北欧、暮らしの道具店 羽毛布団特集 後編 北欧、暮らしの道具店 羽毛布団特集 後編

「なんとなく」から卒業!
「眠り」を見つめなおした
スタッフ宅を訪れたら……

ライター 長谷川賢人

実は手間いらず? 
知っておきたい、お手入れのこと。

齋藤さんがぶんぶんと布団を振っていた、というように、実は「布団のお手入れ」は知っていそうで知らない話。そこで、前編でもお話を伺ったnishikawaの長谷川に、日常のお手入れ方法を教わりました。

長谷川:
「基本のケアは、月に1~2回くらい掛け布団カバーをつけたまま日光に当ててください。朝早くだと夜露で湿ってしまうので、乾燥した昼間がおすすめです。時間は、片面1時間ずつで、途中で返してくださいね。湿気を取って、日光での殺菌効果も期待できます」

これには齋藤さんも「長々と干さなくていいんですね!」と驚き。片面1時間ずつで済むなら、休日のお掃除ルーティンに組み込むのもかんたんそうです。

長谷川:
「衣替えなどでしまう際には、布団圧縮袋はできるだけ使わないでください。羽毛は一度形が崩れてしまうと、同じようにふっくらとは戻りません。やむを得ず圧縮袋を使う場合は、よく乾かして、空気を抜き切らないくらいで保っていただくと、ダメージが減ります。

布団をお買い上げいただいたときの収納袋に入れて、なるべく高い場所に置いてください。収納袋がなければ、シーツで風呂敷包みにするのもいいですね」

収納袋にしまう際に、nishikawaの布団であれば、「縦に3つ折りしてから、横に3つ折り」で、きれいに入るそう。

長谷川:
「クリーニングに出すのも最小限に。汚れた部分があれば、基本的にはふき取るように。濡れた汚れは部分洗いをして、広範囲な場合はクリーニングに。もし、干しているときに雨に降られたら、急いで部屋へ戻して、扇風機の風に当てるなどして乾きやすくしてください」

一昔前のテレビドラマやアニメで見たシーンですが、布団を干してパンパンと叩く必要もありません。むしろ、叩くと羽毛が傷んでしまうので逆効果なのだとか……。

羽毛布団は、どれでもいい
わけじゃないと実感しました。

さてさて、ところ変わって、こちらはスタッフ塩川さん宅。夫との二人暮らしで、現在はダブルサイズのベッドに並んで寝ています。掛けているのは、引っ越しを機会に家具店で「なんとなく」買った羽毛布団でした。

スタッフ 塩川さん:
「これまでは夫婦でひとつの布団を共有していたのですが、今回『ひとり1枚ずつ』かけてみて、布団が睡眠の質に直結することを実感しました。

nishikawaの羽毛布団は、弾力があってふかふかで、しっかり中身が詰まっているのに、軽い!包みこまれる感じがあって、一瞬で寝落ちしそうです(笑)

付属品のダウンパスポートに、テンションが若干上がりました。お手入れ方法などがネットで調べなくてもだいたい書いてあるから、安心して使い始められるんです」

塩川さんが感じた「詰まっている」は、nishikawaでも気をつけているポイント。業界基準としては「羽毛は表示量から±5%の増減はOK」でも、nishikawaは必ず表示量以上を込めるようにしているといいます。

ずっと1枚の布団で寝ていたので「布団奪い戦争」は終焉を迎えられそう……と、スタッフ塩川さんは嬉しそう。「いっそのことベッドもシングル2つにしたいですね」と言いますが、実は体格などから考えると、それは良い選択肢。

スタッフ 塩川さん:
「カバーを外しても、生地が白くてシンプルなのも良いですね。ゴージャスな花柄のテキスタイルでないのも、個人的に地味に嬉しいです。柄があると、白いカバーだと透けちゃうことがあるから」

実際に眠ってみると、すっかり「布団から離れがたい朝を日々迎えております」と白状(?)してくれました。

座り心地の良いソファがお部屋の特等席になるように、離れがたい布団もきっと特別な場所のはず。
使われている羽毛などによっても異なりますが、今回スタッフ齋藤さんと塩川さんが迎え入れたものは5万円ほど。まさに、上質な家具ひとつと同じくらいの価格帯なのは、過ごす時間の長さを思うと、しつらえとして考えたくなる選択肢といえそうです。

スタッフ 塩川さん:
「夫も、私も、とにかくこの『包まれている感』の大ファン。朝夕が冷え込む季節でも寒さで目が醒めることなく、ぐっすり眠れています。適度な通気性もあるからか、寝苦しさがなくなりました。

とにかく睡眠に関する満足度が、ぐんと上がりました。真冬になるにつれ、良さをもっと体感できると思うので楽しみです」

ちなみに、寒い時に毛布を重ねる場合は、素材によって上下を選ぶと良いそう。アクリルなど湿気を吸いにくいものはあたたかさを閉じ込めるイメージで、布団の上に。天然素材なら吸湿・放出をするので羽毛布団の下に掛けましょう。

早く起きられた朝、それからお休みの日には、手動式のコーヒーミルで好きな豆を挽いてコーヒーを味わうのが、スタッフ塩川さんの楽しみ。

軽い布団で心地良く眠り、体も軽くなってみると、好きなコーヒーの風味もより愛せるようです。

スタッフ 塩川さん:
「寝具の必要性が本当によくわかりました。睡眠の質をもっと上げるべく、今後はベッドもダブルから、夫婦でシングルひとつずつ変えようかなと検討中です」

毎日のことだから。
私にフィットする羽毛布団を選びたい。

さぁ、ベッドへ行きましょう。目から刺激を加えないように、スマホは30分前くらいでおしまいに。温かみのある電灯色の明かりを、うすくつけて。

眠りを誘うときの読書は、どきどきするミステリーではなく、何度も読んで親しみのある一冊か、やさしい言葉の物語がいいそうです。心に文字が落ちるころ、体温が布団にも移っていきます。身をよじって「あったかい……」と胸に広がる、心地良さ。

体にも、心にも、フィットする寝具を選び取ること。毎日の3分の1を過ごす、眠りのための寝具の上は、どんな部屋より、どんな家具より、ずっとずっとあなたにとって大切で、日々や、時間や、人々を、もっと愛するために見つめる道具なんだと思います。

今夜も、おつかれさまでした。明日のわたしのために、今日の私を労う、良い眠りを贈りましょう。

(おわり)

【写真】木村文平

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2018年11月13日~に「北欧、暮らしの道具店」にて掲載
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この記事は2018年11月に書かれたものです。
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