。

「血糖値スパイクは、ダイエット中で朝ごはんを抜いてしまう方や、忙しくて朝ごはんや昼ご飯を抜いてしまったりする方に多くみられる傾向にあります。食事を制限すると低血糖の状態が長く続き、体の中でブドウ糖が枯渇した状態になります。その後、食事をすることで血糖値は急上昇。これに伴い、インスリンも大量に分泌され、急激に血糖値が下がってしまいます。このような血糖値の乱高下により、食後の強い眠気やだるさだけでなく、めまいや気分の悪さが引き起こされることもあるのです」

血糖値スパイクを繰り返すと、徐々にすい臓が疲弊し、インスリンの分泌量が減少。最終的には、正常に血糖値を処理できなくなり、糖尿病へとつながってしまう危険も。

 

血糖値を「緩やかに」上下させる食習慣をご紹介


血糖値スパイクを予防するためには、「食べ方が大切」と話す藤堂先生。血糖値が上がりやすいご飯やパン、めん類などの炭水化物から食べるのではなく、まずは野菜やキノコ、大豆食品などから食べることで血糖値の急激な上昇を抑え、緩やかに上昇と下降ができるようになるそうです。

「大切なのは、低血糖の状態から一気に血糖値をあげないこと。小さなおにぎりやキャンディーなどを持ち歩き、小まめに食べることもオススメです。食後に強い眠気やだるさで悩んでいる方は、空腹を強く感じることのない食生活を心がけてみてください」

血糖値スパイクの症状を改善するためのアドバイスとして、「食事を抜かないこと」と「食べる順番を意識すること」を挙げてくれた藤堂先生。特に、朝、昼、晩で食事ができていない人は、空腹を強く感じ、1回の食事の量が3食食べている時よりも多くなってしまう傾向にあるため、注意が必要とのことです。

 

食後の眠気と血糖値スパイク対策には軽い運動もオススメ

食後の眠気は高血糖のサイン。予防するのは難しくても、食べる順番や食事の内容で、改善が期待できるかもしれません。また、食後にウォーキングなどの軽い運動をすることで、血糖値が下がりやすくなるそうです。

また睡眠は糖尿病の予防にも重要な要素。可能であれば、食後に15〜30分程度の仮眠を取ることもオススメ。短時間でも脳と体を休めることで、気分がスッキリし、効率的に仕事や授業などに取り組めるでしょう。

「睡眠の質も血糖値に影響を与えます。よく眠れていない人は、夜間の血糖値の変動が大きくなり、血管の壁が傷つきやすくなってしまいます。昼食後の仮眠は、夜の睡眠にも良い影響を及ぼします。このような観点からも、睡眠環境を整えることを、日頃から意識しておくと良いでしょう」

血糖値の乱高下がない食生活とともに、質の良い睡眠や軽い運動など、正しい生活習慣を送ることを、日常的に意識しておきたいものですね。
 

Alohaさおり自由が丘クリニック

藤堂 紗織 先生

日本医科大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院で研修後、腎臓内科学教室に入局。その後、善仁会丸子クリニックにて10年院長勤務。透析治療に携わる。 令和元年にAlohaさおり自由が丘クリニックを開業。

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