皮膚は第3の脳!?「ふかふかタオル」で幸せを感じよう!
2019.08.15
知る肌触りの良いものを触っていると、心が落ち着いたり、癒やされたりしますよね。はたして本当にカラダに良い影響を与えているのか、脳と皮膚の関係を研究している山口創先生に伺いました!
桜美林大学教授
山口創 先生
健康心理学・身体心理学専攻、早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。聖徳大学人文学部講師を経て、現在は桜美林大学教授。「触れる」をテーマに研究を続ける。著書に『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『手の治癒力』(草思社)など。
健康心理学・身体心理学専攻、早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。聖徳大学人文学部講師を経て、現在は桜美林大学教授。「触れる」をテーマに研究を続ける。著書に『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『手の治癒力』(草思社)など。
皮膚は「第3の脳」
以前は「皮膚=膜」という認識だったのですが、研究を重ねるうちに、皮膚自体がホルモンを生成し、このホルモンが血中に入って脳に影響を及ぼしていることがわかりました。つまり、脳から独立して活動しているのです。このことから、同じく脳から独立している腸を「第2の脳」、続いて皮膚を「第3の脳」と呼ぶようになりました。
心地の良いものを触るとストレス軽減!?
皮膚が感じる“心地良さ”と脳の関係について、柔らかな肌着とゴワゴワの肌着を着比べる実験をしたところ、柔らかな肌着を着たほうがストレスホルモンが軽減することがわかりました。
ほかにもこんな実験をしました。まず10種類の異なる素材の布を用意し、どれが一番好きか・嫌いかを選んでもらいます。次に左手を氷水に浸け、右手で好きな素材あるいは嫌いな素材に触ってもらい、左手が感じる痛みを計測したところ、好きな素材を持ったときには痛みを軽減できたのです。
これらの実験結果から、肌触りの良いものを触っていると“幸せホルモン”と呼ばれる「オキシトシン」が生成され、ストレス軽減につながっている可能性があることがわかりました。肌触りが良いものは“心地良い”だけでなく、実際に安心感や癒しを提供しているのです。
“ストレスが軽減する触り方”とは?
「どんな素材をどのように触ったら、効率良く心地良さを感じられるか」を実験したところ、「秒速5cmくらいで動く、毛足の長い柔らかなもの」を触るときがもっとも心地良いという結果が出ました。人間には“柔らかなものだけに反応する神経線維”があり、これがもっとも良く反応するのが秒速5cmで動くこと、つまり“撫でること”だったのです。
また、人間の触覚は大きく2つに分かれます。
①触っているものがどういうものなのかを認識する触覚…手に多く、特に指先が一番敏感だと言われています。
②気持ち良さを感じる触覚…特に顔のあたりに多いと言われ、“柔らかなものだけに反応する触覚”もこれに含まれます。気持ち良さそうな素材を見つけるとつい顔を埋めたくなってしまうのは、この触覚があるからなんです。
また、この「心地良さを感じる触覚」は、安心感も感じることができます。毛足の長い柔らかなもの──つまり、ベルベット素材のものや毛足の長いタオルで顔を撫でると、もっとも効率良くストレス軽減をできることになります。ストレスを感じたらぜひ、試してみてくださいね!