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布団屋さんが教える寝具についたシミの落とし方

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布団屋さんが教える寝具についたシミの落とし方
敷き布団・掛け布団・枕などの寝具は、汗や皮脂汚れ以外の汚れがついてしまうことも…。特に経血や、寝ている間に引っ掻いてしまってついた血液汚れ、うっかりこぼしてしまった赤ワインなどの色の濃いシミはどのようにして落とせば良いのか迷うところですよね。 今回はnishikawaの品質管理部で製品の品質チェックなどを担当する小瀧奈美に、寝具のシミの落とし方について教えてもらいました。

シミ抜きの基本は、「汚れの種類」と「洗剤の種類」を確かめることから!

――まずシミを見つけたら、どのように対処すれば良いでしょうか?
 
小瀧:シミ汚れに適した洗剤を選ぶために、まずは「何のシミだろう?」と汚れの種類を推測してみてください。汚れは、水溶性・油溶性・不溶性などさまざま。水洗いをしても落ちない場合、汚れの種類によって洗剤を使い分ける必要があります。
 
汚れの種類
・水溶性汚れ…コーヒー、ジュース、ワインなど
・油溶性汚れ…ボールペン、口紅、サラダ油など
・不溶性の汚れ…泥、ホコリなど
・たんぱく質汚れ…血液、牛乳、皮脂など
 
見た目で汚れの種類が判別できなければ、少量の水をつけてみてください。水を吸えば「水溶性」、吸い込まなければ「油溶性」です。また、バターやサラダ油などの油脂分が多いシミに水を乗せたときは、油分によっては半透明になるケースもあるので、その場合も「油溶性」と判断して良いでしょう。判断がつかない場合は、油溶性のシミの落とし方から試してみましょう。シミがついて時間がすぐであれば、水やぬるま湯に浸けておくだけで汚れが浮いてきて、きれいにすることができます。
 
気をつけたいのが、血液や牛乳などのシミ。たんぱく質は時間の経過とともに固まって繊維に固着し落ちにくくなります。また、熱をかけてしまうと固まってしまい、汚れが落ちにくい状態になります。シミ抜きの際は、水か人肌程度のぬるま湯を使うと良いでしょう。
 
――水洗いのみで落ちるシミもあるのですね。
 
小瀧:そうですね。シミは「ついたらすぐに水に浸けおきする」ことが、きれいに汚れを落とすためのポイントです。時間が経ってしまったシミは酸化し、成分が変化して落ちにくくなってしまいます。水に浸けてみても落ちない汚れなら、「洗剤」の出番です。
 
――どの洗剤を使えば良いのでしょうか?シミ抜きには「漂白剤」と考えてしまいがちですが…。
 
小瀧さん:「シミ抜き=漂白剤」と考える方も多いですが、使い方を間違えてしまうと、かえってシミを広げてしまったり、生地を傷めたりする原因になります。まずは「洗剤の種類」について確認してみましょう。
 
弱アルカリ性洗剤
中性洗剤に比べて洗浄力が高く、油汚れやたんぱく質汚れの洗濯に向いてます。スポーツなど、泥や皮脂汚れが目立つ場合は弱アルカリ性の粉末洗剤がおすすめです。
 
中性洗剤
ウールやシルクなどに使えるおしゃれ着洗剤。弱アルカリ性洗剤に比べて衣類への負担が少ない。
 
漂白剤
繊維に残ってしまった色素汚れなどの除去に用いる。同じ液体漂白剤でも塩素系と酸素系があるので、用途に合わせて選ぶのがオススメ。
 
――同じ洗剤でも洗浄力や素材、汚れに適した特性があるのですね…!
 
小瀧:そうなんです!たとえば外遊びや屋外での部活動をしているお子さんがいる家庭なら、しっかり汚れを落とせる粉末の「弱アルカリ性洗剤」が適していますし、日常的にそこまで際立った汚れがないようなら、液体の「弱アルカリ性洗剤」を使うなど、汚れに応じて洗剤を選んでいただけると良いと思います。
 
汚れに適した洗剤を選ぶということと同時に、洗剤のパッケージに記された「用途欄」にも注目してほしいです。綿・麻・化学繊維などの普段着用と、ウールやシルクなどのデリケート用などに分かれていることがあるので気をつけてください。



衣類に付いている取り扱い表示について、三角形の絵表示がありますが、これが「漂白剤」についてのマーク。三角形に斜線が2本のものは酸素系漂白剤に使用できますが、塩素系漂白剤には使用できません。さらに酸素系漂白剤には粉末と液体があり、ウールやシルクなどは粉末の酸素系漂白剤には使用できないので、使用前に洗剤の表示を確認することも大切です。また、三角マークにバツがついている物は「漂白洗剤は使用できない」という表示なので、注意しておきましょう。
 
――洗剤パッケージに記される表示は要チェックですね!洗剤を使ってシミ取りを行うときに気をつけるポイントはありますか?
 

 
小瀧さん:シミ部分に少量の洗剤を塗布し、白い生地やタオルを当ててシミの裏側から綿棒や古くなった歯ブラシ、ハンカチなどで優しく叩きます。汚れを白いタオルに移すようなイメージです。
 
このときに「ゴシゴシこすらないこと」が重要。素材が毛羽立ち、生地を痛めてしまう可能性があるため、優しく叩き、下に敷いた生地に汚れを移すことを意識しましょう。特にガーゼやシルク素材などのデリケートな生地は、丁寧に扱わないと毛羽立ったり、生地目が寄れてしまい外観を損ねてしまうので要注意です。

 

寝具についてしまった血液やワインなどの濃いシミの落とし方

――寝ているときに、シーツや枕カバーに付着してしまった血液汚れを取るにはどうしたら良いでしょうか?
 
小瀧:血液はたんぱく質汚れなので、熱っさないことが大切です。汚れに気がついたらすぐに洗濯できれば良いのですが、難しいという場合は、洗面器などに水またはぬるま湯を張り、汚れ部分を浸けおきしてから出掛けましょう。
 
水に浸けおきしても、汚れが浮いてこないようなら洗剤を使用します。血液の主成分はたんぱく質なので「酵素」成分入りの洗剤がオススメ。たんぱく質を分解し、汚れを落としやすくしてくれます。ただしウールやシルクなどの「たんぱく質繊維」には使用できません。綿・麻・ポリエステルであれば酵素入りの洗剤がオススメです。
 
――血液汚れには生地により「酵素入りの弱アルカリ性洗剤」が最適ということですね!ワインをこぼしてしまった場合はどのように対処したら良いですか?
 
小瀧:ワインは水溶性汚れなので「弱アルカリ性洗剤」が適しています。前述した通り、血液などのタンパク質汚れに高温のお湯はNGですが、ワインのシミは高温でも大丈夫。洗剤は高温にするほど汚れを落としやすい性質があるので、まずは火傷しない程度の湯に洗剤を溶かし入れて10〜20分程度浸けおきをして様子を見てください。
 
弱アルカリ性洗剤以外でも、ワインと同じアルコール成分の「エタノール」などで汚れを落とすこともできます。特に赤ワインがシミになって時間が経過してしまうと、きれいに落とすのが難しいです。弱アルカリ性洗剤やエタノールでも落ちなかった場合は、漂白剤を使ってみてください。
 
ただしシミ抜きの際は洗剤同士を混ぜないこと。必ず一種類の洗剤を少量ずつ使用して試してみてくださいね。
 

洗濯しにくい寝具はライフルタイルに応じて選ぼう

――毛布やマットレスなど浸けおきや丸洗いができない寝具はどのように汚れを落としたら良いですか?
 
小瀧:濡らした白いタオルでつまみ取るようにして汚れを落とします。このときも濡れタオルで汚れが落ちないようなら、洗剤を使用してつまみ取るように汚れを落とし、再度濡れタオルで洗剤成分を拭き取りましょう。汚れを落としたあとは、濡れたままにしているとカビの原因になるため、しっかり乾かしてくださいね。
 
寝具の場合、「事前の汚れ対策」がオススメです。子育てや介護などで寝具汚れが頻繁という家庭なら、丸洗いしやすい敷きパッドをあらかじめ敷いておいたり、汚れがつきやすい部分にバスタオルを敷くなどして、丸洗いしにくい敷き布団やマットレスへの汚れの浸透を防ぎましょう。
 
ひと手間かけることで汚れ落としはだいぶ楽になるはずです。血液汚れや、ワイン汚れ専用の洗剤など、特定の汚れに特化した洗剤もあるので準備しておくのも良いでしょう。
 
     

品質管理部

小瀧奈美

販売前の製品の品質チェックを行う。「生理人類学的方法により生活環境についてアドバイスを行う専門家」であるアメニティスペシャリスト(生理人類士準1級)。

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