専門家が教える、ワンちゃんの正しい拭き方
2018.04.19
使うペットと飼い主は以心伝心──そう思いたいところですが、ワンちゃんは言葉が話せないのも、また事実…。お散歩後やシャンプー後に行うお手入れも、実は愛犬の負担になっているかもしれません。
そこで今回は、ワンちゃんの正しい拭き方をご紹介。プロのドッグトレーナーが実践する拭き方を知れば、ワンちゃんとより良好な関係が築けるだけでなく、愛犬の健康を守ることにもつながりますよ!
遠藤エマ先生
“犬の気持ちになれる飼い主に”をモットーに活動する「ハッピードッグライフ・エマ」を主宰。ドッグトレーニングやトリミングの出張サービスを行うほか、ドッグトレーニングに関する講演やYouTubeを使った動画配信も行う。
“犬の気持ちになれる飼い主に”をモットーに活動する「ハッピードッグライフ・エマ」を主宰。ドッグトレーニングやトリミングの出張サービスを行うほか、ドッグトレーニングに関する講演やYouTubeを使った動画配信も行う。
頻繁なシャワーはNG!「タオルで優しく」がワンちゃん思い
お散歩から戻ったあと、ワンちゃんの足の汚れを落とすのにシャワーを使っていませんか?サッと汚れが落とせる手軽さはたしかですが、実は、あまり好ましい方法ではありません。シャワーによって肉球を潤している皮脂まで洗い流され、ひび割れの原因になるだけでなく、肉球の間に残った余分な水分によって雑菌が繁殖する恐れもあるからです。
これを避けるためにはシャワーは使用せず、タオルで拭くのが正解!大きなタオルを使うと、ワンちゃんが甘噛みを始めてしまうため、小さなハンドタオルを使いましょう。雨の日のお散歩や、よほど汚れてしまったときを除き、ハンドタオルでも十分、汚れが落とせます。では、手順を見ていきましょう!
ステップ1
濡らしたハンドタオルを使う
ハンドタオルは水で濡らし、かたく絞ります。ワンちゃんはひざの上に乗せた状態や抱きかかえた状態、もしくは床やトリミングテーブルに立たせた状態でも構いません。ひざの上に乗せる場合、ご自身の両太ももをきちんと密着させ、ワンちゃんを水平にして安定させることが大切です。
ステップ2
ワンちゃんの足を軽く持ち上げる
ハンドタオルを利き手にかぶせ、もう片方の手でワンちゃんの足を軽く持ち上げます。このとき、ワンちゃんの胴体に対して横に持ち上げるのはNG。痛みを与えないよう、胴体に対して前か後ろに持ち上げましょう。
ステップ3
足の裏全体をトントントンと優しく拭く
肉球と爪の間には、砂やゴミが溜まりやすいので要注意です。このときに使うのは、ハンドタオルをかぶせたほうの親指のみ。残りの4本の指と、もう片方の手でワンちゃんの足を支え、親指の腹で優しく、足の裏全体をトントントンと軽いリズムで汚れを拭き取りましょう。
ちなみに使用するハンドタオルは、パイルに爪が引っかかる事態を避けるため、毛足の短いタイプがオススメ。さらにお散歩中のケガを見落とさないよう、明るい色のタオルを選ぶこともポイントです。明るい色なら、小さな血の跡にも、すぐに気づけますよね!ワンちゃんの肉球はとても繊細。お散歩後には必ず、ケガがないかチェックしてあげましょう。
シャンプー後の拭き方は「ドライヤーを胸元にセット」と「タオルを併用」がポイント!
必要な皮脂を維持し、過剰なフケを防ぐためには、月に1回のシャンプーが理想的。ドライヤーとタオルを併用し、乾かす時間を短縮することで、ワンちゃんの負担を減らすことができます。
ステップ1
全身を素手で包み、撫でるように毛の水分を落とす
シャワーでシャンプーを流したら、まずは胴体・前足・後ろ足・頭・耳を、部位ごとに素手で包み、優しく撫でるように毛の水分を落とします。
ステップ2
乾いた場所に移動させ、全身をタオルで包む
素手で水分を落としたら、ワンちゃんが滑らないよう、水気のない場所に移動させます。お風呂でシャンプーをする場合には、浴槽のフタの上がオススメ!また、ここで使用するタオルは、大判かつ水分を吸い取りやすい、パイルが長めのタイプがオススメです。ワンちゃんの全身をタオルで包み、軽く揉むようにして拭いてあげましょう。
ステップ3
ドライヤーを胸元にセットし、フェイスタオルで撫でながら乾かす
ここからはドライヤーを使用し、しっかり乾かしていきます。ドライヤーを嫌がって逃げてしまうワンちゃんも多いため、トリミングテーブルに移動させるか、持っていない場合には狭い部屋で行いましょう。そしてドライヤーは、拭く人の胸元にセット。トップスの襟ぐりにドライヤーを差し込むと、両手が自由に使えます。片方の手にタオルを持ち、もう片方の手でワンちゃんのカラダを支えましょう。ここからはバスタオルだと大きすぎるので、フェイスタオルを使うと乾かしやすいです。
ドライヤーの風は「ホット」に設定し、腹部から乾かし始めましょう。特に体温調節がしにくい子犬や高齢犬は、お腹を冷やさないように先に乾かすと安心します。ワンちゃんが暴れないよう、カラダを支えながらドライヤーの風を当て、さらにタオルで毛の流れに沿って撫でながら水分を取っていきます。ワシャワシャ拭いてしまうと、毛玉の原因になるので要注意です。
ステップ4
乾きにくい指の間や、耳の穴までしっかりとケア!
毛に囲まれた指の間は特に乾きにくいため、足の根元を支え、前方からドライヤーの風を当てて乾かします。また、耳の穴の水分を取るには、カット綿やお化粧用のコットンを使用します。カット綿を軽くほぐして丸め、耳の穴に入れてあげましょう。すっと水分を吸収してくれるので、すぐに取り出してOK。これでシャンプー後のドライが完了!ふわふわの抱き心地に、飼い主さんも思わず笑顔になるはずです。
お手入れの時間もワンちゃんには不安要素!声かけを忘れずに
「足を拭くことも、ドライヤーの風を当てることも、ワンちゃんからすると“何をしているの?”と不安に感じることも…。そのため、飼い主さんが声をかけながら行うことが大切です。褒めるような声のトーンを意識すれば、それだけでワンちゃんも安心してくれますよ!」と、遠藤先生。
ワンちゃんのためにも、末永いペットライフを願う飼い主さん自身のためにも、ぜひ、実践してみてくださいね!