毎日のメイク落としにプラス!スチーマーいらずな“蒸しタオルのディープクレンジング”
2024.09.10
知るメイク落としも洗顔も欠かしていないのに、お肌の赤みやくすみ、ポツポツとした毛穴の黒ずみが気になる——。その原因、もしかするとメイクの落とし漏れかもしれません。
そこで今回は、いつものメイク落としと洗顔に気軽にプラスできる、“蒸しタオルのディープクレンジング”をご紹介。
その効果やハウツーはもちろん、お肌の汚れを落としきれていないことから生じる肌トラブルまで、教えてくださるのは「渋谷スキンクリニック」の院長であり、『毛穴スッキリ! 美肌メソッド』の著者でもある吉田貴子先生です。
皮膚科・美容皮膚科医 渋谷スキンクリニック 院長
吉田貴子先生
帝京大学医学部卒業後、同大学付属病院などに勤務した後、東京都内の美容皮膚科クリニック院長に就任。2004年に「渋谷スキンクリニック」開院。一般皮膚科と美容皮膚科を併設し、男女問わずあらゆる肌の悩みに向き合う。著書に皮膚科医の目線から毛穴悩みを改善するホームケアをまとめた『毛穴スッキリ! 美肌メソッド』(秀和システム)がある。
帝京大学医学部卒業後、同大学付属病院などに勤務した後、東京都内の美容皮膚科クリニック院長に就任。2004年に「渋谷スキンクリニック」開院。一般皮膚科と美容皮膚科を併設し、男女問わずあらゆる肌の悩みに向き合う。著書に皮膚科医の目線から毛穴悩みを改善するホームケアをまとめた『毛穴スッキリ! 美肌メソッド』(秀和システム)がある。
油断禁物!その肌トラブルの原因、メイクの落とし漏れかも…
「皮膚科や美容皮膚科では、施術前に患者さんのお肌をアルコール消毒することが多々あります。その際、患者さんがノーメイクの状態でも消毒液に浸したコットンに汚れが付着するケースが少なくありません」
これは通常のセルフクレンジングでは、お肌にメイク汚れが残ってしまっていることの現れ。汚れが残ったままではお肌の負担になり、トラブルを引き起こしかねません。
「リキッドファンデーションに代表されるように、多くのお化粧品には少なからず、油分が含まれています。お肌にメイク汚れが残るということは、お肌に油分が残ることとイコール。すると、その油分を原因に雑菌が増え、皮膚炎を起こしやすくなるのです」
例えば、お肌の赤みも皮膚炎の一種。その炎症がお肌の乾燥を招いてしまうほか、お肌に残った油分が毛穴に詰まり、ポツポツとした毛穴の黒ずみの原因にもなるのだとか。
赤みも乾燥も毛穴の黒ずみも、これらの改善につながるのが、通常のクレンジングよりも一歩踏み込んだディープクレンジング。
吉田先生のクリニックでも美容施術の効果を上げることを目的に、ディープクレンジングを取り入れることがあるといいます。
美容スチーマーがわりに!簡単“2STEP”の蒸しタオル
「私が運営するクリニックでは、施術前のクレンジングとブラシ洗顔の間のステップとして、お肌にスチーマーを当てています。その目的は、スチーマーから出る水分を毛穴まで入れ込み、同時にスチーマーの温熱によって、お肌の毛細血管を拡張させるためです」
毛穴まで保湿されるとお肌が柔らかくなり、毛穴に詰まった角質汚れが取れやすくなるのだとか。すると、汚れが除かれた毛穴に美容成分が浸透しやすくなるばかりか、スチーマーの温熱がもたらす血管の拡張により、成分が広範囲に行きわたりやすくなる、というメカニズム。
とは言え、美容用のスチーマーをお持ちでない人も多いはず。でも、ご安心あれ。温かく、なおかつ、水分を含んだ蒸しタオルなら、スチーマーと同様の効果が期待できます。
吉田先生おすすめの蒸しタオルの作り方は、とっても簡単!たったの2ステップで完成します。
1.50℃程度のお湯を用意し、そのお湯にタオルを浸ける。
2.やけどに注意しながら、お湯に浸けたタオルをしぼる。
蒸しタオルを作るときに注意したいのが、やはり、やけど。
一般的に人の皮膚は45℃以上の熱に触れるとやけどを起こすとされているため(長時間触れる場合は45℃以下でも)、お湯に触れたり、タオルを絞ったりする際には、ゴム手袋を装着すると安心です。
また、顔の皮膚は手の皮膚以上に繊細。“50℃程度”という温度はあくまでも目安にとどめ、「あちっ!」とならず、気持ち良いと思える程度の温かさで十分だそう。
「やけどを防止するには、まずは腕の内側、特にひじ下の柔らかな部分や首筋に、蒸しタオルを当てるようにしましょう。
顔ほどではないものの、ひじ下の内側や首筋も繊細な部分。顔に当てる前にここに当て、気持ち良い温度かどうかを確認してみてください」
皮膚科医のひと工夫も!いざ、ディープクレンジングを実践
蒸しタオルが完成したら、いざ、ディープクレンジングを実践! いつものクレンジングと洗顔にもひと工夫を加えたなら、よりすっきり、きれいな素肌を目指せます。
1.クレンジング剤をお肌にのせる。くるくると指先で円を描くようにマッサージし、メイク汚れや毛穴に詰まった汚れを浮き上がらせる。
2.メイクやクレンジング剤に含まれた油分をすっきりと落とすため、ぬるま湯でクレンジング剤を洗い流す。
3.蒸しタオルを作り、顔全体にのせる。タオルが冷めるとお肌も冷えてしまうため、長くても3分程度、タオルが冷めるのを感じたら外す。
4.洗顔料をしっかりと泡立て、やはり、力を入れすぎないようくるくると円を描くように顔を洗う。
ここでも顔に残った油分を落とすため、クレンジングと同様にぬるま湯で泡を洗い流す。
5.いつものスキンケアはもちろん、スペシャルな美容液も用いながら、肌を保湿する。
「クレンジング剤というとオイルタイプが一般的ですが、私は濯ぎやすく油分が入っていないジェルタイプを推奨しています。
文字どおり、クレンジングオイルは“オイル”がベース。洗浄力は高いものの、そのオイルが油分としてお肌に残る可能性があり、肌トラブルの原因になりかねないからです」
また、吉田先生は「洗顔とは、泡で汚れを落とすこと」と指摘。
そのため、洗顔料には泡立つタイプを選び、なおかつ、泡で出てくるタイプは控えたほうが良いとか。泡で出てくるタイプは手軽な一方、水分量が多いため、洗浄力が弱いことが多いそうです。
そして、クレンジングや洗顔にお湯を用いるからには、いつも以上に保湿は入念に。食器洗いを思い浮かべるとわかるように、お湯は油分をしっかりと洗い流してくれる一方、肌の水分を奪ってしまう特性があるため、その後の保湿が大切です。
とっておきのタオルも味方に、くもりのない健やかな素肌へ
「蒸しタオルを用いたディープクレンジングは、スペシャルケアとしてはもちろん、毎日でも大丈夫」と吉田先生。
スペシャルケアとして行う場合には、特にお肌のくすみが気になったときが実践しどき! 蛍光灯の下に立ち、ちょっと顔色に元気がなかったり、メイク落としの後、極端に顔色が変わったりするようであれば、それが“くすみのサイン”。
「ただし、お肌が敏感になっているときには、蒸しタオルの熱が負担になることも。
炎症の兆候は頬骨のようなお顔の高い部分に出やすいため、頬骨のあたりが赤くなっていたり、ひりついたりしている場合には、ディープクレンジングは避けるようにしましょう。
また、つい蒸しタオルで肌をそのまま拭いてしまいたくなりますが、ゴシゴシと摩擦を起こすように拭うのはNG。顔を拭う際は、やさしくサッと拭うくらいに留めましょう」
繰り返しになりますが、お顔の皮膚はとっても敏感!だからこそ、ディープクレンジングに用いるタオルにもこだわると、より優しく、お肌を労ることができます。
「蒸しタオルにするなら、優しくなめらかな風合いがありつつも、生地がしっかりと水分を含むよう、厚手のガーゼタオルがおすすめです。
ベビー用などの薄手のものもNGではないのですが、すぐ冷えてしまい使いづらいという難点が。厚手のガーゼタオルであれば、肌への摩擦を軽減し、それでいて、肌を温めながら保湿もできます」
そして、とっておきのタオルも味方にくもりのない肌を目指すには、「自分の肌状態をよく知ることが大事」と吉田先生。
日々しっかりと鏡で自分の肌をチェックしたり、たまには拡大鏡を使ってみたりして、赤みもくすみも毛穴の黒ずみも、ちょっとした違和感を素早く察知することが、きれいな素肌を育みます。
自分の肌の状態を知って、蒸しタオルを使ったディープクレンジングを効果的に行ってみてくださいね。
西川おすすめのタオル
Photo|Yuji Sato
Text|Kyoko Oya
吸水性の高さとしなやかさを両立したサンホーキン綿を素材に、柔らかくすべすべな4重のガーゼ織りに。糸の1本1本がしっかりと水を含み、蒸しタオルにぴったり。