2021年04月29日 カテゴリ:眠り

あなたの寝相は大丈夫? 睡眠の専門家が教える「良い寝相・悪い寝相」

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あなたの寝相は大丈夫? 睡眠の専門家が教える「良い寝相・悪い寝相」
「あなたは本当に寝相が悪いですね」なんて言われた経験のある人は少なくないはず。ですが、そもそも「寝相の良し悪し」とは、どのように判断されるものなのでしょう?
良い寝相の定義から悪い寝相を引き起こす理由、さらにはアクロバティックな寝相に隠れた疾患まで、教えてくださるのは睡眠学の研究者・有竹清夏先生です。
 

良い寝相は仰向け!うつぶせ寝の人は要注意

「言うまでもなく寝相とは、寝ているときの格好のこと。睡眠の研究者は『寝姿勢』と表現しますが、理想的な寝姿勢とは、寝具の上でも自然に直立したときの姿勢を保てている状態を指します。なかでも特に重要なのが、後頭部から首筋、肩口にかけて生じるS字のカーブが再現されていることです」(有竹先生)

直立したときの姿勢を寝具の上でも保つ。すると理想的な寝姿勢は仰向け。仰向けで寝ると身体に余分な力が入らず、負担が少なくなります。

では、有竹先生の指摘するS字のカーブが再現されていないと、どうなるのか。後頭部が上がりすぎても下がりすぎても気道が圧迫されたり、首や肩・胸の筋肉に負担がかかり呼吸がしづらくなります。無意識の寝相が、睡眠中の呼吸に影響を及ぼすことがあります。

「理想の寝姿勢は仰向けですが、横向き寝が好きな人も、うつぶせ寝が好きな人もいますよね。好みの寝姿勢をとることで心地良く眠れる人もいるため、あまり神経質になる必要はありませんが、それでもうつぶせ寝を好む人は少し要注意です」(有竹先生)

うつぶせ寝に注意が必要なのは、睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースがあるから。睡眠中、頻繁に呼吸が止まってしまう病気ですが、うつぶせ寝をすると気道が開き、呼吸がしやすくなるそう。睡眠時無呼吸症候群の人は、仰向けでは気道が閉塞してしまうため、無意識にうつぶせ寝を選んでいる、というわけです。

 

子どもは寝相が悪い!その理由は多すぎる寝返りにあり

寝相とは、寝ているときの姿勢のこと。ただし、私たちが「寝相が悪い」というとき、それは寝ている最中の動きを指しているはずです。

「寝ているときの動きといえば、寝返りですよね。寝返りのことを『寝相が悪い』と表現する人もいますが、寝返りは私たちに必要な動作。その動きによって身体にかかる圧力を分散してマットや敷布団に接触・圧迫する部分の血行不良や痛みをやわらげると同時に、体温調節や寝床内の熱が一カ所にたまらないよう温度を一定に保つなど、温度調節の役割も担っているのです」(有竹先生)

理想的な寝返りの回数は、一晩に20回程度。少なすぎても多すぎても良くありません。少なすぎると良くない理由は先生の指摘する通り、身体にかかる圧力の分散や温度調節ができなくなるから。反対に多すぎる場合には、その動きによって眠りが浅くなってしまうからです。

「寝返りが少ない原因として考えられるのが、ベッドや布団、枕のサイズが小さいなどご自身に合っていないこと。その狭さゆえに窮屈さを感じ、無意識に身体の動きを制限している可能性があります。逆に寝返りが多い原因として挙げられるのが寝具の重さや重ねすぎ、季節に合わない寝具を使用することによる暑さです」(有竹先生)

そうした寝苦しさを解消しようとする動きが、多すぎる寝返りを引き起こしますが、「大人に比べ、子どものほうが寝相が悪い」という印象をお持ちの方も多いはず。

「乳幼児は大人に比べ、体温が高めですよね。体温調節の機能が未発達のために部屋の温度が高ければその影響を受けて体温も上がりやすくなっています。そのため暑さを感じやすく、体温調節をしようと動きが激しくなります。また、乳幼児は口呼吸が未発達。鼻づまりを起こしても口呼吸によるカバーができず、呼吸がしづらくなります。呼吸のしづらさが寝苦しさに直結し、多すぎる寝返りや激しい動きの一因となるのです」(有竹先生)

寝具の調節をしても改善が見られない場合には、アレルギー性鼻炎や睡眠時無呼吸症候群といった疾患の可能性もあるので、医師に相談することが大切。有竹先生によれば、睡眠中の息苦しさを解消するため、無意識に反り返るような動きを見せるお子さんもいるそうです。

 

見過ごしてはいけない!大人の激しい寝相に隠れた疾患



私たちに必要な動作である寝返りですが、大人の場合でも、睡眠中にあまりに激しい動きをするようなら要注意。思わぬ疾患が隠れているケースがあります。

「ベッドから落下したり、隣に寝ているパートナーを強くぶってしまったり。こうした激しく、アクロバティックとも言えるような寝返りを繰り返す人に疑われるのが、レム睡眠行動障害です。これは睡眠中、夢と同じ行動を取ってしまう病気で、特に50歳前後の男性に多く見られます」(有竹先生)

病名にあるレム睡眠とは、脳は目覚めかけているのに対し、身体は脱力した状態のこと。夢を見るのは主にレム睡眠中ですが、身体は脱力状態にあるため、本来は夢と身体の動きは連動しません。それがレム睡眠行動障害の場合、レム睡眠の状態でも身体が脱力せず、夢の通りに身体を動かしてしまうのです。

すると寝返りの範疇を超えるように身体の動きが激しくなり、睡眠中にケガをする危険性も、パートナーに危害を与える可能性も高まります。夢の動きに応じ、窓から飛び降りてしまった患者さんもいるといいます。

「激しい動きのほかに、大声による寝言も特徴のひとつ。睡眠中にこうした異常行動が見られる場合には、躊躇せずに医療機関を受診しましょう。服薬による改善が見込めるだけでなく、レム睡眠行動障害は、パーキンソン病やレビー小体型認知症の前兆の可能性があるからです」(有竹先生)
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「寝相は、睡眠の質を映し出す鏡とも言えます」と有竹先生。理想的な寝姿勢をとることができ、理想的な寝返りを打てていれば、その人は理想的な睡眠を取れているはずです。

そうでない場合には、寝具や寝室の環境を見直すことで改善が見込まれますが、今回、先生が教えてくださったように、激しい動きを伴う寝相には、放っておいては危険な疾患が隠れているケースもあります。

そのため、日常的に熟睡感を得られず、日中のパフォーマンス低下を感じている人は、ご自身の寝相をチェックしてみてください。パートナーに確認してもらうのはもちろん、睡眠外来でも、寝相に伴う睡眠の質を検査してもらえます。
 
眠くなったり寝つきが悪くなったりと、質が下がりがちな春の睡眠。ご紹介した原因と改善方法を参考にして、今年はぐっすり眠れる春を目指してみてくださいね。
     

埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科・保健医療福祉学部健康開発学科 准教授

有竹清夏 先生

睡眠学・臨床生理学・時間生物学を専門分野に、睡眠中の生理機能について研究。運動が睡眠中の生理機能や認知機能にもたらす効果の解明に取り組むほか、女性の月経周期と睡眠問題の関連性についての研究も行う。

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