【ミシン不要】手縫いの刺繍で自分だけのタオルに。刺繍作家・小菅くみさんに聞く刺繍タオルの楽しみ方
2024.12.25
作る子どもの頃、ハンカチやバッグなどに刺繍を入れてもらっていた思い出はありませんか?
みんなと同じものでも、ワンポイントの刺繍が入っているだけで、急に愛着が湧いてきます。
今回は、ユーモア満載の刺繍作品が人気の刺繍作家・小菅くみさんに、刺繍の魅力やタオルに刺繍するポイントをたっぷり教えていただきました!
刺繍作家
小菅くみさん
日本大学藝術学部写真学科卒。動物や食べ物、人など、絶妙なセンスで選んだモチーフを質感や表情までリアルに表現した刺繍作品を多数発表。巧みな技術とユーモアあふれる作風で人気を集めている。イベントや個展も開催しており、2024年にはバンコクの展示会に出展。美術作品の他、アパレルブラドとのコラボレーション、衣装、広告、メディアなど活動の幅は多岐にわたる。2021年に『小菅くみの刺繍 どうぶつ・たべもの・ひと』(文藝春秋)を出版。
日本大学藝術学部写真学科卒。動物や食べ物、人など、絶妙なセンスで選んだモチーフを質感や表情までリアルに表現した刺繍作品を多数発表。巧みな技術とユーモアあふれる作風で人気を集めている。イベントや個展も開催しており、2024年にはバンコクの展示会に出展。美術作品の他、アパレルブラドとのコラボレーション、衣装、広告、メディアなど活動の幅は多岐にわたる。2021年に『小菅くみの刺繍 どうぶつ・たべもの・ひと』(文藝春秋)を出版。
いつものタオルに自分らしさをプラスできる「タオル刺繍」
日常的に使われ、プレゼントとしても選ばれることが多いタオル。
ワンポイントの刺繍を入れることで、何気なく持ち歩いていたタオルもオリジナリティ溢れる一枚になります。お気に入りのモチーフや手編みの刺繍が入ることで愛着が湧き、タオルを選ぶことも、持ち歩ことももっと楽しくなるはずです。
さらに、プレゼントするタオルに刺繍を入れることで、世界でたった一つの贈り物になります。
友人やお子さんのタオルには、名前や小さなモチーフを入れたり。
贈り手の感謝やお祝いの気持ちを刺繍として上乗せすることで、タオルプレゼントも特別なものになること間違いなしです。
小菅くみさんに聞く、刺繍の魅力
そんな刺繍の魅力と、タオル刺繍の方法を語ってくれるのは、刺繍作家の小菅くみさん。
餃子や焼きさんま、お弁当などの料理から、はたまた街角の人々まで写実的でユーモアあふれる刺繍の数々で日本のみならず世界で注目を集めています。
──そもそも、小菅さんが刺繍をはじめたきっかけはなんだったのでしょう?
小菅さん:はじめのきっかけは、手仕事が得意な祖母の存在でした。子どもの頃は油絵や和裁などをしている祖母の横に座って、見よう見まねで色んなことをやっていたのですが、その一つが刺繍だったんです。
そんな幼少期を経て大人になり、一般企業に就職したのですが、20代のときに難病にかかってしまって。そのとき、ベッドの上でできることを考えたら、少ない材料でコンパクトなスペースでも手軽に楽しめる刺繍がぴったりだったんです。
元々、刺繍が入ったお洋服も大好きなのですが、買おうと思うと値段が高かったりもしますよね。だから自分でできるように練習してみたら、少しずつ上達していきました。
はじめはあくまで趣味として、友達の洋服を預かってワンポイントを散らすように入れてあげたり、赤ちゃんに使うガーゼに刺繍を入れてあげたりしていたんです。
だから最初は仕事にするつもりはなかったのですが、周りから「オーダーで刺繍をする仕事をしてみたら?」と言われ、少しずつやるようになって。
──小菅さんの作品は、動物や食べ物、人など、刺繍としてはユニークな題材が多いですが、アイデアはどのように思いつくのでしょうか?
小菅さん:刺繍作家になった当初、ブローチにして販売する時に、他にないものを作りたいと思い、ユニークなデザインを考えるようになりました。
モチーフは常に考えていて、移動中やサウナに入っているとき、寝る前にも思い浮かんだりします。アイデアが浮かんだらすぐにメモするようにしています。
──今では本の出版や個展などで大人気の小菅さん自身も、刺繍をはじめた出発点は「手軽にできるから」という理由だったのですね。
小菅さん:そうですね。刺繍って見た目は難しそうに見えるけれど、やってみると実は簡単だったりするんです。だから、コツさえ掴めばどなたでも楽しめるはずですよ。
ちょっとしたひと手間で刺繍入りのアイテムをプレゼントすると、もらった人はとても喜んでくれるから、こちらも嬉しくなりますよね。
手縫いのタオル刺繍に必要なもの
移動中の電車でも、スペースがあれば刺繍をするという小菅さん。
道具の手軽さが刺繍の魅力の一つでもありますが、まずは何を揃えれば良いのでしょうか。
小菅さんが実際に使っている刺繍道具をお持ちいただきました!
【用意するもの】
・タオル
・ペン(細い油性ペンorチャコペン)
・刺繍糸
・刺繍針
・刺繍枠
小菅さん:刺繍糸は、手芸店で売っているコットン100%のものを使っています。100円ショップなどで買ったものだと切れやすいので要注意です。
刺繍糸は6本の束になっていることが多いので、4本分を刺繍針に通すのがおすすめ。
あまりに長く糸を通すと、途中で切れたり、糸がよれたりするので注意です。糸を肩幅くらいの長さに切り、針に糸を通します。また、刺繍枠はタオルの幅に収まるものを用意しましょう。
タオルに刺繍をするときのコツと注意点
──タオルに刺繍する際は、どんなところに気をつけたらよいでしょうか?
小菅さん:まず、上手に刺繍をするには「下絵」をきちんと描くことが重要です。自分で上手く絵を描けるものをモチーフに選ぶと良いですよ。
そのとき使用するマジックは、刺繍糸からはみ出ない太さのものにしましょう。はみ出るのが気になる場合は、洗濯で落とせるチャコペンを使用するのがおすすめです。
──自分で上手く描けるものがポイントなんですね!タオルは洗濯が必要ですが、刺繍ものを洗うときに気を付けていることはありますか?
小菅さん:他の衣服と絡まないようにネットに入れて洗濯しています。洗濯をしても刺繍がほつれにくいように、適度に引っ張りながらしっかりと縫い、糸の始末を行うとほつれを防ぐことができます。
丈夫さを考えて玉留めをするのもよいですが、裏面をキレイに見せたい方は、YouTubeなどで玉留めをせずに仕立てる方法が紹介されているので、参考にしてみるといいかもしれません。
<タオル刺繍のポイント>
・「下絵」をきちんと描くこと
・ほつれないように適度に引っ張りながらしっかりと縫い、糸の始末を行うこと
刺繍作家小菅くみさんが紹介する初級・中級・上級の刺繍
実際に刺繍にトライしてみたい方のために、小菅さんおすすめの刺繍モチーフをご紹介いただきました。
初級編:ニコニコマーク
1.下絵でニコニコマークを描く
2.家庭科の授業で習ったような「なみ縫い」で、下絵をなぞっていく
小菅さん:このニコニコマークは、展示会に遊びに来ていた小さい男の子に教えてあげたら、その場で完成できたくらい簡単なモチーフ。
下絵を描くのが面倒な方には、バッテンマークをランダムに縫い付けるのもおすすめです。簡単なのにワンポイントになってかわいいですよ。
中級編:りんご
1.下絵でりんごを描く
2.りんごの輪郭を縫う
3.輪郭を塗りつぶすように縫う
4.ヘタと葉っぱの部分を縫う
上級編:ネコ
1.下絵でネコのを描く
2.目、鼻、口を縫う
3.ネコの毛を生やすように縫っていく
刺繍しやすいタオルの特徴は?小菅さんが選ぶnishikawaタオル
子どものガーゼタオルにイニシャルを入れて、プレゼントすることもあるという小菅さん。
刺繍しやすいタオル選びのポイントは、タオルの「毛羽・色・大きさ」だと言います。
そこで、nishikawaのタオルの中から、「刺繍初心者におすすめのタオル」と「小菅さんが刺繍してみたいタオル」を選んでいただきました。
刺繍初心者におすすめ「watairo rich ゆいわた」
小菅さん:毛羽が少ない平坦なタオルがおすすめです。毛羽の多いものを使うと、刺繍糸が抜けたり、タオルに埋もれてしまったりしてしまいます。また色を選ぶときも、白や薄ピンクなどの淡い色の方が下書きがしやすいです。
はじめはフェイスタオルやハンドタオル程度の大きさのものだと◎。
バスタオルのような大判のものだと刺繍しながらタオルが動いてしまって、扱いが難しい場合もあります。ハンドタオルならイニシャルの刺繍をするもの良さそうですね。
<紹介したタオル>
小菅さんおすすめ「しあわせの今治ガーゼ」
小菅さん:私だったら、色味が可愛いこちらのタオルに刺繍してみたいです。同系色のピンクであえて刺繍するのもいいし、カラフルな糸も合いそう。
刺繍糸を選ぶのは、ドローイングをするときに絵の具を選ぶ気持ちと似ていてワクワクします。タオルループがついているので、キッチン用のタオルとしても活躍しそうですね。
<小菅さんが選んだタオル>
柔らかな色合いが特徴のガーゼタオル。表はガーゼ、裏はパイルと2種類の肌触りが楽しめます。ループがついているので、お出かけ用にもぴったりです!
特別なギフトにnishikawaの「刺繍サービス」も!
nishikawaでは、選んだタオルに数百円プラスするだけでできる「刺繍サービス」もご用意しています。(※限定店舗で実施)
文字や記号、糸の色なども自由度高く選べるので、刺繍入りタオルに興味を持ってくださった方は、まずこちらをチェックしてみてくださいね!
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「ひとつのもの最後まで諦めずに作ると大きな達成感が得られます。また刺繍にハードルを感じる方は、お洋服やタオルの裾にバッテンをつけるような簡単なものを縫い、小さな自信をつけると楽しくなってきますよ。プレゼントにして贈るときは、『刺繍を入れてくれたんだ」という想いも伝わり、喜んでもらえるとこちらもうれしくなります」と語る小菅さん。
自分のお気に入りのタオルや、プレゼントにオリジナリティを加えたいときは、刺繍にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Photo│Shiho Akiyama
Text│Shiori Yamakoshi
サンホーキン綿をつかって織り上げられた4重のガーゼ。すべすべで柔らかな肌触りが特徴です。